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秋雨が続いてなかなか秋晴れがやってこない。秋の花が咲いているが、その向こうにある植木は葉が紅葉している。紅葉のなかに咲くシュウメイギク、やはり秋の色。季節が移りかわっていることを知らされる。江戸の川柳に
つきやむしゃむしゃ甘塩の九寸五分
ちょっと読んで、何のことか分からない川柳だ。何のあてもなく江戸の出てきて、手っ取り早く始められるのが、つき屋であった。元手もなければ、伝手もない。あるのは裸一貫の丈夫な身体。どこの家でも買った米は、玄米でとってある。女所帯では、この玄米を搗いて白米にするのは重労働であった。裸一貫の若者は、「つきぃー、こめつかあー、つきぃー、こめつこぉー」と呼ばって歩く。すると勝手口が開いて、御かみさんが、「チョイとお、つき屋さん、二升ばかりついとくれ」と声がかかって商売になる。一日4、5軒もつけば一日の飯代になった。
ところで、つき屋がむしゃむしゃと食べている甘塩の九寸5分とは何か。秋の白米につきものは、魚河岸で求めたサンマの開きだ。江戸前とはいえ、現代のように生のサンマが食べられるわけではない。開いて塩をふったサンマの一夜干しである。一尺ほどのサンマは、江戸の庶民にとっても秋の味だ。腹を空かせた若者には、なによりもうまい食べものである。あたりには、秋の色がいっぱいだったであろう。