徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

紅葉見物にかこつけて・・・

2012-12-09 20:20:42 | 歴史
 右の絵は歌川豊国(三代)と歌川広重(二代)の双筆による「江戸自慢三十六興 海晏寺紅葉」。
 江戸っ子の秋の最大の楽しみは紅葉狩り。なかでも品川の海晏寺(かいあんじ)は江戸随一の紅葉の名所として人気があった。品川にはこの海晏寺の近くに品川遊郭があり、紅葉狩りを口実にやって来るものの、紅葉には目もくれず遊郭へ遊びに行く輩も多かったという。いつの時代も男って奴はまったく。
 この品川遊郭でとても人気のあった妓芸の一つが「品川甚句」。意味不明の歌詞とここちよいアップテンポのリズムが特徴的。「二上り甚句」と呼ばれる唄と同一のものらしいが、おそらく妓楼ごとに少しずつ異なる発展をしたものだろう。
品川甚句
小窓あくれば 品川沖よ
鴨八百羽 小鴨が八百羽
入船八百艘 荷船が八百艘
帆柱八百本 あるよ あるよ
朝来て昼来て晩に来て
来てこんとは いつわりな
来たしょうこにゃ 目が一寸だれちょる
酒飲んだ だれよとだれとが
違がちょる ハッハッ違ちょる違ちょる
切株 土手背負って
恋ちょろ ちょろね
船は出て行く煙は残る
残る煙が アイタタタタ
しゃくのたね

(参考)海晏寺には熊本藩の横井小楠を政治顧問として招いた越前福井藩主・松平春嶽のお墓がある。