早いもので、この週末は母の四十九日。
住む人がいなくなった実家で
ごく身内だけで法要を営みました。
幅1間、高さは床から天井までという
自分の実家ながら、立派なお仏壇での法要は
これが最後になるかもしれないけれど。
<精進落としのお刺身の上には、葉っぱで作ったトノサマバッタ>
実家を片付けてくれている姉から
母のノートをもらいました。
5年前から4年前にかけての、
その日の歩数や出費や出来事を
覚え書きのように書き記したもの。
震えるボールペンの母の字で、
誰から電話があったとか、何が届いたとか、
何を買ったとか、そんなことが綴られた、
ささやかな、母一人の日々。
当時の母の暮らしや思いを垣間見る気分。
<スイカと蛸の梅肉和えは、和風生ハムメロンかな>
ノートの最後には、どこで聞いたか
さまざまな健康法のメモもびっしり。
心臓を守るにはオリーブオイルだとか、
カルシウムが不足すると不整脈が出るだとか、
コレステロールを下げる方法だとか。
5年前はちょうど父が他界した年。
母は一人暮らしで孤独を抱えながらも、
一人で、一生懸命暮らしてたんだな。
一人だからこそ、健康でいなければと
精一杯がんばっていたんだな。
時折、私からの電話や贈り物の記述もあるだけに
なんでもっと頻繁に連絡しなかったのかと
母のさみしさを分かってやれなかったのかと
今更ながら、胸が締めつけられる。
表面的な会話はいっぱいしたけれど、
母の心の底の思いにまで、ふれたことはなかったから。
読むたび、少しつらい気持ちにはなるけれど、
母が懸命に生きてきたひとつの証。
せめて大切にすることで
少しでも供養になればと思うのでした。