思ひそむる杜(もり)の木の葉の初時雨しぐるとだにも人にしらせむ(新続古今和歌集)
わが恋は苔の岩屋の時雨かなおとにもたてずもるかたもなし(壬二集)
もらすなよ雲ゐる峯の初しぐれ木の葉はしたに色かはるとも(新古今和歌集)
わが恋は真木のした葉にもる時雨ぬるとも袖の色に出でめや(新古今和歌集)
ふりそむる時雨に身をばぬらせども燃えいづる恋の消ゆるよもなし(天慶二年二月二十八日貫之歌合)
帰るさのしののめくらきむら雲もわが袖よりや時雨そめつる(玉葉和歌集)
妹背山へだつる雲の夕時雨たがうき中の涙なるらむ(新千載和歌集)
ひとり寝(ぬ)る寝覚めの床(とこ)のさむければ時雨のおとをたえず聞くかな(続拾遺和歌集)
くれなゐに片敷く袖はなりにけり涙や夜半のしぐれなるらむ(新千載和歌集)
袖のみと思ふなみだのくれなゐを梢にみするむら時雨かな(続古今和歌集)
いで人の思ふと云ひし言の葉は時雨とともに散りにけらしも(玉葉和歌集)
(2009年11月16日の「寄時雨恋」の記事は削除しました。)