神無月ふりみふらずみさだめなき時雨ぞ冬のはじめなりける(後撰和歌集)
ふるときはなほ雨なれど神無月しぐれぞ山の色は染めける(貫之集)
冬来れば散りしく庭の楢の葉にしぐれおとなふみ山べのさと(元永元年十月二日内大臣忠通歌合)
千々(ちぢ)の色にうつりし秋はすぎにけり今日のしぐれに何を染めまし(古今和歌六帖)
染めのこす秋のもみぢの色そへてたえずしぐるる冬の空かな(藤葉和歌集)
峰わたる嵐の山のうき雲にふりもさだめぬむら時雨かな(明題和歌集)
たちかへる尾の上の雲にさそはれてまた山めぐる夕しぐれかな(新続古今和歌集)
ふりはへて人もとひこぬ山里はしぐればかりぞ過ぎがてにする(千載和歌集)
もの思ふこころのうちを知りがほにたえぬ時雨の音ぞかなしき(風葉和歌集)
山里の槙(まき)の板屋に寝覚めしてもらぬ時雨に袖ぞぬれける(太皇太后宮亮経盛歌合)
過ぐるかと思へばなほもめぐりきて同じねざめにふる時雨かな(新後拾遺和歌集)
寝覚めしてたれか聞くらむこのごろの木の葉にかかる夜半の時雨を(千載和歌集)
ながき夜の寝覚めの窓におとづるる時雨は老いの友にぞありける(玉葉和歌集)
(2009年11月15日の「時雨」の記事は削除しました。)