おきいでて待ちこそ見つれ冬の夜にすみかへりたる山の端(は)の月(明題和歌集)
いざかくて居り明かしてむ冬の月春の花にもおとらざりけり(拾遺和歌集)
面影もかはりはてぬる冬の野に秋見しままの月ぞ残れる(正和三年詩歌合)
花におく露にやどりしかげよりも枯れ野の月はあはれなりけり(山家集)
影とめし露のやどりを思ひいでて霜にあととふあさぢふの月(新古今和歌集)
霜枯れの尾花が袖のしろたへにやどるも寒き冬の夜の月(明題和歌集)
霜ふかき野べの尾花は枯れはてて我が袖ばかり月ぞやどれる(新後撰和歌集)
冬枯れの杜(もり)のくち葉の霜のうへにおちたる月のかげのさむけさ(新古今和歌集)
ふけゆけばなほ影さむし浅茅生の霜にこほれる冬の夜の月(新続古今和歌集)
さらでだに長きをかこつ冬の夜にねられぬ月のかげぞさびしき(宝治百首)
(2009年12月1日の「初冬の月」の記事は削除しました。)