発掘作業中の某縄文遺跡から出土品を貰った。
無論、合法的に貰ったのだし、出土品といっても保管せずに捨ててしまうレベルのもの。
それはクルミの殻と枝、それと炭化した木の塊。
土器や石器といった無機物は腐らないので出土しやすいけど、有機物はバクテリアで分解されてしまうので出土しにくいのが普通だ。
でもその遺跡は現在の地面から4m下の地層にあって、地下水位より低い所で空気から遮断されていたので、バクテリアが分解できなかったのだ。
一種のタイムカプセル。
普通の人にとってはゴミだけど、俺にとってはお宝だ。
なんてたって、四千五百年も前の縄文人が触れたかもしれないクルミなのだ。
飾っておくだけでは勿体ないので、クルミの殻でペンダントを作って縄文仲間の友達にプレゼントした。
虫食いの孔が開いたクルミは、中に詰まった泥を丁寧に掃除して笛にした。
吹いたら可愛い音がした。
クルミの枝だって、熱帯魚の水槽に入れておけば保存できるので、お客さんに自慢できる。
そんなものでも喜んでくれる縄文ファンの友達が俺にはいる。
喜びや面白味を共有できる友達の存在は、人生の幸せだ。