吹く風のおとのみ秋のかたみにて霜枯れはつる庭の荻はら(新千載和歌集)
秋見しはそれとばかりの萩が枝(え)に霜の朽ちばぞひと葉残れる(風雅和歌集)
枯れのこる冬野の尾花かぜすぎて夕露はらふ袖かとぞ見る(続後拾遺和歌集)
霜枯れのあさぢがもとの刈萱の乱れてものを思ふころかな(是則集)
人めさへかれゆく霜のふるさとに残るもさびし庭の冬草(新後拾遺和歌集)
霜むすぶ草の袂の花すすきまねく人めも今やかれなむ(続千載和歌集)
かれはつる契りもつらし跡絶えてふる野の道の霜のした草(続千載和歌集)
枯れのこる霜のした草ありとだに人に知られぬうき身なりけり(新千載和歌集)