徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

森繁久彌 & 向田邦子の至芸 「かわうそ」

2009-11-18 20:41:50 | その他
 森繁久彌さんを偲ぶ特番「ありがとう 森繁久彌さん~日曜名作座、再び~」(NHK第1)の昨夜は、向田邦子作「かわうそ」だった。向田さんが亡くなった2ヶ月半後に、急きょ放送されたものだそうだ。気のせいか、森繁さんの語りも、いつもより少しばかりトーンが低かったような気がした。しかし、「指先から煙草が落ちたのは、月曜の夕方だった」で始まり、「写真機のシャッターがおりるように、庭が急に闇になった。」で終る向田さんの表現力豊かな文は見事というほかなく、まさに「文は人なり」だ。さらにその文を、森繁さんの話芸が紡いでいく。死者(おそらく)の視点で語る衝撃のラストは、ビリー・ワイルダーの名作「サンセット大通り」を思わせる。これぞ最高の“芸”というものを味わわせてもらった。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
言葉を紡ぐ (pinky)
2009-11-19 00:02:43
この書き出しの表現を読んだ当時、脳梗塞で倒れた義父の話と重なって
改めて、向田邦子という人のすごさに感心したのを思い出しました。

普通の人が、何も思わず見逃してしまうような
生活のなかの些細な出来事を
本を読んだだけで、鮮やかに映像が浮かぶような表現力に驚くばかりでした。

夜中、階下に下りて来て、聞いてはいけない話を
意味身にしてしまった主人公が、畳に落ちていた
爪を踏んでしまったという表現があったのは
どの作品だったでしょうか。
作品お名前も覚えていないのに、ちくりと痛んだ心をちくりと痛い足の裏に置き換えた表現に
感心したのを今もはっきり覚えています。

今回の「かわうそ」を聞き逃してしまって、残念です。
返信する
Re:pinky さま (FUSA)
2009-11-19 00:43:40
この「かわうそ」でも岸田劉生の「獺祭図」を例えにして、妻の性格や行動を表現したりするあたりは天才的ですね。
> 爪を踏んでしまったという表現があったのは
どの作品だったでしょうか。
あいにく私は向田さんの作品を文章で読んだのがまだ少なく、思い当たりません。今、徐々に読みつつありますので、気をつけておきます。
「かわうそ」はテレビドラマ化もされているらしいですが、全然記憶にありません。ご存じですか?
返信する
あやふやな記憶 (pinky)
2009-11-20 00:41:56
見たような見ていないような・・・
はっきり記憶していません。

向田さんの表現力が素晴らしい清だと思うのですが
実際にドラマで見たものと、本で読んで想像した情景とが混乱するのですね。

そこで、ちょっと調べてみたのですが
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-31585
こちらにこんな記録が残っていました。
返信する
おはようございます! (FUSA)
2009-11-20 09:27:54
情報ありがとうございます!
この出演者の数、何なんでしょうね?
だいぶイメージが違うような・・・
いろんな話をくっつけてふくらましてあるんでしょうね。
寺内小春さんの脚本で、深町幸男の演出ですから、見てみたいですね。
「はね駒」は寺内小春さんでしたよね。シナリオを読んだことがありますが、素晴らしかったですよ。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。