徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

ラフカディオ・ハーンとジャズと民謡

2012-12-27 18:57:57 | 文芸

 僕は立田山の泰勝寺跡を訪れる時、ついでに小峰墓地の「鼻欠け地蔵」によくお参りしに行く。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「石仏」に出てくるあの仏さまだ。そしていつも想うのは、ハーンがここに立って眺めた周囲の景色のことだ。彼の視界には、泰勝寺の山門にほど近い僕の父の生家が入っていたに違いない。もちろん今はその家もなく、視界をさえぎるものも多いのだが。
 その「石仏」にも書かれているようにハーンはその作品の中に日本の文化を表現し、紹介しているわけだが、異文化に対する興味は日本に来る前から強かったらしく、アメリカの新聞記者時代も、ニューオリンズ付近の民謡や習俗の採集を行ないメディアで発表していたという。今日のジャズのもととなったクレオールの民俗音楽も採集して発表している。ハーンとジャズ、ちょっと興味深い取り合わせだ。
 下の「銚子大漁節」は日本においても民俗音楽を熱心に研究し、採集した中の一つで「漁師の数え歌」としてわざわざ英訳までして発表している。

一つとせ 一番づつに積み込んで 川口押し込む大矢声 浜ァ 大漁だね
二つとせ 二葉の沖から外川まで 続いて寄せ来る大鰯 浜ァ 大漁だね
三つとせ みな一同にまねをあげ 通わせ船のにぎやかさ 浜ァ 大漁だね
四つとせ 夜昼焚いても焚きあまる 三ばい一ちょのおお鰯 浜ァ 大漁だね
五つとせ いつ来てみても干鰯場は あき間もすき間も更にない 浜ァ 大漁だね
(以下省略)

Firstly,
  The first ship,filled up with fish,
  squeezes her way through the river-mouth,with great shouting.
  O this ship of great fishing!

Secondly,
  From he offing of Futaba even to the Togawa,
  the ships,fast following,press in,with a great shouting.
  O this ship of great fishing! 

Thirdly,
  when,all together,we hoist our signal-flags,
  ee how fast the cargo-boats come hurrying !
  O this ship of great fishing!

Fourthly,
  Night and day through the boiling be,there is still too much to boil-oh,
  the heaps iwasi from the three ships together.
  O this ship of great fishing!

Fifthly,
  whenever you go to look at the place where the dried fish are kept,
  never do you find any room-not even a crevice.
  O this ship of great fishing!