園長です。
平成25年度から段階的に導入予定の新子ども・子育て新システムの幼保一体化施設の名称が決まりました。「総合こども園」呼ばれる幼稚園と保育園が一体となったこの施設は保育園が3年で、幼稚園は期限なしで収斂されるようです。期限なしで収斂されるという言い方もおかしいのですが、よほど幼稚園業界の反発が強かったようです。これで幼保一体化といいながらも実は保育園改革だけが行われる子ども・子育て新システムは事実上OKサインが出たようなものです。とはいっても消費税が10%にならないと発足できないこの制度はまだまだ紆余曲折する可能性はあります。それにしても幼稚園団体のごり押しはすさまじいものがあったようです。内閣府の審議の様子を聞いていても「私たちは保育園になりたくはない。」とはっきり言う姿には、この人たちは本当に子どものことを考えているのだろうかと疑問すら覚えました。幼稚園の教育もいいですが、今の日本の状態を考えると、「就労支援」は避けて通れない問題だと思います。幼稚園だけが「幼児教育」をしているという大きな錯覚は早く捨て去ったほうがいいと思います。誰だって変化は好みません。これまで通りのほうが慣れているし、やりやすいのは当然です。でも時代は変化しているのです。好む、好まないにかかわらず、変わらなくてはいけない時があるのだと思います。それが今です。これまでの「右肩上がり」の時代は終わったのです。政治家や経済学者は「景気の回復」を声高に叫びますが、人口も減少、子供も生まれない右肩下がりの状況では考えられないことは当人たちが一番知っているのではないでしょうか。そもそも、この幼保一体化の出発点は「待機児童解消」が大前提であり、足りない保育所の代わりに幼稚園に引き受けてもらおうということだったはずです。幼稚園に移行の期限が設けられないのはなんの解決にもならないと思います。第一、待機児童がいるのはほとんどが大都会の政令市、中核市です。青森県には待機児童はいません。日本の人口の2割は東京周辺に集中しています。近郊のとれた国土開発になっていないからです。まして、地方は景気も雇用もドン底です。若者は職を探しに都会に出るのです。都会はますます待機児童が増え、地方は定員割れが激しくなっていくのです。所詮負け犬の遠吠えなのはわかっていますが、都会の子と同じ条件で地方の子にも手厚い支援をしてほしいものだと思います。
最近、北国の天気は大荒れです。記録的な積雪、記録的な寒波、そのうえこの制度改革・・。私たちの心はいつになったら平穏になるのでしょうか。
「氷が溶けたらなにになる。」という問いに、「春になる。」という発想が生まれる子供たちを育てるには、私たちが心に余裕を持たなければなりません。いい保育はいい保育士が行います。よい保育士を育てるにはそれなりの投資をしなければなりません。保育園は「人が人を育てる素晴らしい場所」なのです。子供たちが素直で、元気に、丈夫に育つにはよい保育士の存在が欠かせません。保育士が自信と誇りを持てるような制度にしてほしいと心から願います。何回も言いますが、子どもを大切にしない国、子供が生まれない国は亡びるのです。日本がそうならないように祈るばかりです。