ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

岩倉の「染のさきら」の工房見学へ。京都の染めの技を活かしたおしゃれなストール。

2014-05-29 | ものづくり

4月のある日、ミモロは、ご近所の「ぎゃらりーあーとぺーじ唯心」へ、ふらりと出かけました。
 
そこには、色鮮やかな素敵なスカーフの企画展が行われていて、ミモロも思わず引き寄せられて…。
「わー素敵なスカーフ、夏にピッタリ…」絹や綿でできた薄手のスカーフは、夏の冷房や陽射しを避けるのに、1枚は欲しいもの。ミモロもさっそく身に着けてみます…。
「うん、なかなか似合う…」と、鏡に映る自分の姿にうっとり。
さて、このスカーフを作っているのは、京都の北の岩倉にある「染のさきら」という、婦人服地の染めを30年以上している会社です。社長の山田靖人さんと奥様が、このスカーフづくりを 本格的に始めたのは3年ほど前から。染色などを学び、個展などを開催するテキスタイル作家さんとコラボや工房オリジナルデザインで、数々のストールが作られています。

「京都には、染色やテキスタイルデザインを学んだ人たちが大勢います。その人たちに、染色家として活躍できる場をもっとたくさん作りたんです…」と、山田さん。そこで、本業の仕事の傍ら、工房でスカーフづくりをはじめ、現在、京都、大阪などの百貨店やギャラリーでの企画イベントや、提携の店舗、インターネットでの販売を始めました。

「こんなスカーフが作られている工房って、見てみたいなぁ~」とミモロ。
そこで5月になって、岩倉の工房見学へ出かけました。
岩倉は、京都の北にある静かな住宅地域。その山際に工房はあります。
 
「ミモロちゃんいらっしゃい…」と山田さんの出迎えを受け、ミモロは、さっそく工房見学へ…。
 
「いろんな色が並んでる~」「それは色見本ですね。それを元に、染料を調合してゆくんですよ」
棚には、染料のボトルがズラリ…。そばでは、実際の染め上がりの色を微妙に調整し、色を決める作業が行われていました。
 

色の調合具合が決まったら、本格的に染めに必要な量の染料を作ります。
実際の布に使用するために染料には、糊を調合し、適度な粘度がある「色糊(いろこ)」をつくります。専門の職人さんが、温度、湿度などの変化を考慮して、それぞれの染めに合うよう調整してゆきます。

倉庫には、調合された染料のストックがいっぱい。
「たくさんあって、わかんなくならないのかな?」余計なことを心配するミモロでした。

ここでは、シルクスクリーンの染めが行われています。工房の建物の周囲に並んでいたのは、その版だったんです。
薄い布に図案を置き、染められる部分が、抜かれ、そこから染料が、下の布へと染まる、いわば型染めと同じ原理。染める色ごとに版を替えて、何度も染め重ねて完成する手間のかかる作業です。

京都の染めの仕事は、分業制。染める工房、それを蒸し、洗い色を定着させる工房、布表面に加工を施す工房など、さまざま染めの工程を、別々の場所で行っています。ここでは、染色部分を担当。
手染めによる婦人服地の生産は、京都の産業のひとつ。古くから和服の反物などで培われた京都の技術は、高級服地の生産に今も活かさせているのです。もちろん、機械によるプリントでできた服地は、他府県や中国など海外生産が多くを占めています。でも、機械では表現できないような、微妙な風合いやニュアンスが、手染めならではの魅力。その技術は、海外からも高く評価させています。


いよいよ現場へ。「うわー長いー」
ミモロの前に、30メートルもあろうかと思われる長い染めの台が…。ここに布を張って、少しずつ丁寧に染料を置き、色を重ねて行きます。
いっきに大きなヘラのようなもので上から下へ。「速い…!」ミモロの目の前で、次々に染められてゆきます。ただ感心するばかりのミモロ。

染料を置いた布は、ビニールを挟みながら、紙の芯に巻きつけます。
「これから色を定着させる工程に移動するんだね~」。そう、これから、蒸して色を定着させたり、染料の糊を洗い流す工程へと移ります。

「あ、噴水…」突然、長い台の上から、水が噴水のように…
布を貼る台の表面には、ひとつの布を染め終ると、きれいに洗われます。布によって、台の表面の状態は異なり、ツルツルの台の表面は、つかまっていないと、下へ滑り落ちてしまいます。「う~滑っちゃう~」台に乗るのは、ミモロくらいのもの…。
また接着剤があるものだと、ミモロは台にくっついてしまいます。「助けて~動けない…」

さて、再び事務所にもどって、お話しをうかがうことに…。「どう、面白かったですか?」
 「はい、すごく面白かった…工房見学大好きなんです…ものづくりの現場って、知らないことがいっぱいなんだもの…」見てきたことを、メモするミモロ…リポーターとしての意識も高いようです。

ミモロの前に、4月にギャラリーで見た、ストールが…。先ほど見学した同じ工程で、作られたものです。


何色も色を使ったストールは、その都度、版を替えて染められます。
また、ここでは、デザインの輪郭をぼかした「水ぼかし」という独自の技法も使われ、色の重なりが、いっそう絶妙に…。

「今は、夏向けに、薄手のコットンやシルクのものですが、秋になるとウールなど厚手のものも登場するんですよ」
柔らかで温かな感触のウールのストールです。「それは見本だから…。今度、ミモロちゃんのために、小さな柄のストールを染めてあげるね~」と山田さん「え~ホント!うれしい…」と、目を輝かせるミモロ。

夏、首回りに巻いて、紫外線避けや、またファッションのアクセントに、そして冷房がきつい場所では、肩にはおり、冷えの予防など、さまざまに使えるストール。「バッグに入れても、場所とらないから、旅行にも便利だよね~」とミモロ。

一枚、欲しい、京都の技術で作られた素敵なストールです。

*「染のさきら」のストールは、インターネットのホームページから購入できます。


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コメント (2)
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