先日、仲良くさせて頂いている
同じマンションのお友達2人と
展示会とランチに行ってきました。
ガラス作家のノグチミエコさんの作品は
ガラスの中に宇宙が煌めいている。
見ていると作品の中に吸い込まれそう。
神の視点で見た宇宙はこんななのかしら。
繊細なレースのような螺旋や水泡が
生命のはじまりをも感じさせる。
そして水をテーマにしたランプシェードは
透明な花から露がこぼれる瞬間のよう。
その後ランチしてケーキでお茶して
同世代ならではのおしゃべりを4時間。
たまたま同じマンションというだけなのに
不思議と共通点も多く、気も合って。
何かの時にはお互い様ということで
助け合いましょうねと言って下さる有難さ。
これから老いを迎える年齢を迎えたからこそ
これからもこうしたお付き合いを
末永く続けていけたらいいなあと思っています。
最寄り駅の改札を出たコンコースには
誰でも自由に弾けるピアノがあって
子供らがよく弾いているのだけど
先日コンコースに響いていたのは
とてもアマチュアと思えぬ美しい調べ。
一体誰が弾いているのかと近寄ったら、
頭頂部の髪が薄く、上下とも作業着を着て、
足元には作業カバンのような物を置いた、
正直とてもピアノを弾くように見えない、
作業員風の中年の男性でした。
朝の通勤時間とあって、足を止める人もなく、
私も時間に追われて立ち止まることも出来ず
思い切り後ろ髪を引かれながら、
それでも必死に耳を澄ませて聴いたけど、
朝の光がきらきら光るしずくになって、
ピアノからこぼれ出るような美しく澄んだ音色。
その光り輝くしずくが流れとなって溢れ出し、
コンコース全体を満たすような美しい調べ。
こんな美しい音楽を奏でていたのが、
音楽には縁のなさそうな中年男性であったことに
うまく言えないけど、胸を打たれてしまって。
この男性の人生に何があったか分からないけれど
あれだけの演奏が出来るまでになるには
相当な時間をピアノに費やしてきたはず。
あの繊細な旋律を紡ぎ出す魂を胸に抱えたまま、
作業員姿で日々を送っておられることに
感動というか、人間の美しさを見た気がして。
またいつかあの男性が街角ピアノを弾く場面に
偶然、出くわすことが出来たなら、
今度は何があっても足を止めて最後まで聴きたい。
そして精一杯の拍手を送りたい。
そんな日がどうかどうか訪れますように。
昨夜、近くのホールで、佐渡裕さん指揮の
シエナ・ウインド・オーケストラ演奏会、
「ブラスの祭典★2023」を鑑賞してきました。
佐渡さんが多治見に来てくださるなんて
懐かしいやら、うれしいやら。
レスピーギのローマ3部作は知らなかったけど
アフリカンシンフォニーは圧巻でした。
野球の応援で聞くのとは全く別の曲に思えるほど
壮大で、荘厳で、迫力ある広がりが感じられて。
コンサートの最後には楽器持参の観客が
全員ステージに上がるように促され、
「星条旗よ永遠なれ」の大合奏がありました。
そんな情報を全く知らなかったので
「え?どういうこと?」と周囲を見回すと、
多くの観客がどこかに隠していた楽器を取り出し、
わらわらとステージに上がっていくから驚き。
楽器を持たない観客も一緒に手拍子をしたりして、
想像もしてなかったような楽しいコンサートだったから
次にまた行く機会があれば、
私もタンバリンか鈴か、何か持参しなくては。
会場の出入口では、CDだけでなく、
「めっちゃ高いアメちゃん売ってます~」という
なんとも関西ちっくな掛け声とともに
1缶1,000円のキャンディーも売ってました。
あまりに面白いから写真だけ撮りましたが、
買わなくてごめんなさいね、佐渡さん。🙇
この三連休には美濃焼祭が開催されました。
街のあちこちが会場になっているのだけど
駅の通路には巨匠の作品がずらりと展示。
人間国宝をはじめ、名だたる名作陶家の作品を
アクリル越しにだけど拝見することが出来ます。
改札出たところの正面では
雅なお琴の演奏が響いていました。
お祭りに合わせて幸兵衛窯でも
秋のいろどり市が催されていました。
これは七代目加藤幸兵衛さんや
八代目加藤亮太郎さんの作品展。
そしてお楽しみは蔵出し市。
いつもよりお得な価格になった、
素敵な器やオーナメントが並びます。
普段作陶をしている職人さんたちも
この日ばかりは店頭でお手伝いされているので
ひとつひとつの器の特徴や工夫、
苦労話なども聞けてそれだけでも楽しい。
人間国宝の六代目加藤卓夫さんが生み出した、
幸兵衛窯特有のこのペルシャンブルーを出すには
4ー5回釉薬をつける必要があるのだとか。
それだけ手間と時間をかけても
製品になるのはごく一部なのだそう。
幸兵衛窯の作品を使ったお手前も頂けるとあって
これは見逃せないとばかりに行ってきました。
上の写真にあるのが、風炉とお水差し。
床の間のペルシャ風の飾り物は
確か六代目か七代目の作品。
両脇に写っているのが八代目の作品で、
私たちがお茶を頂いたもの。
真ん中は特別に見せて頂いた七代目の作品で
高台のついたワイングラスのような器を
茶器として使う趣向がとても斬新。
でもどうやって持つのがいいのかしらと
同席した方と笑って話がはずみました。
また今回は八代目が穴窯から作品を取り出すところも
拝見することが出来ました。
防熱のために忍びのような姿をした八代目が
窯から1つ1つ白く燃えさかる茶器を取り出すと、
瞬く間に赤くなり、やがて黒に変化していきます。
その時表面に入る貫入が立てる貫入音は
ちりんちりんと、繊細でかすかな響きで
生まれたての器たちが奏でる音楽のよう。
これを聴けただけでも来た甲斐がありました。
それで今回買ってしまったのが
青釉の美しさに魅せられたこちらの3点。
中央は古代エジプトで崇拝された、
猫の姿をした女神バステトで、
月と豊穣の神であると同時に
人間を病気や悪霊から守護する女神なのだとか。
凛とした中にも愛らしさがあって
前回伺ったときから欲しかったもの。
朝晩眺めては幸せを感じています。