(落葉する葉っぱたち・・・)
昔、職場の上司で、プロ級の蝶収集家がいました。Nさんといいます。
二人しかいない係りで、Nさんがつまり私の上司、係長というわけです。
そのNさんは、きっと私は死ぬまで忘れられないだろうと思うほどの変わり者でした。
蝶の収集はプロ級ですが、驚いたのは幼虫から育てていくのです。生きものですから、世話をしなければなりません。Nさんは蝶の幼虫(毛虫)を職場に持ち込み、休み時間には餌のスミレや楠の葉っぱを採ってきて古いものと取り換えてやります。
Nさんの秘密を知って2日目に私はその弟子となりました。
その日からツマグロヒョウモンの飼育です。(仕事はやった上での話ですよ。Nさんは立派な仕事人でしたから)
毎日スミレの葉っぱを取り換えてやり、世話をしていると何日かしてさなぎになります。ツマグロヒョウモンのさなぎは世界一美しいと思いました。銀色のメタリックなブローチをいくつもつけているのです。写真ではよくわかりませんが、職場の誰もが感動していました。
その間に幼虫が箱から這い出して、部屋のあちこちに出没すり騒ぎも引き起こし、私たちの係りはほんの少し白い目で見られていいるのを肌で感じながら、さなぎの銀飾りに胸を張り、そしてついに成虫の姿を見たとき、私たちの係りは英雄でした。
そんなNさんの弟子になって、何年か経ちました。そのうちにNさんは私を連れて、国蝶オオムラサキの幼虫採取のため山に入るようになりました。
オオムラサキのことは知っていましたが、まさか本物に出会えるとは思っていませんでした。しかしNさんの行くところ、エノキの大木の周りに、バサバサと音が立つように思えるほど大きな オオムラサキが飛んでいるではありませんか。そして私たちは、エノキの枯葉の下にいるオオムラサキの幼虫を探し始めました。
ナントもかわいい幼虫を見つけると、もう私は小学生でした。
その日から職場では、エノキの葉っぱがかかせません。思いがけないことに、街中でも注意してみれば、山にしかないと思っていたエノキが何本も身近で見つかるのです。
私たちは何度も山に入りました。エノキの青い葉は幼虫の食事となります。そして秋には落葉した枯葉が幼虫のゆりかごとなるのです。枯葉の裏に身を引っ付けて寒い冬を越すします。その姿を想像するだけで、自然の営みに胸打たれます。
その時Nさんが教えてくれた落葉樹の数々。
今回のジョイントで懐かしく思い出してしまいました。
木枯らしの、私の思い入れは、ここからきているようです。
いいジョイント「心と心」となりますよう。むっちゃんさんにもエールを送ります。
だれも同じことをして、常識の範囲で楽をして舞台の登場時間を難なんくこなそうとする。
これもひとつの生きる智慧ですが、心がふるえるほどの喜びはそこにはないということだとおもいます。
一回しかない人生。貴重な時間ですから、大切に使いたいですね。