園長のつぶやき

こんにちは 長坂保育園の園長です。日々成長する子ども達を見ながら、日頃の思いを綴ります。

バケツリレー

2016-03-13 11:31:55 | 日記

園長です。

 3月12日。地元中学校で卒業式がありました。ここは私の母校でもあり、各小学校に分かれた卒園児たちが再び一緒になり3年間を過ごします。今年の卒業生の中に卒園児は十数名いました。保育園時代と名字が変わっている子もあり、名簿だけでは判断できなかったので正確な人数はわかりませんでした。姿かたちも大きく変わった子。一目でわかる体だけが大きくなった子など9年間の歳月を考えさせられた時間でした。

 その式の中で校長先生の言葉が心に残りました。ある人の言葉を引用した言葉だそうです。内容は「人は、心に二つのバケツを持っています。ひとつは黄金水が入るバケツ。もう一つは泥水が入るバケツ。黄金水は他人が入れてくれるもので、自分では入れられない。良い評価や誉め言葉、他人への思いやりで増えていく。泥水は、いじめや暴力、汚い言葉、裏切りなどで増えていく。あふれた水は一番身近な人のバケツへ足されていく。たとえば両親、親友、大事な人。どうか皆さんは泥水でなく黄金水を溢れさせてください。」ということでした。うまく説明できませんが、私自身とても納得でき、こころに響く話でした。自分の意見を通そうとし、ついつい声を荒げたり、自分を飾ったりして、今まで泥水をいくら増量したでしょう。きっとバケツから水があふれ、身近な人へ感染したかもしれません。今日からこの言葉を思い出し、心安らかに過ごしていきたいと思います。

 3月は私たちにとって「師走」ともいえる月です。年度末、年度始めの準備から、事業計画、予算、決算、事業報告と役所や官庁へ足しげく通わなければなりません。保育園でも19日が卒園式で準備に余念がありません。昨日、卒園児一人ひとりの「卒園証書」を書きました。これまでの保育園生活を思い出しながら、気持ちを込めて書かせてもらいました。・・・しかし、字が書けない。パソコンでの書類作りがおおいので毛筆(筆ペン)の感覚が戻らない。(私は幼少のころ書道を習っており実は有段者なのです。段位は「じょうだん」。)昔は少し賞状を犠牲にしてもかけたのですが、卒園児の倍以上の卒園証書を書き損じてしまいました。中には字のバランスがとりにくい字があり、一人の証書に10枚ほどかかったものもありました。「誰か上手な人に書いてもらったら・・」と副園長は言うのですが、こども一人ひとりへ私の思いを伝えるために頑張っています。子どもたちは「もっと上手な字がいい。」と言うかもしれませんが、字は上手下手ではないのです。気持ちなのです。卒園式が終わったとじっくり見てください。私が君たちに心をこめて書いた君たちの名前が輝いて見えるはずです。卒園おめでとう。

 最近、なかなかブログが書けない状態だったのですが、卒園証書を書きあげたら心に余裕が出来たようです。これから新年度の準備も始まりますが、自分を見失わないよう「黄金水」が増えていくような気持ちで頑張りたいと思います。

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ブログ

2016-03-13 10:51:17 | 日記

園長です。

 「保育園に落ちたわ・・・。」というブログが世間を騒がせています。保育所の待機児童の問題なのですが、私はこれを聞いて、「世の中変わったなあ。」と思いました。今までだと阿倍総理が言った「匿名の話は聞かない」対応が普通だったのに、たった一人のしかも匿名の批判記事に躍起となって対応しようとしています。結果的には、私たちには嬉しいことなのですが、これまでのことを思い出すと釈然としないものがあります。

 私の園では、全国的な保育団体の組織に加盟しています。毎年、保育制度、保育士(保育教諭)等の改善を求め、署名運動や資金カンパに協力しています。この署名運動は、衆議院・参議院議長あてで、毎年多くの署名が集まります。待機児童に対しても、これからの保育制度に対しても時間をかけ、お金をかけて地道に活動してきました。しかし、残念ながらなかなか良い結果には結び付いていません。それを考えると「たった一人の匿名からの批判」で、制度の充実を考える方向性に動いています。たった一人の国民の声に耳を傾けたのでしょうが、私たちの今までの運動、活動は意味がないことだったのか考えさせられました。署名運動より匿名のブログを一国民のように見せかけて発信した方が効果があるのでしょうか。

 昔、「1.57ショック」と言われた時代がありました。私がこの保育の世界に入ったばかりのころでした。「人口減少」「少子化」は日本の危機につながる。経済活動の停滞、国民の意欲、社会保障問題を考えると少子化に歯止めをかけないといけない、そのためには保育制度の充実、保育士の賃金改正は避けて通れない、こどもにもっとお金をかけて欲しい。・・・・という私たちの要請に、国の役人がこう言いました。「皆さんは先進諸国の中で子どもにかけるお金が一番低いと言いますが、この先日本は少子化になり、今のお金でも十分足りるようになります。」と。・・・その結果が今の現状です。この現状を打破するために「消費税10%」を前提に、こどものためにお金を使うことになりました。もっと早く動いていれば違う場面が予想されたかもしれません。でも動いてくれたことに感謝したいと思います。

 もうひとつ。今、保育士不足が叫ばれています。その解消のために保育士の賃金を上げるように指導しています。保育士にとっては朗報でしょうが、制度自体が未熟で先行きが不透明な時にとても不安を感じています。待機児童の問題は大都会の問題であり、日本のほぼ9割は定員不足の状態です。2020年の東京オリンピックが終わるころには、その東京でも人口減少、少子化に突入するそうです。待機児童解消のために「雨後のタケノコ」のように出来た保育園は一体どこに向かうのでしょうか。そこで働いていた保育士はどこに向かうのでしょうか。日本の保育、日本の未来に不安を感じている園長です。

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