ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

D I A R Y 3 月

2024-04-06 12:31:10 | つぶやき
  3月 某日 ①
 東京圏で暮らす2人の息子とは、
グループLINEで、時々やりとりしている。

 そのLINEに息子から
『北海道人は、おおむね「したっけ」と
「なんも」で会話できる。
そうですね』
とあった。

 LINEには
『オールマイティーすぎる最強の北海道弁』
と題した「X」Twitterが添付されていた。

 早速、家内が返信した。 
「私がよく言うのは“なんもだ”です。
(2人とも)違和感なかったでしょう?」

 息子からは
「北海道の親戚の皆さんは、
みんな、なんもだ~って言ってましたね
 特にEおじさんが言ってるイメージある」
と返ってきた。

 そんなやりとりに惹かれ、
添付のTwitterにあった『なんも』を見てみた。
 そこにあった『喫茶店で伝票を押しつけあう時』の事例に、
思わず笑ってしまった。

 「いや、なんもなんも、
いやー、この前ごちそうしてもらったじゃないの、
 いやー、今回は私が出すから、
いやいいーのよいーの、
 なーーーんも、いやいいから、私が出すってば、
なーーーーんも、いいのいいの、   
 今日は私に出させて」

 道民なら、よく耳にする会話の一部だ。
私も、ごく自然に「伝票を押しつけ合う」2人の場面が、
イメージできた。
 確かに『なんも』はオールマイティーな言葉と言えそうだ。

 遣い慣れると実に便利な言葉で、私も利用するが、
『なんも』には、主にこんな意味があるようだ。 

 1つ目、「大丈夫」とか「気にしないで」の代わり。
例えば、
 「遅れちゃってごめんね」
「なんもなんも!」。

 2つ目、「いやいや」とか「ちっともだよ」として遣う。
例えば、
 「この前は送ってくれてありがとう」
「なんもだよ!」。

 3つ目、「いや~どういたしまして」の意味合いで。
例えば、
 「プレゼントありがとう!」
「なんもさ~」

 続いて『したっけ』だが、
これもなかなか使い勝手がいいようだ。
 ただ、私はうまく遣えないままでいる。
どうやら、『いたっけ』には2つの意味があるらしい。

 1つ目は、あいさつに遣う「したっけ」だ。
「さようなら」や「それではまた(失礼します)」
「それじゃ、また後でね!」の意味で、
帰り際に「したっけね〜!」と言って別れる。

 時々そんな光景に出会うことがある。
親しみがあって、ホッコリとする。

 2つ目は、接続詞として遣う「したっけ」だ。
例えば、「そうしたら」という意味の接続詞として、
「山本さんに出会って、したっけね」と遣うのだ。

 また、会話のつなぎの「それにしても」など
話題を変える場合に、
「雨になりそうだけども、したっけ、この花綺麗ね」。
 そして、「ちょっと」の部分を置き換えて、
「こんな講義意味ある?
 したっけ、飲み物買ってくるわ」。

 自治会で一緒に役員をしている方に、
活動報告で「したっけ」を多用する方がいる。
 臨場感があって、みんな真剣に聞いてしまう。
うまく遣えるといいのにといつも思う。  

 さて、北海道暮らしも12年になる。
『なんも』と『したっけ』以外の北海道弁も、
小さい頃は触れていた。
 今は、懐かしく想うことが多いだけで、
まだまだ私の日常語にはなっていない。
 徐々に徐々に馴染むことだろう。

 私を温めてくれる北海道の方言を羅列してみる。

・ぺったらこい = ひらったい      ・はっちゃきこく= 一生懸命やる
・もちょこい  = くすぐったい     ・あっぱくさい = 簡単だ 
・みったくない = みっともない     ・こてんぱ   = さんざん
・げれっぱ   = ビリ         ・だはんこく  = 無理を言って泣く
・ゆるくない  = たいへんなこと    ・じょっぴん  = 戸締まりをする
・あったらもん = あんなもん      ・しばれる   = 凍る
・ばんきり   = いつもかわらない   ・おばんです  = 今晩は
・かじける   = こごえる       ・やばちい   = きたない
・あずましくない= おちつかない     ・ごんぼほる  = 駄々をこねる
・めんこい   = 可愛い        ・かっちゃく  = ひっかく
・はんかくさい = ばかみたい      ・ごしょいも  = 馬鈴薯


  3月 某日 ②

 コロナ禍前だったと思う。
書店に並ぶ1冊に目がいった。
 『銀河鉄道の父』だった。

 表紙の帯には、
『父でありすぎる父親が
 宮沢賢治に注いだ無上の愛。
感動の「親子」小説!』
とあり、こうも書いてあった。

 『岩手県をイーハトヴにし、
銀河に鉄道を走らせた宮沢賢治は、
いかにして想像力豊かな詩人・童話作家になったのか。
 賢治の父・政次郎は
「質屋に学問は必要ねぇ」
と自分の父から言われ、進学を断念して店と家を守ってきた。
 だが、家業を継ぐべき賢治は学業優秀で、
上の学校へ行きたいという。
 苦悩する父と夢を追い続ける息子の、
対立と慈愛の月日』

 門井慶喜さんのこの小説は、
第158回直木賞受賞作だったが、
表紙の帯で俄然興味が湧き、買い求めた。
 それから、もう4年以上が過ぎている。

 ぶらりとレンタルビデオ店に立ち寄り、
DVDの棚を見ていたら、
 小説と同じタイトルで映画になっていた。

 役所広司さんが政次郎役を務め、
長男・賢治を菅田将暉さん、
賢治の妹・トシを森七菜さんが演じていた。
 早速、自宅でビデオ鑑賞した。 
 
 日本のアンデルセンにと願った妹・トシが、
肺結核で亡くなり、
そして、賢治も同じ病気で闘病。

 その時、政次廊は賢治の手帳にあった
「雨ニモマケズ」を見つける。
 そして、死の直前だ。

 その時を迎えて伏せる賢治に、
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ
・・・・・ ソウユウ人ニワタシハナリタイ」
と、政次郎は暗唱する。
 映画ならではの感動の場面だった、

 死別を前に、役所広司さんが演じる賢治への愛に、
私の涙腺は崩壊してしまった。




      春 陽 に 孟 宗 竹    

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