この冬一番の寒気から一転して雨の予報。曇りでまだ雨は落ちて来ないが、気温は確実に上がっている。室内には、花はなく、ベンジャミンの葉が元気な姿を見せている。例年なら寒さで、葉が頭の毛が抜けるように落ちたものだが、今年はしっかりと枝に付いている。ベンジャミンはゴムの木の仲間で、イチジク属クワ科の常緑低木植物。インドから東南アジアの温かい地方の原産である。
観葉植物として室内に置かれて好まれている。この植物との出会いはもう30年も前のことになる。当時、私は広告代理店にいてクライアントの広告作りに携わっていた。広告写真は、仙台のスギヤマスタジオを使っていたが、そこの社長がこの観葉植物を好んで、室内の小物にいつもベンジャミンを用いていた。この社長からは、写真の知識をたくさん学んだような気がする。夜景写真を撮る時間帯が、日が落ちてまだ明るさが残っている時間帯であることや、室内の写真を引き立てるための小道具、照明の大切さなどなど。
いまベンジャミンが室内にあるのは、かっての仕事の残り少ない痕跡である。もうお金をかけた写真を撮ることもないが、デジカメで当時を思い出しながら、写真を撮るのはいくらか自分のなかのノスタルジーのなせるわざかも知れない。