「弧廻手形」は、1993年(平成5年)の「銚子電鉄開通70周年記念」の一つとして販売開始されました。
「江戸時代をホウフツ
スゴイ人気の「弧廻手形」
一日中乗降し、タイ焼等のサービスも
一日中、銚子電鉄全線の、どの駅で、何回乗ったり降りたりしても、料金は、すべて大人540円、子ども280円という一日フリー乗車券、名付けて弧廻手形(コマワリテガタ)は、つい最近銚子電鉄開通70周年記念として、銚鉄が始めた新企画で、これが大ヒット。利用者は連日百人ぐらい。
江戸時代をホウフツとさせる「弧廻手形」というニックネームにしてからがいい。
それにこの手形には、次のようなサービス券も付いているのも、人気のゆえん
▼銚子電鉄名物 観音駅のタイ焼一ぴきサービス
▼地球の丸く見える丘展望館割引券 入館料一割サービス
▼満願寺参拝券
▼銚子ポートタワー展望室割引入場券(一割引)
▼お食事割引券 犬吠駅チャイナムーンまたは電車レストラン「海鮮市場」の、どちらかに限り一割引」 平成5年8月8日 大衆日報
この頃銚子電鉄は、定期券利用者の激減で、平成4年度には年間1億円近い赤字が生じており、その内8千2百万円あまりを国・県・市の補助金で賄っている状況でした。
しかし、国は経常収支の改善がみられないなどの理由から、銚子電鉄同様、欠損補助を受けている全国の中小私鉄十社に対し、欠損補助金の打ち切りの方針を示しており、そのうち2社がすでに補助を打ち切られていました。
有識者等からなる「銚子電気鉄道運行維持対策協議会」では、国・県に対して補助継続を強く要望するとともに、利用促進・増収対策を会社側に提言。この改善努力の一つとして弧廻手形が発行されました。
そして「1人でも多くの利用を」と銚子市民に呼びかけています。この時から十年以上後の新たな経営危機に対して、なるべく多く銚子電鉄に乗る活動は間違っていなかったと考えています。
私の持っている中で一番古いと思われる弧廻手形です。
使用日が入っていない古い弧廻手形は、どなたかにいただいたものかも知れません。
金額欄は空欄になっており、大人「600円」と手書きされています。記事を引用した大衆日報には当時の弧廻手形も掲載されており、デザインは同じでした。金額欄は空欄です。
記事には「大人540円」と記されているので、1993年(平成5年)当時の弧廻手形は「540円」と手書きされたものと思います。
銚子電鉄の銚子から外川までの運賃の推移について、白土貞夫著『岬へ行く電車』で確認して見ました。
昭和63年11月21日 250円
平成元年4月1日 270円
平成5年12月20日 300円
平成9年7月1日 310円
弧廻手形発行時の平成5年(1993年)の運賃は往復540円であったことがわかります。12月20日には300円に値上げされているので、金額欄が空欄なのは、値上げを見込んでのこととも考えられますね。
サービス券は「観音駅のタイ焼き1匹サービス券」、「地球の丸く見える丘展望館割引入館券(一割引)」、「満願寺参拝券」、「銚子ポートタワー展望室 割引入場券(一割引)」、「食在犬吠 お食事割引券」の5種類でした。
「銚子電鉄名物 観音駅のタイ焼き1匹サービス」は豪華ですね。
「お食事割引券」は「犬吠駅内チャイナムーン又は、電車レストラン「海鮮市場」のどちらかに限り一割引きいたします。」となっています。
犬吠駅2階の「チャイナムーン」は犬吠駅の新駅舎竣工に伴い開設されたもので、平成5年当時の広告では「飲茶・海鮮・酒家」となっています。電車レストラン「海鮮市場」については、他の記事に「駅前広場の海鮮市場」とありますから、駅舎を出て左側でしょうか。
記憶が曖昧ですが、「電車レストラン」は最初、駅前の道路を渡った線路際にあったような気がするのですが・・・
次の弧廻手形です。これはオークションで購入しました。使用日は平成7年(1995年)3月21日です。
大人600円、小児300円と印刷されています。サービス券は変わっていません。
次は平成8年(1996年)6月23日使用の弧廻手形です。
デザイン、サービス券等同じですが、「銚子電鉄名物」の隣に「犬吠駅のぬれせんべい1枚又は」のスタンプが押されています。
犬吠駅で「ぬれ煎餅」の売店を開業したのが平成7年9月なので、これに併せてせービスを増やしたのだと思います。
次は平成10年(1998年)2月3日使用の弧廻手形です。
運賃改定後で「大人620円、小児310円」になっています。
サービス券は内容に変わりはありませんが、銚子電鉄名物が「観音駅のタイ焼き1匹又は、笠上黒生駅か、犬吠駅の手焼きぬれ煎餅1枚、どちらか1点」とまとめられました。また「食在犬吠」のお食事割引券が犬吠駅内チャイナムーンのみになっています。
左下の電車の写真は、当初から犬吠埼灯台とデハ701で変わっていません。