ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

ミモロのお祭りリポート(3)粟田神社の不思議な「夜渡り神事」。神様と仏様が一緒に皆の幸せを祈ります。

2011-10-16 | 京都
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10月9日の夕方、京都、粟田神社の「夜渡り神事」の行列に、ミモロは、トコトコとついて歩きます。行列は、粟田神社を出発し、三条通から神宮道を南へ進み、青蓮院前を通過して、知恩院の黒門前へと至ります。

知恩院の黒門は、大きな三門の北側にあり、特別なことがない限り開かない門。いつもは、しっかりと閉じられたままの状態です。今年、知恩院は「法然上人八百年大遠忌」の年を迎え、現在、全国の信者さんが大型バスで連日お参りに訪れ、その界隈の賑わいは、相当なもの。

さて、その門の前には、まわりを柵で囲まれた石があります。大きな道が交差するど真ん中にあり、どう見ても交通の邪魔になっている感じ。なんでこんなところに柵があるの?と観光客は思う場所です。

ところが、この石こそ「瓜生石(うりゅういし)」という、八坂神社のご祭神の牛頭天王が降臨したと伝えられ、また一夜のうちに、この石のところにウリが生え、稔ったとも言われる伝説の石。
知恩院が建立される前からここにあり、隕石とも、また地表にでているのは、ごくわずかで、地球の奥まで届いているとか、さらに二条城まで続く抜け道が石の下にあるなど、不思議な話が尽きない石なのです。
(昼間の瓜生石は、こんな感じです。交差点のど真ん中にあります)

粟田神社の大祭の夜、その不思議な「瓜生石」の前には、祭壇が飾られ、行列の山車に乗った剣鉾は、その石の前に据えられます。


行列が、「瓜生石」に到着し、神事の準備ができたその時・・・。
階段に明かりが灯され、閉じられていた知恩院の黒門が開きはじめました。そして、その光の階段を、しずしずと、まばゆいばかりの衣を身に付けた僧侶が1列になって降りてくるではありませんか。その数なんと18人。

「ワー、何が始まるのー。お坊さんがいっぱいやってくる。スゴーイ!」
オレンジ色の衣にゴールドの袈裟の姿のひときわりっぱなご僧都さまを守るように、前後を歩く他の僧侶たち。そのいでたちは、みんなお揃いの紺と金色の衣姿。松明の光に照らされて、ピカピカと衣は輝き、極楽浄土から降りてきた仏様の一行を思わせるよう。ミモロは、その光景に、ちょっと興奮気味。

祭壇の前には、2列に椅子が向かい合って置かれ、1列は、粟田神社の神職が座り、向かい側の列には、階段を下りてきた知恩院の僧侶が腰を下ろし、それぞれ向かい合う形に。

神事の進行役は、烏帽子と白い狩衣を纏った神職が担当。お祓いや供物の奉納など、次々に神事が進みます。


目の前に展開される神事を、じっと見つめるミモロです。

神職による神事が、一段落した時に、知恩院の僧侶が、ゾローっと祭壇の前に進み出て、横1列に。


そして、おもむろに祭壇に向かい手を合わせながら、般若心経を声を揃えて唱えます。
松明の灯りが揺れる中、周囲に響く般若心経・・・。

「神様に、般若心経って、なんか変な感じ・・・」とミモロが不思議がるのも頷ける光景です。

神社と寺は、明治時代の神仏分離まで、今のように明確な棲み分けはなかったよう。お寺の片隅にお稲荷さんがあるのもよく見ること。(以前、ブログにアップした、相国寺にもお稲荷さんがありましたね)
今では、珍しい光景ですが、昔は、きっとそれほど不思議がるようなことではなかったのかも・・・。
ともかくこの神事は、神社も寺も共に、人々の幸せを願っている姿に思え、ありたがさもいっそう。「でも、やっぱり不思議だよねぇー」と、ミモロ。

そして宮司さまのお祝詞の後、玉串の奉納も宮司さまとご僧都さまの両方が行います。

神事の最後は、神職を先頭に、知恩院さんが続き、ゾロゾロと「瓜生石」を3周。
そして、神事の終了を告げられると、知恩院さんご一行は、再び、しずしずと階段を上がり、寺の中へ。
最後尾の僧侶が、門をくぐると、黒門は、ぴたりと扉を閉ざし、いつもの開かずの門へ戻ります。

「なんか夢を見てるみたいだったねー」と、神事が終わっても、ボーっとしているミモロです。

*旅のポイント 粟田神社の「夜渡り神事」は、本当に素晴らしいもの。1度は見たい、おすすめの神事です。最近は、ずいぶん観光客も増えたということですが、まだまだ知られていない京都の素晴らしい神事です。神事の日程は、「粟田神社」のホームページで確認を。

さて、知恩院の前での神事を終えた粟田神社の行列は、太鼓の音を響かせながら、夜の町を巡行します。

時折、町の要所要所で、立ち止まり、出発前に境内で練習していたナリカンをシャンシャンと鳴らせて、町の穢れのお清めを。


ミモロも、行列の後を、ずっとついて歩きます。


行列の通る道には、氏子の方が出迎え、手を合わせる姿が。
ナリカンを持つ方が、お年寄りを見つけては、「これを触ると長生きするよ」とナリカンを触らせる様子に、京都の温かさを感じます。神輿などの巡行は、町を清めるだけでなく、祭りに行けない人のために、神様が赴いてくださっているのかもと思う景色です。

神社を出発したときは、見上げるほどの長さがあった竹の松明も、巡行が終わりに近づくころには、2mほどの長さに。途中、燃えた竹が、路上にポトポトと落ちてきます。
そこで活躍するのが、行列の後ろを歩く、水の入ったリュックを背負った消防団員。

火がくすぶる竹を、手元のホースから勢いよく水をだし、手際よく、次々に消火してゆきます。

「燃えた竹炭は、拾って神棚に供えると、いいことがあるんやで」と言われたミモロは、松明のそばを歩いて、燃えカスを集めます。「こんなに拾ちゃった・・・きっといいことがたくさんあるね。お友達にも分けてあげよう」と、紙につつんで大切そうに抱えます。

行列は、夜の11時近くまで、氏子の住む町をめぐります。さすがのミモロも眠くなって来たよう。

一行が、神社への道に入り始めた時、ミモロは、行列にお別れを。
行列の方に「また明日おいでね・・・」と言われ、うれしそうに「ハイ、また明日・・・」と手を振るミモロです。

町には、夜遅くまで、太鼓の音が響き、年に1度の祭りの訪れを告げていました。

さぁ、いよいよ明日は、剣鉾とお神輿の巡行が行われる日。
「今から楽しみだねぇ。きっとスゴイことが見られるね。早く寝なくちゃ・・・」
そういいながらも、ワクワクしてなかなか眠れないミモロです。

コメント
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