今朝の山形市の午前7時の気温は-9℃、薄曇り。北西の方角に山形市を見下ろすように、雪の葉山がきれいに見えた。以前、関東から知人が遊びに来たことがあるが、周囲の山を見て圧迫を受けると話していた。だが、住み慣れたものが毎日そこにある山を見ると何故か安心する。海からの風や雪を受けとめ、盆地に穏やかな気候をもたらしてくれるからであろうか。子どものころ、育った処でも、毎朝山を見て育った。小さな存在である自分を、山は見守ってくれているような気がする。石川啄木の歌に
ふるさとの山に向ひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
というのがあるが、啄木の山に接する心も、同じく安堵感であったように思われる。
今年、読みかえしている村上春樹の『ねじまき鳥クロニカル』がいよいよラストに向かっている。平凡な結婚生活を送っていた夫婦に、次々と異変が起こる。かわいがっていた愛猫の失踪を皮切りに、ある日突然、妻のクミコも失踪する。戦争の記憶、井戸の底、仮縫い室、突然現れては姿を消していく登場人物。村上ワールドは読むものの心を揺さぶる。最後は、失踪したクミコ
を救出することで小説は終わると思っているが、初めて読むときよりも数倍に増した面白さがある。