温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

牧の原温泉 リスパ印西

2018年05月22日 | 東京都・埼玉県・千葉県
※「リスパ印西」は閉館しましたが、その後運営会社が変わり、現在は「スパソラニ千葉印西牧の原」として営業しています。本記事は「リスパ印西」時代のものです



千葉県は火山こそありませんが、下総台地から平野部、そして房総半島に至る県内全域にわたって個性的な温泉や鉱泉が多く、コアな温泉マニアの方々にとっては意外にも興奮要素たっぷりの面白い県です。今回はそんな中でも私が気に入っている印西市の「リスパ印西」を取り上げます。北総線印西牧の原駅前のショッピングモール「牧の原モア」の一角で営業しているこちらの温浴施設は、以前は「ヒーリングヴィラ」という名前のアジアンスパでしたが、数年前にリニューアルされ、現在の名前と営業形態になっています。私は旧施設時代に何回か行っているのですが、リニューアル後は未訪でしたので、どのようになっているのか、行ってみることにしました。

いわゆるアジアンテイストな内装の館内。南国リゾートをイメージしているのでしょう。受付では館内着やレンタルタオルなど一式を受け取ります。私は本記事で取り上げる温泉浴場の他、レストラン・岩盤浴・プールなどを利用しましたが、その全てはご紹介できませんので、今回は温泉浴場のみを取り上げます。


  
脱衣室を抜けて内湯へ。
天井が高く、また後述する露天風呂に面して2方向に大きな窓ガラスが採用されているため、明るく開放的で、室内の装飾も相俟ってアジアンリゾートを彷彿とさせてくれます。内湯の浴槽は上画像の主浴槽。循環ろ過されている適温の温泉が張られています。鼈甲のような色を帯びたお湯は比較的透明度があり、後述する露天のお湯よりも見た目はマイルドな感を受けますが、実際に入るととても塩辛く、本物の強食塩泉であることがわかります。なお、この浴槽では袋に薬草やハーブなどを詰め、その袋を浮かべていました。

浴室の窓と反対側には洗い場が配置されています。カランの数は失念してしまいましたが、一つ一つのブースの幅にゆとりがあるので、隣との干渉を気にせず利用することができます。


 
 
こちらの施設は露天風呂が充実しており、緑豊かなガーデンの中に複数の浴槽が据えられています。ショッピングモールの敷地内ですから、周囲は塀で囲まれていますが、露天風呂ゾーン自体が広いので、圧迫感はありません。
浴室と同じ高さのレベルには、循環された温泉が張られた浴槽が3つほど設けられ、一般的な四角い浴槽の他、楕円形のもの、そして寝湯が併設されたものなどが並んでいます。浴槽の傍にはガゼボが建てられているので、お風呂で体が火照ったら、この下に入って体を休めるといいでしょう。


 
露天風呂ゾーンにはちょっと高くなったテラス状の箇所があり、そこにも浴槽が据えられています。正直なところ、本記事で上述まではプロローグに過ぎません。このテラス上の露天風呂こそ私が入りたかったお風呂なのです。と言いますもの、このテラス上にある3種類の各浴槽では、非加温・非循環・非ろ過の放流式でお湯が供給されているんです。

左(上)画像はガゼボ風呂。その名の通り、ガゼボの下に六角形の浴槽が設けられ、湯口から若干加温されていると思しき温泉が供給されています。鼈甲色に濃く濁ったお湯は非常に塩辛く、湯温は36℃前後ですが、体感では40℃以上あるのではないかと勘違いしたくなるほど、強烈に火照ります。そんなお湯を供給する湯口のまわりでは泡立ちが発生しており、湯面からはガス臭やヨード臭がプンプン漂ってきます。私が浴槽に入ると、浴槽縁の全方向からお湯が惜しげもなく溢れ出ていきました。千葉県で豪快な溢れ出しは貴重ですから、私としても感動しきりです。

一方、右(下)画像は壺湯。3つあり、それぞれ屋根の下に収まっています。私が訪れた日は、真夏の日差しが厳しかったので、こうした日差しを遮る構造物の存在に助けられました。この壺湯も掛け流し。ガゼボ風呂と同じく36℃前後のぬる湯なのですが、パワフルに火照るため、ちっともぬるいとは感じられませんでした。


 
ガゼボ風呂と壺湯に挟まれた位置にあるのが「源泉風呂」。その名の通り、この露天風呂も源泉かけ流しです。こちらの浴槽は非加温のまま供給されており、私の体感では33℃前後であったかと思われますが、繰り返し述べているように、こちらのお湯は非常に塩辛く、それゆえ温浴効果がとてもパワフルであり、パワフルどころか凶暴という表現を使いたくなるほどでものすごいのです。先述のように私は夏に入りましたが、気を付けて入浴しないと湯あたりを起こして脱水症状になるかもしれません。それほど濃い食塩泉なのです。あまりに塩分が濃いため、湯船に入ると浮力を感じるほどです。そんな濃い温泉に非加温放流式の状態で入れるのですから、マニアとしてはこんな嬉しいことはありません。

掛け流しの浴槽に張られているお湯は黄土色に濃く濁っています。おそらく空気に触れた瞬間に濁りが発生するのでしょう。典型的な化石海水であり、非常にしょっぱい他、金気味や苦汁味も感じられ、またガス臭やヨード臭も嗅ぎ取れます。火山と無縁のこの地域で、30℃以上でかけ流せるのですから、個人的には大感動。濃く濁りながら泡立つお湯を目にし、私は大人げなく欣喜雀躍してしまいました。テラス上の各放流式浴槽は40℃未満の長湯仕様なのでじっくりお湯と対峙でき、しかも非加温浴槽を用意してくれているからますます嬉しくなっちゃいます。ただし、夏場の入浴では体がベタつきますから、真湯で上がり湯をかけた方がいいかもしれません。一方、冬にコート要らずでいつまでも体の芯からポカポカ温浴効果が持続するでしょう。

施設内にはこうした温泉の他、プール、ヨガ、マッサージ、レストラン、読書室など日がなゆっくり過ごせるサービスが充実しており、また貸切風呂もありますので、家族やカップルでの利用にも最適。とりわけこちらの岩盤浴は男女の区別がなく、とても大きなメインルームの他、部屋の構造や温度にあわせて3室ほどの小部屋があり、更には奥の方にクールダウンする冷却室や冷たいミストルームなどもあって、充実しておりおすすめです。私もしっかり発汗させていただきました。もし同じサービスを都内で利用するならば、相当な高額になるでしょうけど、成田空港の手前という立地ゆえ、比較的リーズナブルな価格設定であることも嬉しい点です。私もまた機会を見つけて再訪するつもりです。


牧の原温泉
含よう素-ナトリウム-塩化物強温泉 36℃ 溶存物質26.17g/kg 成分総計26.23g/kg
Na+:8746mg(88.10mval%), NH4+:73.4mg, Mg++:269.0mg(5.13mval%), Ca++:313.9mg(3.63mval%), Fe+++:4.3mg,
Cl-:15680mg(97.90mval%), Br-:72.7mg, I-:21.7mg, S2O3--:0.1mg, HCO3-:509.4mg,
H2SiO3:90.8mg, HBO2:29.5mg, CO2:62.4mg,
(平成27年6月16日)

北総線・印西牧の原駅より徒歩1~2分
千葉県印西市牧の原1-3 牧の原モア内
0476-37-8151
ホームページ

※残念ながら2020年夏頃に閉館しました。
料金・営業時間などは公式サイトでご確認ください。

私の好み:★★★

コメント (5)
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