(21)
「そっちに行ったぞ!」
「右だ!」
「左だ!」
歓声の中、金色の猫が宮殿から中庭に飛び出してきました。ところが広場は騒ぎを聞きつけた兵士で埋まっていたのです。逃げ場を求めて突進する猫の道が盾でふさがれ、進路を変えると、そこにも盾が現れます。猫はいつの間にか盾の壁に追い込まれていったのです。
兵士たちは楽しむように猫を追い詰めていきました。その輪の中に網を投げ込む者がいました。二 . . . 本文を読む
(20)
フェルミンは元気で朗らかな、優しい子供でした。野原を駆けまわるのが大好きで、王宮にある森に興味を持って、ふと気付いた不思議があると、それを探ろうとどこへでも探検する活発な子だったのです。野外の空気はどこまで行っても広く、清らかに感じられました。不思議なのはいつも、フェルミンが遊んでいると森の動物たちが集まってくることでした。フェルミンが森で迷子になっている時も、必ず動物 . . . 本文を読む