Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

ランボー・ド・ヴァケラスの「五月の一日(カレンダ・マヤ)」を聴きながら西谷から三枚町まで歩く

2010-01-26 05:23:47 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
昨日は西谷から三枚町まで歩きました。
途中聴いたのは1150年か1160年頃に生まれた
ランボー・ド・ヴァケラスの作品である。
モンフェラのボニファスの家臣であったトルバドゥールで、
公に仕え、1202年の第4回十字軍に参加した人物のようだ。
32の詩のうち、8つには曲が付けられ、彼の作品として知られている。
その中でも有名な曲「五月の一日(Kalenda maya)」の作曲年代は分からない。
聴いたCDは、トマス・ビンクレー指揮、ルネサンス合奏団の演奏による。

北フランスからモンフェラの宮廷にやってきたジョングルールたちが、
エスタンピ(器楽曲)を演奏したのを聴いたランボー・ド・ヴァケラスが、
その旋律に歌詞をあてはめたものがこの曲だと伝えられている。
ビンクレー盤では弦楽器同士が対話するような掛け合いで始まる。
器楽曲が原曲であることを意識しての演奏だろうと思う。
歌が入り、弦楽器が奏した同じ旋律を歌っていく。
五月の季節、花が咲き、鳥のさえずることがあっても彼には関係ない。
別れることもつらいと感じる詩人は高貴な女性に対する愛を歌う。
「わたしの作ったエスタンピはここで終わる」と、
最後に結ぶところがエスタンピを歌にした
この作品の由来を示しているようでいい。
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ライモン・ド・ミラヴァルの「最高の歌い日和」を聴きながら西谷から二俣川まで歩く

2010-01-25 05:31:58 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
ここのところトルバドゥールの作品をとりあげている。
昨日は西谷から二俣川まで歩きました。
途中聴いたのは1180年から1215年頃に活躍した
ライモン・ド・ミラヴァルの作品である。
ヴィーダ(伝承)によると、カルカソンヌの出身で、
ミラヴァル城に住む貧しい騎士階級のトルバドゥールであった。
48のシャンソンを残し、22には曲が付けられている。
「最高の歌い日和(Bel m’es qu’ieu chanter)」の作曲年代は分からない。
聴いたCDは、ミヒャエル・ボッシュ主宰、アンサンブル・ユニコーン、
マルコ・アンブロジーニ主宰、アンサンブル・オニ・ウィタルスの演奏による。

CDでは女性への愛を歌いあげるこの曲が、
アラブ的で異国風な伴奏となって楽しい演奏となっている。
トルバドゥールの歌に関してはアラブの音楽の影響を
どこまで考えるかというところが問題となっている。
当時の残された中世の絵画の中にはアラブ人の楽器演奏家の姿もみられるため、
南フランスのトルバドゥールの音楽に全く影響がなかったともいえない。
少なくともジョングルールとよばれる演奏家たちの中には、
アラブ人の音楽の影響はあったには違いない。
中世の音楽を聴く時は、アラブ音楽の影響をどこまで考慮し、
演奏者たちがどんなサウンドをつくりあげるかを聴くのも楽しみである。
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ディア伯爵夫人の「歌いたくないことを歌わなければいけない」を聴きながら西谷から三枚町まで歩く

2010-01-24 09:58:02 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
昨日は西谷から三枚町まで歩きました。
途中聴いたのは12世紀に活躍したディア伯爵夫人の作品である。
ベアトリッツ・デ・ディアとも呼ばれる彼女は、
プロヴァンスのトロバイリッツ(女性のトルバドゥール)である。
彼女の生涯についてはあまり分かってはいないが、ヴィーダ(伝承)によると、
ラインバウト・ダウレンガ(ランボー・ドランジュ)に思いを寄せ、
トルバドゥールでもあった彼にあてた詩には、
彼の勇気や高潔を讃えたものもあれば、不実を嘆いたものあるようだ。

「歌いたくないことを歌わなければいけない(不実な恋人に)」の原題は、
A chanter m’er de so qu’en no volriaであり、作曲年代は分からない。
聴いたCDは、ジョルディ・サヴァール指揮、エスペリオンⅩⅩの演奏による。
詩の中では恋人に対する愛する気持ちを打ち明けながら、
彼女に対しては傲慢であり、冷たくあしらうのを嘆いている。
自分の振る舞いのせいで二人が別れることを嘆いているようである。
最後は彼に対して「過ぎたる傲慢は多くの人を傷つける」という。
この曲をビンクレー指揮、ルネサンス合奏団のものと比較して聴いたが、
どちらかというとサヴァール盤の方が気に入っている。
CDの伴奏はヴィエールと打楽器中心でアラブ的な異国風である。
素朴で中世らしいのはビンクレー盤なのだが、こんな演奏も楽しい。
ともかく嘆きの歌であることは、メロディから伝わってくる。
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ジョフレ・リュデルの「五月の季節は日も長く」を聴きながら西谷から三枚町まで歩く

2010-01-23 08:55:50 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
昨日は西谷から三枚町まで歩きました。
途中聴いたのは12世紀中頃活躍したジョフレ・リュデルの作品である。
彼の生涯についてはあまりわかってはいないが、
ブライアの君主として1147年第2回十字軍に参加したようである。
会ったこともないトリポリ伯夫人に思いを寄せて、
その夫人にあてた「遠い恋」を主題とする詩を多く残し、
夫人への愛を捧げるべく十字軍遠征に向かい、その途中病に罹り、
トリポリの港で夫人の腕の中で亡くなったとされる。
あまりにもできすぎたような話なので、真実は違うものかもしれない。
後世になってそのような美しい話にまとめられたのかもしれない。

「五月の季節は日も長く(Lanquan li jorn)」の
作曲年代については詳しいことは分からない。
聴いたCDは、ミヒャエル・ボッシュ主宰のアンサンブル・ユニコーン、
マルコ・アンブロジーニ主宰のアンサンブル・オニ・ウィタルスの演奏による。
日が長くなり、鳥のさえずりの聞こえる五月の時季に、
この詩人が思うのは遠くにいる憧れの女性である。
遠くにいるからこそ、彼の恋する気持ちは高まっているように思える。
音楽と詩が一体となった芸術的な作品だなあと感じさせる。
CDの演奏の中間部ではアンダルシアのアラブ風音楽を感じさせるような
雰囲気の舞踏的な音楽も現れ、その異国風の感じも聴いていて楽しい。
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ベランギュイエール・ド・パルの「こんなにも愛している」を聴きながら三枚町から西谷まで歩く

2010-01-22 06:16:02 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
昨日は三枚町から西谷まで歩きました。
途中聴いたのは1160年頃に生まれたとされる
ベランギュイエール・ド・パルの作品である。
彼は、カタルーニャ出身のトルバドゥールである。
騎士であったようだが、細かい生涯のことについてはわからない。
「こんなにも愛している(Tant m’abelis)」の
作曲年代については詳しいことは分からない。
聴いたCDは、ミヒャエル・ボッシュ主宰のアンサンブル・ユニコーン、
マルコ・アンブロジーニ主宰のアンサンブル・オニ・ウィタルスの演奏による。

「こんなにも愛している(Tant m’abelis)」は、
このCDの冒頭の曲で、さわやかな弦の伴奏で始まる。
歌が入り、太鼓とリコーダーも加わり、中世の音楽らしい
ここのところ毎日忙しく、ストレスをためてしまうこともあるが、
喜び、愛、歌などを愛する詩人によるこの歌を聴くと、
中世ヨーロッパ人の生きるエネルギーを感じ、とても癒される。
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