線を引く
大作にとりついて一週間になる
線を引く
ただそれだけを繰り返していると
心だけが見えてくる
目に入るのは
ふすま2枚分のキャンバス
鉛筆の線が、粉を落として、その粒子さえ宇宙に見える
特殊空間のなかで
シャー芯の音だけが現実に引き留めてくれる
心は
単純なエネルギーとなって
その音の周りを遊んでいる
苦悩と喜びが
手をつないで
踊 . . . 本文を読む
(ノートに挿まれていた切抜き記事を発見)
何気なく古いノートを開いたら、新聞の切り抜きが出てきた。無論私の仕業だが、初めて見るような新鮮さで、ローソクの絵に引きつけられた。
平成20年の日付だから、7年前に感銘を受けて切り抜いたのだろうが、全く思い出さない。
記事を読んでいくうちに、得心する。高島野十郎、こんな画家がいたのかとあらためて思い、これを残したいという気持ちに、今こ . . . 本文を読む
心は一生旅をしても足りないほど、広く深い。
このちっぽけな体の中に
どうしてこれほどの世界が詰め込まれているのだろう。
一つのことに気付けば、さらにその奥が見えてくる。
その全体を知る方法があるとすれば
それはただひとつしかない。
それはつまり
この心をすべて明け渡して
気付きの中に入っていくこと。
絵はそこに生まれてくる。
. . . 本文を読む
私は闇を描く
この闇の中にいると、私の心は不思議と落ち着くのだ。
鉛筆の色、それは絵の具の黒ではない。空間そのものの深みがあって、私の心はそこから離れられなくなった。
なぜなのか、問いかけは常にあるが、しかしそれに答える言葉の前に、その闇に安心を覚える心が、言葉を使わせなかった。
問いに言葉で答えることは出来ない。
言葉で発したとたんに、それは嘘になる。
それでも言葉を使いたければ . . . 本文を読む
絵は下手で、はなからそういってあきらめている人がいる。
何をしたらいいのかわからないと無趣味にあきらめている人がいる。
そんな人に是非知ってほしいことがあります。
それは線を引く楽しさです。
絵が下手でダメと考える人は、絵というと、リンゴや花などを上手に描かなければいけないと思い込んでいるようです。
確かに画廊で扱うような絵は価値がありそうですが、それは絵の世界の小さな側面でしかありませ . . . 本文を読む
国立新美術館で具体美術協会の回顧展が開かれている。
夜行バスを乗り継いで、観に行った。
そして、なにやらわびしさと、腹立たしさが複雑に絡んだ気分になった。
具体の仕事は素晴らしい。今見ても新鮮なものがある。
それが認められるのはうれしい。
しかし・・・
展示された作品は色あせて、動かないものさえある。
主宰者にどれほど悔悟の念があるのか . . . 本文を読む