初めてのアメリカ体験は、ホテルのラウンジで行われている貸切パーティだった。
夕食をとるために、教えてくれた場所は、ホテル内のラウンジだった。その前から異様な雰囲気はホテルカウンターで感じていた。
ホテルのロビーを考えられない人体が歩く。相撲の小錦以上の、肉が零れ落ちないのが不思議なくらいの人物が目の前を横切る。それが一人だけではないのだ。
そしてラウンジに足を踏み入れた瞬間、肌でアメリカを実感した。最音量のロック、そしてひしめく人々、黒人、白人、そして褐色、何のパーティーか知らないが、小錦級の人体があふれ、踊り、歌い、飲んで食っている。控えめにとった写真に映っているのは、その場の平均的な体格の人たちで、我々二人は、その圧力に押しつぶされそうになる。私の出っ張った腹など超スマートに見える。
食事はファーストフードしかなかったがやむ終えない。注文のためカウンターを目指すのだが押しつぶされそうでなかなか進めない。声を張り上げても周りの騒音にか聞けされ、巨人達は私達がいるのにも気付かない。
しかし石さんは臆することなく、ようやくレジの女性を捕まえて注文に成功、端のテーブルを見つけて座った。しかし、いくら待っても食べ物は来ない。
待っているとどうにもならない。誰のかわからないが、出来合いの食べものが窓から出てきたらとにかく取ろう。石さんがそういって、我々は必死で、窓口に出てきた骨付きチキンを奪うようにテーブルまで運んだ。ビールでアメリカの初夜を乾杯する。
チキンは食いきれなかった。
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