朝、新聞に目を通していると、広告欄に冬幻社文庫『山女日記』を見つけた。年に数回は、この本は買ってぜひ読もうという気を起こさせる広告がある。この本もそんな本の一冊だ。だが、この本が上梓されたのは、2014年の7月、今年の山の日に合わせて文庫化された。すでに、NHKでドラマ化されて放映もされている。自分の興味のど真ん中にある、この本になぜ今日まで気づかなかったのか。やはりここ数年、本屋へ行く回数が減っていることが理由らしい。
山の仲間にも、どちらかと言えば女性が多い。子育てを終え、少し時間のゆとりができた人たちが、新しい趣味として山登りを選ぶ。山登りには、今までの環境では出会えなかった、非日常の世界が広がっている。しかし、山の光景は、その人が歩いてきた人生の道のりよって、おのずとその見え方も違ってくる。『山女日記』の広告のフレーズには、「山に登ることは、自分を見つめること。山頂からの景色が、小さな答えをくれる。」とある。作者は山に挑む7人の女性を、七つの違った山を舞台に登場させて、物語を紡ぐ。その舞台の一つに、先日登った白馬岳がある。
これから、散歩がてら本屋に出かけて、この本を探す。
一休みして本屋に出かけると、目指す本は文庫棚に平積みにして置いていたのですぐに、見つけることができた。カバーイラストも女性のデザイナーで、山の雰囲気がでて気持ちよい。湊かなえは小説推理新人賞でデビュウした女流作家である。家に帰って「妙高山」の項を読む。デパートで同じフロアに努める二人の女性が、初めての登山に妙高山を選ぶのだが、今どきの時代を写す女性心理がたくみ語られて思わず引き込まれる。
ついでに、地図売り場で、来週計画している以東岳を含む2万5千分の1の地形図を買う。平成29年1月1日発行となっている。これを開いて、その美しさに驚く。地形図の新しい版を買うのは初めてである。この地図ならば見ることだけで楽しく、等高線から昔歩いた道を懐かしく思い出す。