昨年末(2017年末)まで拙ブログではアメリカの温泉を連続して取り上げておりましたが、今回記事から再びアメリカ・ネバダ州の温泉を紹介してまいります。宜しければお付き合いください。
ネバダ州中部の田舎町トノパーの街から国道6号を東へ50マイル進むと、ネバダ州道375号線が右手へ分岐する丁字路に差し掛かるのですが、この丁字路の前に放棄された建物が2棟ポツンと残っています。荒野の真っただ中にあるので、小さな建物ながら遠くからもすぐにその存在に気付くはず。実際にその建物に近づいてみましょう。
この小屋のような白い建物が今回の目的地です。かつてここには小さな温泉リゾート施設があったようですが、既に廃業されており、なぜか建物だけが取り残されたようです。小屋はいくつかあり、レストランやバーだtyたと思しき建物は閉鎖されているのですが、その左手にある小さな小屋(左側(上側)画像)へ向かうと・・・
小屋の傍には小学校で見られるようなプールをひと回り小さくしたような古いプールがあり、そこには真っ蒼なお湯が張られていました。白い小屋は更衣室の廃墟であり、内部は2部屋に分かれ(つまり男女別になっており)、更衣ブースが細かく仕切られていました。
それにしても、プールに張られた真っ蒼なお湯のあまりに鮮やかな色合いと美しさに、私は思わず絶句してしまいました。
プールの廃墟に張られたお湯とはいえ、こんなに美しい青を湛える温泉は他にあるでしょうか!
全米のみならず、地球屈指の美しさではないでしょうか!
温泉は山の方からドバドバ注がれており、湯量は非常に豊富。プールサイドはもちろん、私が車を止めている通りの路肩まで、ドバドバという響きが届いていました。
更衣室側にプールへ入るステップが取り付けられているのですが、朽ちていまにも手摺りが折れそう…。でもこのステップのおかげでお湯の透明度がお分かりいただけるかと思います。廃墟に放置されているプールのお湯にもかかわらず、非常に透明度が高いのです。どなたかが定期的にメンテナンスをしているのでしょうか。あるいは、湯量が多いので汚れや飛来ゴミなどが常に流されているのでしょうか。いずれにせよ、このお湯の透明度が鮮やかなブルーを生み出していることに違いありません。またプール内部はカルシウムの付着により白くコーディングされており、これが空の青さを映すことで感動的なターコイズブルーが誕生しているものと思われます。
なお、お湯の注ぎ口に近いステップ付近のプールの湯温は、43℃とちょっと熱めです。
一方、その反対側の湯尻では42℃という入りやすい温度に落ち着いていました。上述のステップ付近で身長165cmの私のヘソ下ほどだったプール深さは、湯尻へ行くにつれて徐々に深くなり、湯尻の縁付近では私が完全に頭まで潜ってしまうほど深くなってしまうのですが、湯加減はちょうど良いので、足が底につく程度の深さのところで湯浴みさせていただきました。
うひゃー!すばらしい!
お湯から特に匂いは感じられないのですが、石灰味や石膏の甘みが感じられ、湯中ではキシキシとした浴感に包まれます。白い見た目のみならず、味覚や浴感からもカルシウムが多いお湯であることがわかります。開放的な環境のもと、青い空と青くて綺麗なお湯に浸かれる幸せは、言葉で表現できません。
さて、湯あみに満足した後は、プールにお湯を供給している温泉の流れを遡ってみました。目の前の小さなハゲ山から流れてくるようです。お湯の流路はカルシウムを主成分とする析出によって真っ白に染まっており、その表面にはうろこ状の模様が形成されていました。
緩やかな勾配を流れ落ちる温泉。その途中で振り返ってみました。ほとんど木が生えていない荒野ですので、ちょっと高いところへ上がるだけでも、下の温泉跡地はもちろん、遠くまで良く見通せました。
更に流れを遡ると、やがて細く、そして深く刻まれるようになり、やがて最上流部に行きあたりました。周囲はこんもり盛り上がっているのですが、質感や色合いから推測するに、硬めの石灰華(トラバーチン)によって形成された丘ではないかと思われます。つまりカルシウムを多く含む温泉が丘を生み出したのでしょう。
プールのお湯は真っ蒼でしたが、源泉がある最上流部ではお湯に濁りなどが全くなく、むしろ内部では黄色が目立っています。温泉藻の類が発生しているのでしょうね。湯面のところどころでさざ波が立っているのですが、それもそのはず、底からプクプクと泡が上がっており、まさにこの湯溜まりで温泉が自噴しているのです。温度計を突っ込んだら59℃という高温が計測されました。たしかに近づくだけで熱気が伝わってきます。ここは荒野の只中ですから、真夏の日中でしたら灼熱地獄になるのかもしれませんね。
源泉で湧いた温泉が築き上げたトラバーチンの丘に上がって、お湯の流れ、そして周囲の景色を改めて眺めてみました。潤いとは無縁に思えすだだっ広い大荒野に、まさかこんな温泉が湧いているだなんて、日本に住む我々の常識では想像できませんよね。しかもその温泉が大量に湧いており、独特な地形まで生み出しているのですから、その摩訶不思議な自然の力には驚いてしまいます。
ガイドブックには決して紹介されない温泉施設の廃墟ですが、「国破れて山河あり」ならぬ「施設被れて出で湯あり」と表現したくなるこの素晴らしい温泉。車があれば容易に行けますから、もし興味がある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。
GPS:38.189470, -116.371025,
プールには誰もいませんが、一応私有地のようです。入場の際は自己責任で。
無料
備品類なし
私の好み:★★★
ネバダ州中部の田舎町トノパーの街から国道6号を東へ50マイル進むと、ネバダ州道375号線が右手へ分岐する丁字路に差し掛かるのですが、この丁字路の前に放棄された建物が2棟ポツンと残っています。荒野の真っただ中にあるので、小さな建物ながら遠くからもすぐにその存在に気付くはず。実際にその建物に近づいてみましょう。
この小屋のような白い建物が今回の目的地です。かつてここには小さな温泉リゾート施設があったようですが、既に廃業されており、なぜか建物だけが取り残されたようです。小屋はいくつかあり、レストランやバーだtyたと思しき建物は閉鎖されているのですが、その左手にある小さな小屋(左側(上側)画像)へ向かうと・・・
小屋の傍には小学校で見られるようなプールをひと回り小さくしたような古いプールがあり、そこには真っ蒼なお湯が張られていました。白い小屋は更衣室の廃墟であり、内部は2部屋に分かれ(つまり男女別になっており)、更衣ブースが細かく仕切られていました。
それにしても、プールに張られた真っ蒼なお湯のあまりに鮮やかな色合いと美しさに、私は思わず絶句してしまいました。
プールの廃墟に張られたお湯とはいえ、こんなに美しい青を湛える温泉は他にあるでしょうか!
全米のみならず、地球屈指の美しさではないでしょうか!
温泉は山の方からドバドバ注がれており、湯量は非常に豊富。プールサイドはもちろん、私が車を止めている通りの路肩まで、ドバドバという響きが届いていました。
更衣室側にプールへ入るステップが取り付けられているのですが、朽ちていまにも手摺りが折れそう…。でもこのステップのおかげでお湯の透明度がお分かりいただけるかと思います。廃墟に放置されているプールのお湯にもかかわらず、非常に透明度が高いのです。どなたかが定期的にメンテナンスをしているのでしょうか。あるいは、湯量が多いので汚れや飛来ゴミなどが常に流されているのでしょうか。いずれにせよ、このお湯の透明度が鮮やかなブルーを生み出していることに違いありません。またプール内部はカルシウムの付着により白くコーディングされており、これが空の青さを映すことで感動的なターコイズブルーが誕生しているものと思われます。
なお、お湯の注ぎ口に近いステップ付近のプールの湯温は、43℃とちょっと熱めです。
一方、その反対側の湯尻では42℃という入りやすい温度に落ち着いていました。上述のステップ付近で身長165cmの私のヘソ下ほどだったプール深さは、湯尻へ行くにつれて徐々に深くなり、湯尻の縁付近では私が完全に頭まで潜ってしまうほど深くなってしまうのですが、湯加減はちょうど良いので、足が底につく程度の深さのところで湯浴みさせていただきました。
うひゃー!すばらしい!
お湯から特に匂いは感じられないのですが、石灰味や石膏の甘みが感じられ、湯中ではキシキシとした浴感に包まれます。白い見た目のみならず、味覚や浴感からもカルシウムが多いお湯であることがわかります。開放的な環境のもと、青い空と青くて綺麗なお湯に浸かれる幸せは、言葉で表現できません。
さて、湯あみに満足した後は、プールにお湯を供給している温泉の流れを遡ってみました。目の前の小さなハゲ山から流れてくるようです。お湯の流路はカルシウムを主成分とする析出によって真っ白に染まっており、その表面にはうろこ状の模様が形成されていました。
緩やかな勾配を流れ落ちる温泉。その途中で振り返ってみました。ほとんど木が生えていない荒野ですので、ちょっと高いところへ上がるだけでも、下の温泉跡地はもちろん、遠くまで良く見通せました。
更に流れを遡ると、やがて細く、そして深く刻まれるようになり、やがて最上流部に行きあたりました。周囲はこんもり盛り上がっているのですが、質感や色合いから推測するに、硬めの石灰華(トラバーチン)によって形成された丘ではないかと思われます。つまりカルシウムを多く含む温泉が丘を生み出したのでしょう。
プールのお湯は真っ蒼でしたが、源泉がある最上流部ではお湯に濁りなどが全くなく、むしろ内部では黄色が目立っています。温泉藻の類が発生しているのでしょうね。湯面のところどころでさざ波が立っているのですが、それもそのはず、底からプクプクと泡が上がっており、まさにこの湯溜まりで温泉が自噴しているのです。温度計を突っ込んだら59℃という高温が計測されました。たしかに近づくだけで熱気が伝わってきます。ここは荒野の只中ですから、真夏の日中でしたら灼熱地獄になるのかもしれませんね。
源泉で湧いた温泉が築き上げたトラバーチンの丘に上がって、お湯の流れ、そして周囲の景色を改めて眺めてみました。潤いとは無縁に思えすだだっ広い大荒野に、まさかこんな温泉が湧いているだなんて、日本に住む我々の常識では想像できませんよね。しかもその温泉が大量に湧いており、独特な地形まで生み出しているのですから、その摩訶不思議な自然の力には驚いてしまいます。
ガイドブックには決して紹介されない温泉施設の廃墟ですが、「国破れて山河あり」ならぬ「施設被れて出で湯あり」と表現したくなるこの素晴らしい温泉。車があれば容易に行けますから、もし興味がある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。
GPS:38.189470, -116.371025,
プールには誰もいませんが、一応私有地のようです。入場の際は自己責任で。
無料
備品類なし
私の好み:★★★