ワンダースター★航星記

写真を撮るとは、決して止まらない時間を止めること。旅や日常生活のインプレッシブな出来事を綴ったフォトエッセイ集です。

ツバメ・キッズの旅立ち

2020-05-13 | 

ツバメ・キッズの旅立ち

 

 町並の軒先をツバメたちが猛スピードで飛び交っていた。

 今、まさに、子育ての真っ最中のようだ。

 それなのに、一匹のツバメが思案気に停まっていたのが気になったので、声をかけてみた。

             

 「やあ、ツバメさん。みんな、忙しそうに飛び回っているのに、あんただけ、じっと、停まっているね。どうかしたの?」
 
 「人間なんて、わたしらには気にも留めないと思っていたのに、わざわざ、声かけるなんて、あなたも変わっているね。」

             

 「いや、何だか、悩んでいるように見えたから、ちょっと、気になってね。」

 「そう、見えるかい?」

 「見える!見える!」

 「子育てのことでね。」

 「子育て!?人間だって、子育ては大変さ。よかったら、話してごらんよ。」

               

 「うちの子たちさあ。すっかり、大きくなったのに、いまだに親のすねかじりばっかり、してねぇ。困ってるんだよ。」
 
 「こりゃまた、人間とおんなじ!ほんとに、ここまで育てたんだから、早く、一人前になって欲しいと思うよね。」

 「ほら、奥にいるだろ!なんせ、五つ子だからね。」

               


 「確かにでかい!親より、でかいかも・・・」

 「でしょ!それなのに、いつまでたっても、餌ばかり、ねだるんだよ!」

 「ほんとだ!また、顔より、でかい口だ!5匹、いっせいに口開けられたら、親もたまらんわな。」

 「親は自分が食べる間もないくらい、大忙しさ!」


               
             
 ところが、次の瞬間だった。

 ツバメ・キッドたちが巣から身を乗り出したかと思った瞬間、特急電車のような猛スピードで何処かに飛び去っていった。


 鮮やかな突然の親ばなれ!発つ鳥、巣だけを残す。

 呆然と見送る親ツバメは、少し淋しそうにみえた。

               

               
 「あんたが“青い鳥”だってことに、今、初めて、気が付いたよ。」

 

blogramで人気ブログを分析
人気ブログランキングへ 
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村
              にほんブログ村 
FC2 Blog Ranking


最新の画像もっと見る

コメントを投稿