Ⅰ
認識の構造
全体=認識✙否認識
認識=全体-否認識
否認識=全体-認識
・・・・・
境界線の引けないものは個として認識不可能という真理から
認識とは名詞ではなく動詞だと考えるのである
その理由は、認識の最も根源的な機能が
境界線を引くことだからである
認識は境界線を引くという
動的な機能があって
成り立っている
その意味で
上の
構造式を見ていただきたい
三つの要素の中で、認識だけが自由に動くのである
Ⅱ
認識が成り立つ条件
一、意識があること=認識対象に意識を向ける力。宇宙的エネルギーである
二、認識対象があること=認識が背景との区別を見つけ境界線を作り上げるためにその対象が不可欠
三、認識を浮き上がらせる背景があること=境界線の外側(否認識)がなければ認識は成り立たない
四、対象と背景が区別されること=闇にカラスのことわざ通り、背景と区別のつかないものは境界線が分からない
Ⅲ
瞑想の実践(梵鐘瞑想法)
概要は梵鐘の音に意識を集め、音が消え入る瞬間を味わうこと
具体的な瞑想方法は次の通りである。
①
認識対象は梵鐘の音である
音を認識するためには
音の周りに無音の世界がある
すなわち否認識の世界があることを
理解していることが最低条件となる
ただし静かな環境なら音叉でも構わない
音源にこだわりはない
②
鐘を打ちその音に意識を集中する
音に境界があることを意識で探る
無音の空間に音が存在するイメージを持つ
意識を集中させ心を音からそらさない
やがて梵鐘の音が小さくなり消える
意識を研ぎ澄まし
音が完全に消え入るまでその地点を見つめ続ける
③
音が消えた瞬間、意識だけがそこに残る
その体験を事実として受け止める
残った意識は何を見ているのか
深く瞑想してみる
④
音が消えたからと言って音を捉えていた認識がなくなることはない
音のない世界に意識が残り
今も
認識が存在することをあらためて確認する
音が消えると残っているのは何か
認識していた音が消えたら
否認識しか残らない
すなわち
無を
認識していることになる
⑤
この瞑想の最大の利点は
普段の認識が
そのまま否認識である空の認識にスライドしていくということである
それを分かったうえで
認識から音が消えた状況に向かって
さらに意識を集めていく
⑥
その状態の中で
空を認識することの意味を求め
今この瞬間に起こっている体験を引き受けながら
瞑想を続ける
⑦
何が見えてくるのか
五感の変化はあるのか
思考はどう変わったのか
自分はどこに行ったのか
心の状態はどうなのか
何に包まれているのか
一体感か分散か
己か空か
⑧
否認識だった空
その空を認識しているのなら
別に否認識の世界があるはずである
空を見ながら
思考を働かせる
理屈はすでに分かっている
この時、否認識の世界にいるのは
空を認識している当の本人
自我に他ならない
⑨
その気付きに向かって
さらに意識を深めていく
空の中に浮かんでいるものが見えてくる
それが自我だと思えるかどうか
瞑想の終着点に
至るかどうか
感動を
覚えるかどうか
⑩
空の中に己が浮かんでいる
己と空が合わさって
満たされた世界がある
これですべて
空と自我とが溶けあうこともある
空の中で
己は一塊の人類
そこで止まるか否か
空そのものの中に同化するのかどうか
私は人類に留まり
最後まで
人の世界を見届けたい
了
Ⅳ
終わりに
五感の中で他にも
認識の構造が分かりやすいものがあれば
音に限る必要はありません
認識の構造についての理解が
重要なのです
人間の秘密がそこにある
そんな気がします
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