「あっ、花だス。」
「ほんとでヤす。ほら、あの島のまんなかに見えるでヤす。」
霧で隠されていた島が現れたとき、その中央に咲く一輪の花が初めてみんなの目に止まったのだ。花は幾分オレンジがかった色味を帯びて、白い風景の中で浮かび上がるような光を放っているのだった。ここから見えるのだから、かなり大きな花に違いない。
「博士、あれは何でしょう。」
「もしかしたら神ひと様と関係があるのではな . . . 本文を読む
一八、神ひと様
ついにやって来たのだ。みんなは窓の外の光景に釘付けになった。
初めて見る神ひと様。長い旅の果てにようやく巡り会う事が出来るのだ、その姿の一部始終を見逃さないようにと、誰の心も踊っていた。
だが、どうした訳か、次第にあらわになってくる光景は、乗組員達の心を裏切り始めたのだ。
人肌を接写した . . . 本文を読む
一七、最後の道程
スケール号は再びピンクの川の上空に戻って来た。緑の海の中に渦を巻くようにピンクの川が流れている。
以前に見た光景そのものだった。おばあさんの心の世界では、このピンクの川は、途中で流れが止められて、紫色に変色していたが、ここは健康そのもののようだった。
ただ見ているだけでは気づかないが、目前のピンクの川は、前に見たものよりはる . . . 本文を読む