goo blog サービス終了のお知らせ 

常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

散歩の楽しみ

2017年03月14日 | 日記


なかなか晴れた春の日には恵まれないが、戸外へ出て散歩を楽しむ日が増えてきた。公園で紅梅の花がほころび、マンサクの花に癒される時間が持てた。家々の花壇には水仙の葉が土から伸びて、もう10日もすればあの黄色い可憐な花が咲くのを想像しながら歩を進めることもできる。

今日は雨で、散歩の楽しみも自粛する。本棚からギッシングの『ヘンリ・ライクロフトの私記』を取り出して、疑似散歩を試みる。

 いつまで散歩しようと私は少しも構わないのである。家に戻らなければならない用事も
 ない。どんなに遅くまでぶらついていても、心配したり気をもむ人もいない。春はいた
 るところの小道や牧場の上に輝いている。道すがら、足もとから岐れてゆくあらゆる曲
 折した小道に踏みいってゆかなければ申し訳のないような気がする。春は長いこと忘れ
 ていた青春の力をほのぼのと蘇らせてくれた。私は疲れを忘れて歩く。子どものように
 歌をくちずさむ。(春より)

ギッシングの筆致はすばらしい。イギリスの片田舎の郊外を散策する人の呼吸が文字の間に立ち上がってくる。そのまま自分をそこに散歩しているとしても少しの違和感もない。時空を超えて人間の楽しみは共通するものであることを教えてくれる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

弘法清水

2017年03月12日 | 日記


山登りをしていると、弘法清水と呼ばれる水場に出会うことが多い。旅人が山道で水もなく、疲れと喉の渇きで困っていると、通りがかった旅の僧が錫杖で地面を衝くと、こんこんと清水が湧き出した。驚いた旅人が尋ねると、この僧は弘法大師つまり空海上人である。私は磐梯山と吾妻山か、あと2、3ヶ所の弘法清水でありがたい水をごちそうになった記憶がある。世の中には、物事を調べることに手間暇を惜しまない人がいるもので、日本全国の弘法太子が、水を出したところがいくつあるか調べて、ネットに出している。それによると、1800軒を越えているから、あるひとつの伝説に基づいて、それが全国に広がって行ったように思われる。

民俗学の柳田国雄の『伝説』に、弘法井戸についての言及がある。それによると、見慣れぬ旅の僧が、村に入ってきて水を所望する。相手はいづれも機を織っている女で、甲の村では、機織りの手を止められないからと、すげなく拒絶する。乙の村では、洗い物をしていた汚れた水をさし出す。丙の村では、女がわざわざ機を下りて、遠くの井戸まで行って水を汲んできてくれた。聞けば、近くの井戸は汚れているので、遠いけれどもきれいな井戸の水を汲んできたという。これを聞いた僧は、それは気の毒と、持っていた杖を土に突き立てると、こんこんときれいな清水が湧きだし、その後ずっと湧き続けたという。この僧が空海上人であると知って、村中の人がその井戸に集まって水を汲み、記念の石の太子像を祀っている。

水を拒んだ甲の村では、この丙の村の噂を聞いて、その報いでこの村の水は悪いのだと、自らの非を認めているという。大根川の伝説というのもある。これは川で大根を洗っている女の話で、やはり旅の僧が洗った大根を所望したところ、その女は無慈悲でその願いを拒絶してしまった。それがたたりになって、大根を洗う季節になると、川の水が干上がって洗えなくなるいう伝説である。伝説はこれを聞いて、人間が善根を施すことを奨めたものであろう。

きのう、芸工大の裏の道でマンサクが満開になっていた。階段道に沿って花をつけているので写真が撮りやすい。この花が終わると、地面に水仙の花が追いかけるようにして咲く。アサツキの新芽ももうすぐ伸びてくる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鵜沢山

2017年03月11日 | 登山


鵜沢山は天童市の東に位置する里山である。標高730m、地元に住む人のほかにはあまり知られていない。だが、最上33観音の第一札所である若松寺の背後にあり、近くに奈良沢不動尊、姥捨て伝説のジャガラモガラ、そしてその先に雨呼山があるのを知れば、この里山がこの周辺の人々にとって、どのような存在であるのか、容易に想像できる。農業用水を供給している原崎沼が、尾根筋から望見され、その先に田や畑が広がり、そしてこじんまりとした集落が静かな佇まいを見せる。ここに定住した先人たちにとって、農業に供する水の便が必ずしも恵まれていなかったのではないか。

昨日までの寒気が残り、朝の内は雪が降る。昨夜降った新雪が15センチほど積もり、山は何度目かの雪化粧を施していた。やがて張り出してくる移動性高気圧を期待しながら、新雪を踏んで頂上をめざす。かつて里の人々に薪炭をもたらしたであろう山が、手が入られなくなって久しい。山道には雪がまだ残っているが、ブッシュが雪の上まで出ている。新雪の上に踏みあとはなく、我々のグループ以外には入山した人はいない。次第に雪があがり、後方の木々の隙間から朝日連峰が見え始めた。本日の参加者9名、内女性3名、その内新参加者のHさんが初めてのカンジキ登山に挑んだ。

尾根にとりつくまで、急な斜面の杉林を一気に登る。新雪が少し湿って、足に負担がかかる。それでも尾根の道は適度なアップダウンで障害もなく、快適な雪道歩きが楽しい。643m地点の分岐で、目指す鵜沢山が姿を現す。ここから一旦下って急登で頂上へ。青空のもとで着雪した木々は花を咲かせたように美しい。若松寺から頂上までの所要時間は2時間30分。心地よい汗。



頂上には目印もなく、木々に囲まれて眺望もない。東にどっしりと構えているのが雨呼山である。ヤマレコのサイトを見ると、雨呼山からジャガラモガラを経て鵜沢山への縦走記録がいくつも見える。信仰の山旅としてこの山をわざわざ選んで訪れる人も多いらしい。頂上でさらに青空が広がる。花のような雪を着けている木の写真を登頂の記念として下山する。



下山は危険なこころもなく快調に下る。気温が上がって雪は更に湿りを帯びている。若松寺まで1時間40分で下る。駐車場に着いて、大きな石碑に民謡の歌詞刻んである。「めでためでたの若松さまよ 枝も栄えて葉もしげる」若いカップルが、二人だけで参拝している。この寺は縁結びの寺としても知られている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

偶然短歌

2017年03月10日 | 日記


最近、新聞にSNSの記事がのることが多い。明日で6年を経過する震災に関連して、ラインやフエイスブックで大地震の際に、安否確認や支援物資のやりとりが簡単にできる機能が強化されたことが報じられた。またツィッターの「偶然短歌bot」が紹介されている。同じ日に、ふたつもSNS関連の記事が登場するのは、それだけその利用者が増えているということであろう。

記事によると偶然短歌というのは、コンピュータのプログラマー氏がネット上の百科事典を検索して、短歌を探せないかと考え、プログラムに読み込ませたところ5000を越える作品が検出されたということである。例として、「人物があなたが出した質問に答えることは期待できない」、「念仏で救済される喜びに衣服もはだけ激しく踊り」などが上げられている。

試しにスマホでツィッターの「偶然短歌」を開いて見ると、

弟や妹たちも次々にマリアの部屋に集まってきた

注のような形でウィキペディアの本語版「サウンドオブミュージック」(映画)よりと書かれている。題材は「コミックマーケット」、高校などあらゆるものから取られていて興味深い。

ツィッターには、他にも「名言bot」など、ちょっとした時間に開いて見て、読んで共感できるものもつい先日見つけたばかりだ。従来の本や新聞などの活字とは違った利用の方法がまだまだたくさんありそうだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春の雪

2017年03月08日 | 日記


春が停滞して、雪になった。ベランダの梅の鉢の花びらに降って融けていく。雪雲の向こうに春の日がさして、明るい。同じ雪でも、春の雪には希望がある。誰もこの雪が積もるとは思わないし、そこに春の息吹を感じている。ベランダに置いたリンゴのには、今年もヒヨドリがやってくる。手摺にとまって羽を休めている姿は、自分の家のような気持ちでいるようなリラクッス感が
あふれている。

春風ののりくる風のあきらかに 相馬 黄枝

春の息吹とともに、この春からやるべきことどもが胸に去来する。スマホのヘルスケアと血圧管理のアプリを入れ、健康管理をデジタルかすること。体重、ウォーキング、食事、エクササイズとメニューがならんでいる。畑の進化も今年の課題。「2月の園芸家」になすべきことのリストが
書いてある。曰く「そだのとりのけ、土を掘りおこし、肥料を入れ、鋤きこみ、土をほごしてやわらかくし、枯れた植物のかわりを植え、支柱をを与え、スプレーをし、追肥をほどこし、除草をする」畑ひとつでも忙しいのだ。

今年は時間を有効に使う、今までできなかったあらゆるものへの挑戦。こんなやることリストを上げているのは、この先元気の身体を動かせる時間がどんどん減っているからだ。しかし、目標を大きく掲げることは悪い事ではない。そのうちの何分の一でもできれば、そのことだけで満足できるのだから。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする