温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

関平温泉

2016年12月10日 | 鹿児島県
 
鹿児島県は全国2位の生産量を誇るお茶どころ。霧島山麓には美しい茶畑が広がっています。そんな茶畑の近くにある温泉浴場「関平温泉」でひとっ風呂浴びることにしました。



牧園広域農道(霧島グリーンロード)を走り、途中で看板に従って右折し坂道を上がると、坂道の右手上方に施設名が書かれた建物が目に入ってきますが、これは今回取り上げる浴場とは別に設けられている家族風呂。さぞかし眺めの良いお風呂なんでしょうね。実際に週末には利用が多いため、事前の予約を受け付けているんだとか。なお今回は利用しておりません。


 
 
「関平温泉」の敷地は広く、丘の上の木立の中にベンチが点々と設置されていて、まるで公園のような構内は清々しく、ピクニックしたくなるような感じです。入口の前には木彫りの人形が飾られていたのですが、これって何なのかな。
館内に入り、券売機で料金を支払い、券を受付のおばちゃんに手渡して浴室へと進みます。


 
男女別の浴室は内湯のみですが、窓側に源泉の異なる二つの浴槽が並んでいます。一方、浴槽と反対側には洗い場が配置され、シャワー付きカランが5基並んでます。カランのうち2基にはハンドレールが取り付けられ、お年寄りや体の不自由な方でも使えるような配慮がなされていました。なお石鹸やシャンプーの類は備え付けられていないため、あらかじめ持参するか番台で購入しておきましょう。


 
2つ並ぶ浴槽のうち、手前側の大きな浴槽は新床源泉というお湯が張られています。このお湯はえびの高原から引いているんだとか。石板貼りの浴槽は(目測で)1.8m×3mの長方形で、足を伸ばせば6人入れそうな感じ。淡いオレンジ色に染まった湯口や浴槽を目にすると、きっと金気が多いお湯なんだろうなと想像しますが、実際に湯船に入ってみますと、金気というより、薄い重炭酸土類泉のような感覚で、土類感と共にわずかな酸味を有しており、湯中では弱いツルスベと弱いキシキシが混在する浴感が得られましたが、どちらかと言えばツルスベの方が勝っていました。なお湯温は41〜2℃というちょうど良い湯加減。


 
 
一方、奥の小さな浴槽は1.8m四方の3人サイズで、関平源泉という無色透明のクリアなお湯が張られています。脱衣室の張り紙には、このお湯は供給量が少ないのでちゃんと体を洗ってから入浴してください、という旨が喚起されていました。湯口のお湯を口に含んでみますと、僅かに甘露味を感じましたが、ほぼ無味無臭と言って差し支えなく、クセのないアッサリとしたお湯です。源泉の温度が低いため、加温した上で浴槽へ供給しているものと思われます。

この関平源泉は無色透明無味無臭のアッサリ湯であるため、何の特徴もないのかと思いきや、受付のおばちゃんや浴場にいた先客のおじさんなど、みなさんこぞってこのお湯を絶賛するのです。曰く、怪我・できもの・アトピーなどに効能がある他、手術後のケアにも良いんだとか。特におじさんは「トゲが刺さってもこのお湯に入れば抜けちゃう」と我が事のように関平温泉の効能を自慢げに話していらっしゃいました。このため、わざわざこの小さな浴槽を入るためだけに遠くからやってくるお客さんもいるそうです。



関平温泉は温泉水の販売に力を入れており、通信販売も行っています。館内でもPETボトルに詰められた温泉水が売られていましたので、お風呂上がりに冷たく冷やしたその温泉水を飲んでみました。500mLで110円。まろやかな口当たりで喉越しが良く、とっても美味しかった!


(新床源泉)
丸尾141号
(源泉所在地:牧園町高千穂新床国有林1056に外林小班)
ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 65.0℃ pH7.3 溶存物質1011mg/kg 成分総計1071mg/kg
Na+:111.7mg(48.02mval%), Mg++:24.9mg(20.26mval%), Ca++:47.7mg(23.52mval%), Fe++:0.4mg,
S2O3--:0.2mg, SO4--:176.1mg(38.39mval%), HCO3-:331.9mg(56.90mval%),
H2SiO3:269.7mg,
(平成24年5月21日)

(関平源泉)
関平1・2号混合泉
(源泉所在地:牧園町高千穂3926番地5)
単純温泉 36.5℃ pH7.6 溶存物質571.6mg/kg 成分総計598.4mg/kg
Na+:56.4mg(52.24mval%), Mg++:9.7mg(17.06mval%), Ca++:20.1mg(21.32mval%),
SO4--:43.9mg(19.70mval%), HCO3-:205.6mg(72.94mval%),
H2SiO3:205.2mg,
(平成24年5月21日)

鹿児島県霧島市牧園町三体堂2057  地図
0995-78-4012
紹介ページ(霧島市公式サイト内)

9:00〜20:00 第1・3火曜および年末年始定休
310円(毎月26日(ふろの日)は無料)
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★
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丸尾温泉 旅行人山荘 その4(紅葉の湯)

2016年12月08日 | 鹿児島県
前回記事の続編です。

前回記事で取り上げたように、「旅行人山荘」の宿泊客は、複数ある貸切風呂を1ヶ所無料で予約利用することができますが、時間枠に空きがあれば、当日でも無料で追加利用することができます。私が宿泊した翌朝には貸切風呂「もみじの湯」が空いていたので、せっかくですからもう一湯入ってみることにしました。


 
前回記事の「赤松の湯」はフロントから1フロア下りて芝生のお庭へ出ましたが、「もみじの湯」は建物を挟んで反対側の、正面玄関前に広がる丸尾丘の森の中に設けられています。まずはフロントで札をもらい、正面玄関から屋外に出て、目の前の森へと入っていきます。木立の中を伸びるトレイルは「森の散歩道」と名付けられており、所々で分岐していますので、道標に従って目的地へと向かいます。



トレイルの途中で道標が指す方向へ逸れると、その先に門が立っており、傍らの立て札には「これより先、予約がないと入れません」と書かれていました。そして門には「鹿は入浴禁止」という小さな札も掲示されていました。私は予約している人間なので、門を通って入浴できるはず。


 
瓦屋根の「もみじの湯」に到着です。「ひのきの湯」と並んでいます。入室の際には、扉の左側にある「入浴手形」という箇所に札を下げておきます。



古民家のような小屋の内部。一番人気の「赤松の湯」ほど設備は充実していませんが、それでも綺麗に維持されており、更衣室として必要な備品類はちゃんと揃っています。内線電話もあるので万一の時も安心です。


 
こちらが「紅葉の湯」の全景。お風呂の傍らにはシャワーが設置されていました。


 
ハマグリの貝殻みたいな目出度い形状をした石造りの浴槽は2人サイズ。お雛様とお殿様がしっぽりと湯浴みするにもってこいな環境です。お湯は竹の筧から注がれていました。こちらに引かれている源泉は大浴場の内湯と同じ単純泉。小屋内に掲示されている説明プレートによれば、この温泉は「文政2年(1819年)横尾権太によって発見された天然自噴の温泉で「湯治の湯」として使われていました」とのこと。こちらのお宿に引かれている単純泉と硫黄泉という2源泉を比べると、白濁する硫黄泉の方が観光客には高人気ですが、温泉としては単純泉こそが天然自噴のれっきとした温泉であり、かつ江戸期まで遡れる長い歴史を有しているんですね。
お湯はほぼ無色透明で、底には白くて細かな湯の花が沈殿しています。お湯からは砂消しゴムを連想させるような硫化水素臭と弱い酸味、弱い苦味、そしてゴムっぽい風味が感じられました。私の利用時は41℃前後の長湯仕様でしたので、体への負担も少なく、ゆったりと寛いで湯浴みを楽しむことができました。



湯船に浸かりながら空を見上げると、青い空と木々の新緑が実に美しく、この自然美を目にするだけでも心が洗われるようでした。名前の通り晩秋には素晴らしい紅葉を目にできるのでしょうけど、新緑の清々しさも素晴らしい。四季を通じて様々な姿を見せてくれるに違いありません。

4回連続で取り上げてきた「旅行人山荘」の記事は今回でおしまいです。お風呂も食事もホスピタリティも、どれをとっても満足できる素敵なお宿でした。


丸尾12・13・14・15号混合泉
単純温泉 62.4℃ pH6.8 溶存物質822mg/kg 成分総計915mg/kg
Na+:100.9mg(58.61mval%), Mg++:5.1mg, Ca++:40.5mg(26.97mval%),
Cl-:48.0mg(18.85mval%), SO4--:68.3mg(19.83mval%), HCO3-:267.3mg(61.17mval%),
H2SiO3:262.3mg, CO2:92.5mg, H2S:<0.1mg,
(平成25年11月25日)

鹿児島県霧島市牧園町高千穂3865
0995-78-2831
ホームページ

日帰り入浴など各種利用に関しては、拙ブログの前回までの記事、もしくは公式サイトでご確認ください

私の好み:★★★

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丸尾温泉 旅行人山荘 その3(赤松の湯)

2016年12月07日 | 鹿児島県
前回記事の続編です。

「旅行人山荘」には複数の貸切風呂があり、宿泊者は事前予約をすることによって希望のお風呂1ヶ所を無料で利用できるのですが、その中でも群を抜いて人気があるのが「赤松の湯」。このお風呂を目当てに宿泊するお客さんもいるんだとか。今回は夕暮れの時間帯に予約を取りましたので、まだ明るい薄暮の姿と日没後の姿の両方を目にすることができました。


 
貸切風呂を利用する際には、予約時間の5分程前にフロントへ行き、浴室名が書かれた札をもらって、指定の浴室へと向かいます。「赤松の湯」へは大浴場があるフロアへ下り、飲泉所を左に見ながら、芝生の庭を突っ切って向かいの林へと歩いていきます。庭を出るところまではスタッフの方が同行して道案内してくださいました。


 
庭と森の境界にひっそりと佇む門を通ってお風呂へ。フロントで手渡された札をこの門に下げて、利用中である旨を示します。


 
森の小径を歩いた先に建つ小屋が「赤松の湯」専用の脱衣小屋。


 
貸切風呂だというのに、小屋の更衣スペースにはカゴがたくさん用意されていました。ある程度まとまったグループでも利用できそうな感じです。しかもこの小屋には贅沢なことにシャワーまで設置されていました。



これが人気の「赤松の湯」全貌。
ひっそりと静まる霧島の森に抱かれた隠り沼は、美しい白濁の硫黄泉だったのでした。


 
浴槽はメガネのような感じで丸いのが二つ並んでおり、それぞれが結構大きいため、私のような一人客ですと持て余しちゃいますが、せっかくですから、殿様気分で贅沢に楽しませていただきましょう。このお風呂では眺望が得られるわけではないのですが、木々に抱かれているというなんとも言えないatmosphereが心を落ち着かせてくれます。森を深く入ったところにあるので、目隠しなど余計なものは一切無く、湯浴みしている自分が霧島自然が一体となれる、実に開放的な環境です。


 
2つの浴槽へそれぞれ形状の異なる湯口が設けられており、いずれからも硫黄泉がチョロチョロと注がれていました。前回記事で取り上げた2つの大浴場の露天風呂と同じ丸尾97号源泉です。両浴槽は若干大きさが異なっていましたが、両方とも41〜2℃の湯加減となっており、湯口以外で特に目立った違いはありません。入浴前の湯船のお湯は透明度があり、底には湯の花がたくさん沈んでいるのですが、私が湯船に入ると、その湯の花が舞い上がって黄色みを帯びた白濁に変化しました。お湯からははっきりとした硫化水素臭が漂っていますが、そうした強い濁りや匂いに反して、浴感はあっさりとしており、皮膚で得られる癖も少なかったように記憶しています。脱衣小屋に掲示されている説明プレートによればこの硫黄泉は「硫黄谷温泉」という名称を有しているらしく、「源泉は100度から130度の蒸気と熱湯でこれに湧き水を加水して温度を調整しています」とのことですから、文章通りに解釈すれば、熱湯状態で湧出した温泉と蒸気造成泉をミックスさせた上で加水しているのでしょうね。湯の花が多いわりに浴感があっさりしているのは蒸気造成泉の特徴であり、神奈川県・箱根の大涌谷でつくられる蒸気造成泉はその典型ですね。サッパリしているのに硫黄泉の特徴を味わえちゃうので、私はこの手のお湯が結構好きなんです。



至極ご満悦の私。貸切利用は(フロントからお風呂までの往復と着替えの時間を含めて)45分間と決められていますから、長湯するわけにはいきませんが、それでも制限時間いっぱいまで、森林浴と温泉浴の両方を楽しませていただきました。



湯上がりの時間が近づくと、徐々に日が暮れて、日中とは違う姿を見せてくれました。淡い照明に照らされた日没後の「赤松の湯」もいい雰囲気ですね。


丸尾97号
単純硫黄温泉(硫化水素型) 81.6℃ pH5.5 溶存物質210.5mg/kg 成分総計259.8mg/kg
Na+:17.1mg(42.77mval%), NH4+:3.8mg(12.14mval%), Ca++:11.3mg(32.37mval%),
Cl-:13.7mg(22.03mval%), HS-:0.1mg, S2O3--:2.3mg, SO4--:42.8mg(50.28mval%), HCO3-:26.9mg(24.86mval%),
H2SiO3:79.7mg, CO2:44.0mg, H2S:5.3mg,
(平成27年10月17日)

日帰り利用も可能(11:00〜最終受付14:10)・1回50分
1000円+税(貸切露天風呂利用後は大浴場の入浴可能)
電話での予約は不可。詳しくは公式サイトでご確認ください。


次回に続く
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丸尾温泉 旅行人山荘 その2(錦江の湯・大隈の湯)

2016年12月05日 | 鹿児島県
前回記事の続編です。

お部屋や食事の後は、拙ブログの主題である温泉へと話題を移しましょう。
こちらのお宿では2つの大浴場のほか、複数ある貸切風呂を事前予約により利用できるのですが、まずは予約せずに入浴できる大浴場から入ってみることにしました。



2つの大浴場は「錦江の湯」と「大隈の湯」。男女日替わりとなっており、朝に入れ替わりますので、宿泊すれば両方に入ることができます。結論から申し上げてしまえば、両者は基本的にシンメトリな構造であり、共通点が多いのですが、露天風呂をはじめとして細部に差異がありますので、その違いに注目しながら、双方を見てゆくことにします。


●錦江の湯
 
私がチェックインした日は、右側の「錦江の湯」に男湯の暖簾が掛かっていました。
奥行きのある浴室には、2つの浴槽と洗い場が設けられています。


 
洗い場にはシャワー付き混合水栓が7基並んでおり、備え付けのアメニティーは、シャンプーとコンディショナーがちゃんと分かれていますので、せっかくお風呂に入ったのに髪の毛がゴワゴワ、という心配をする必要はありません。この洗い場に向かい合う形で半円形の浴槽が設けられているのですが、これは浅い寝湯で、後述する主浴槽から流れてくるお湯を受けています。


 
窓の下に据えられている主浴槽は、手前側が大きな曲線を描いており、そのカーブは上述した寝湯の半円へと繋がっています。こちらのお宿では、単純泉(丸尾12・13・14・15号混合泉)と硫黄泉(丸尾97号泉)という2種類の源泉が浴槽によって使い分けられているのですが、内湯の浴槽に引かれている源泉は単純泉で、前回記事で取り上げた飲泉所と同じお湯です。この単純泉はその名前に反して、その特徴は決して単純ではありません。湯船のお湯は無色透明ですが、ちょっと大きめのアイボリー色をした湯の花が沈澱しており、硫黄の存在を予感させます。そして石積みの湯口はまるで硫黄泉のように白く染まり、硫酸塩泉のようなトゲトゲとした析出がびっしりこびりついていました。単純にあらざるは見た目のみならず、その湯口からは刺激を伴う硫化水素臭がはっきりと香り、硫黄泉みたいな味がほんのりと感じられました。


 
露天風呂は霧島の山裾と錦江湾、そして桜島を一望する絶好のロケーションです。「錦江の湯」の露天風呂は四角い石造りの3〜4人サイズで、浴槽の上には屋根が掛かっていますが、前方の視界を遮るものは無く、高い空と果てしない景色の只中で開放的な湯浴みを楽しむことができました。この眺望は本当に素晴らしい。時間を忘れていつまでもここで過ごしたくなります。


 
露天風呂のお湯は硫黄泉。湯口からチョロチョロと注がれてるお湯からは、刺激を伴う硫化水素臭が香り、口に含むと弱い酸味と少々のタマゴ味が感じられました。湯船の中では湯の花がたくさん沈澱しており、私が湯船に入る前は透明だったのですが、湯船に入ってお湯が動くと、忽ち沈澱が舞い上がって黄色を帯びた白濁へと変貌しました。


●大隈の湯

朝に男女が入れ替わるため、翌朝は「大隈の湯」が男湯でした。


 
浴室はお隣「錦江の湯」とシンメトリであり、基本的に構造はほぼ同一です。館内に掲示されている各種説明が異なる程度でしょうか。


 

主浴槽も「錦江の湯」と同形状のシンメトリで、使用源泉も単純泉に変わりないのですが、湯口の形状が異なっており、こちらは白い湯の花がビッシリ付着して、白いモンスターのような姿になっていました。また浴槽内にもたくさんの湯の花が沈澱および浮遊していました。こうした状況を見ると、このお湯がとても単純泉だとは思えません。名前が単純だからと言って侮るなかれですね。



こちらの露天風呂も素晴らしい眺めですが、浴槽のスタイルが異なり、こちらは歪な円形の岩風呂となっているのでした。


 
露天風呂の庭先では、竹樋からお湯が落とされていたのですが、これって何なのでしょう?
この朝も露天風呂から桜島が綺麗に眺望できました。その雄大さと秀麗さを画像や文章でお伝えできないのがとても残念です。


 
レモンイエローを帯びたホワイトに染まる湯口からお湯が注がれています。
このお湯は「錦江の湯」の露天風呂と同じく硫黄泉。底には黄色みを有する白い湯の花がたくさん沈澱していて、私が湯船に浸かると一気に黄白濁を呈したのですが、しばらくすると再び沈澱して透明度が蘇ってきました。
次回および次々回記事では貸切露天風呂を取り上げますが、開放感や眺望で評価するなら、両大浴場の露天風呂が抜群です。日本にが温泉が無数にありますが、これほどの眺望を楽しめる露天風呂は、なかなかお目にかかれないかと思います。日帰り入浴では「錦江の湯」か「大隈の湯」のいずれかに入れますから、日帰り利用でも十分にお風呂の魅力を満喫できるでしょう。


丸尾12・13・14・15号混合泉
単純温泉 62.4℃ pH6.8 溶存物質822mg/kg 成分総計915mg/kg
Na+:100.9mg(58.61mval%), Mg++:5.1mg, Ca++:40.5mg(26.97mval%),
Cl-:48.0mg(18.85mval%), SO4--:68.3mg(19.83mval%), HCO3-:267.3mg(61.17mval%),
H2SiO3:262.3mg, CO2:92.5mg, H2S:<0.1mg,
(平成25年11月25日)

丸尾97号
単純硫黄温泉(硫化水素型) 81.6℃ pH5.5 溶存物質210.5mg/kg 成分総計259.8mg/kg
Na+:17.1mg(42.77mval%), NH4+:3.8mg(12.14mval%), Ca++:11.3mg(32.37mval%),
Cl-:13.7mg(22.03mval%), HS-:0.1mg, S2O3--:2.3mg, SO4--:42.8mg(50.28mval%), HCO3-:26.9mg(24.86mval%),
H2SiO3:79.7mg, CO2:44.0mg, H2S:5.3mg,
(平成27年10月17日)
加水加温循環なし
消毒あり(衛生管理のため全ての浴槽で塩素系薬剤を使用)

次回(その3)へつづく
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丸尾温泉 旅行人山荘 その1(客室・食事など)

2016年12月04日 | 鹿児島県
 
先日アップしました九州最大規模を誇る某所の野湯を楽しんだ日は、私にとってのちょっとしたanniversary。いつもはお手頃な宿で晩を過ごしていますが、せっかくですからこの日ばかりは記念日にふさわしい素敵な宿に泊まろうと考え、霧島山麓の丸尾温泉にある評判のホテル「旅行人山荘」で一晩を過ごすことにしました。インターネット上では一人客の予約を受け付けていないようですが、直接電話すると、空室状況によって受け入れてくれます(一人で宿泊する場合は追加料金が発生します)。


 
山荘という名前とは裏腹に、建物は立派ですし、ロビーもラグジュアリー感が漂っています。ラウンジにはグランドピアノが置かれており、時間によって演奏も行われるようです。



エレベータホールにも臙脂の絨毯が敷かれていました。格調高い館内です。


 
今回の客室は、一般客室よりお値段がちょっぴり高い、改修済みの洋室(禁煙ツインルーム)をチョイスしました。広々している室内はとても綺麗で、ひと通りの家電類も揃っています。Wifiも飛んでいるのでネット環境も問題無し。なぜか枕元には「古事記」が置かれていたのですが、これって特別な意味でもあるのでしょうか。
客室内に取り付けられている洗面台は深くて広い使いやすいタイプが採用されていました。なお、バスルームにはバスタブも設置されていましたが、次回記事以降で紹介するように、館内にはたくさんのお風呂はあるため、客室のお風呂は利用しておりません。体に障害をお持ちの方など、大きなお風呂の利用が難しい方にとっては、こうした部屋付きの風呂が重宝するかと思います。


  
全客室は南側を向いており、霧島の山腹に位置するこのホテルからは、錦江湾へと広がる山懐と国分平野、そして湾越しに聳える桜島を一望することができました。この日は遠方に薄い雲がかかり、またPM2.5の飛来もあったのか、晴れていたわりには視界がいまひとつでしたが、空がクリアに澄むと開聞岳まで眺望できるんだとか。
ホテルの庭では、早朝にシカが餌を啄ばんでいました。



上の画像でシカがお腹を満たしていた芝生の庭へ出てみましょう。


 

庭の一角には、石垣に囲まれた立派な造りの飲泉所が設けられており、石臼のような注ぎ口から無色透明の温泉が落とされていました。説明によれば、このお湯は丸尾12・13・14・15号混合泉という源泉で、泉質名は単純泉ですが、実際に飲泉してみますと硫化水素の匂いが香り、硫黄泉のような味わいが口に広がりました。なおこのお湯は次回記事で取り上げる2つの大浴場などにも引かれていますので、お湯に関する細かなインプレッションはまた改めて記載させていただきます。


 
広い庭の南端には足湯「龍石の湯」が設けられていました。足湯の中央に据え置かれているオブジェを兼ねた湯口が龍石なのでしょうね。もちろん眺望の先には錦江湾が広がり、桜島が聳えています。


●食事

お食事は眺めの良い食堂でいただきます。電話予約の際に夕食のグレードアップをお願いしておきました。鹿児島県産の食材を使った懐石料理とのことですが、果たしてどんな食事を楽しむことができるのでしょうか。まずはアペリティフの梅酒で口の中を湿らせます。


 
上画像はお宿オリジナル「大隈鍋」味噌仕立て。黒豚ばら肉・赤鶏つみれ・地元の野菜などの具材を、名前の通りの味噌仕立てスープでグツグツと煮込みます。


 
左(上)画像に写っているお造りは、白身魚・花エビ・まぐろ。
右(下)画像の上は黒豚軟骨煮(さつまいもやこんにゃくとともに)、そして下の横に長いものは、大名竹の焼き物。酢味噌でいただきます。季節ならではの味覚ですね。


 
溶岩焼きで使われる溶岩は、先ほど客室の窓から眺めた桜島で採れたもの。この上で和牛・エリンギ・そしてお野菜をジュワーっと焼きます。多孔質の溶岩が余計な脂を吸収してくれるので、いい感じに焼きあがるんですね。
右(下)画像はきびなごの天ぷらです。きびなごは鹿児島県の郷土料理には欠かせない、ご当地ならではのお魚ですね。


 
終盤にいただくのは、かやくご飯やお吸い物、そして締めくくりのフルーツです。
前菜からメイン、そしてデザートに至るまですべてがブリリアント。
品数が多いので、中盤あたりで満腹感を覚えるのですが、それでも美味しさが食欲を後押しするので、次から次へどんどん箸が進み、さすが無芸大食を自認するだけあって、気づけば全てを平らげていました。



こちらは朝食。小鉢類が多くて彩り豊かですね。鉄板で干物を炙るので、焼きあがる頃に鉄板から漂ってくる芳ばしい匂いが、白いご飯をより一層美味しくしてくれました。

さて次回記事からは温泉浴場に関して触れてまいります。

次回に続く。
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