8月は、京都ではご先祖様の御霊をお迎えするお盆です。
13日から五山の送り火の16日までの「盂蘭盆(うらぼん)」で、ご先祖様の御霊を各家にお祀りします。
その前に、京都では、ご先祖様の御霊を京都各所のお寺にお迎えに行く風習があります。
五条坂のそばの「六道珍皇寺」は、特に多くの人たちが訪れる場所。
このお寺のある辺りは、平安時代、鳥辺山(とりべやま)の麓で、その当時、埋葬の場所だったのです。そこは、死者の世界の入り口と言われ、冥土から戻ってくる御霊は、ここを通るのだそう。だから、お盆になると、ここにご先祖様をお迎えに行くのです。
「六道珍皇寺」の門前には、ご先祖様をお迎えするためのいろいろなものが並ぶテントが連なっています。
「わ~きれいなお花…これ仏壇にお供えするじゃないの?」
ホウズキなども並びます。
「この葉っぱどうするんだろ?」
参道のテントで、一番多く並んでいるのが、高野槇(こうやまき)のテントです。
「あの~この葉っぱ何に使うんですか?」と、東京生まれのミモロ。関東のお盆のやり方と京都はどうも違うよう…。
「六道まいりの参拝のやり方があるんですよ」とお店の方。
お寺にも、やり方を書いた看板が掲げられています。
「何々・・・」その説明によると・・・
ご先祖様の霊は、槇の葉に乗り移ってお家に戻るのだそう。
そのため、参拝する人は、まず槇の葉を買い求め、それから本堂に行き、水塔婆(みずとうば)という薄い木の板に、ご先祖様の戒名などを書いてもらいます。
それを持って、今度は、「迎え鐘」を撞きます。(すごく鐘を撞くには並びます)
それが終わると、水塔婆を線香で浄め、「地蔵尊」のところで水塔婆に、用意した高野槇で水をかけて、水回向をしてから、その場に、水塔婆を納めます。水をかけた高野槇には、ご先祖さまの霊が乗り移っているので、それを大切に家に持って帰り、仏壇に飾ります。
「え~この高野槇にご先祖様の霊がくっ付くわけ~」
境内の中央には、「小野篁(おののたかむら)」と書かれた提灯がさがります。
小野篁は、嵯峨天皇につたえた官僚で、学者、歌人としてもすぐれた人物。185センチを超す大男で、なかなか個性的で、不思議な行動も多かった変わり者だったよう。いろいろな伝説をもつ人物で、昼間は宮仕えをし、夜は閻魔様に仕えたといわれます。
このお寺には、小野篁が冥界に夜な夜な通ったという井戸があり、お寺には、篁が彫ったという閻魔像と自らの木造が安置されています。
「京都には、冥界への入り口があるんだ~。東京にはないよ~」とミモロ。
多くの京都の人たちが、夜遅くまで参拝に訪れます。
「なんか不思議な雰囲気~」と薄暗い参道を歩きながら、思うミモロです。
「わ~たくさんの人が迎え鐘に並んでる~」その列の長さを見て、「ほかのところでお迎えしよう…」と、諦めたミモロです。
*「六道珍皇寺」の詳しい情報は、ホームページで