温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大丸温泉 旅館ニューおおたか

2021年06月12日 | 栃木県
(2020年8月訪問)


那須茶臼岳ロープウエイ乗り場のちょっと下に、眺めの良い大丸園地という場所があり、広い駐車場に沿ってお土産物店が立ち並んでいるのですが、店舗の休廃業が相次いでおり、2020年夏の訪問時には半数以上が廃墟状態で、明るい日中でも妙に不気味な雰囲気を漂わせていました。そんな大丸園地から山側へ上がった、見晴らしの良い県営大丸駐車場の前にある一軒宿「旅館ニューおおたか」で日帰り入浴を楽しみました。那須の日帰り温泉入浴といえば、那須湯本の「鹿の湯」が有名で、いつも混雑していますが、ここまで上がってくる観光客が少ないのか、人の声より鳥の囀りが大きく聞こえるほど、とても静かな環境です。


帳場で日帰り入浴をお願いしますと快く対応してくださいました。私が訪問した時、先客は誰もいらっしゃらず、館内はとても静か。そんな館内の長場で湯銭を支払い、右手に伸びる廊下を進んでゆくと、突き当たりに貴重品ロッカーが設置されており、そこを左折して男女別の浴室へとつながっています。ロッカー前にはカゴが積み重ねられているので、利用客が各自でカゴを取っていきます。脱衣室は長年使い込まれているような佇まいで且つ質素な感じです。


年季が入った浴室には白い塗装が施され、窓際に岩風呂が設られており、訪問時は湯気と熱気で濛々としていました。この岩風呂は台形を横にした形状で、見た感じで4人サイズでしょうか。大きな石の湯口からお湯が落とされています。


洗い場にはシャワーつきカランが2基並んでいます。カランから出てくるお湯はボイラーの沸かし湯です。


分析表によると泉質名は単純泉ですが、実際のお湯は決して単純ではなく、湯船のお湯は灰色掛かった橙色に薄く濁っています。また岩風呂の表面にはトゲトゲとした析出がびっしり現れており、湯口のまわりには橙色に染まっています。内湯のお湯は加水されているものの、ちょっと熱めでした。


内湯のドアを開けて屋外に出て露天風呂へ。
露天も岩風呂で、こちらは12人ほど入れそうな大きさです。湯口から投入量をやや絞った状態で熱いお湯が落とされており、こちらも内湯と同じように濁っています。こちらの露天風呂は周囲に立つ木々が視界を遮っているのですが、木々の向こうは公共駐車場や公衆トイレなので、目隠しのためには致し方ありません。


内湯のところでも申し上げましたが、こちらのお湯は単純泉という名前に反して実に個性的。湯口のお湯をテイスティングしてみますと、金気味のほか炭酸カルシウム由来と思しき粉なっぽい味、そして土気の味も含まれ、さらには芒硝と思しき薬味も感じられます。こうした複雑な味覚をもたらす成分が、お湯の濁りやトゲトゲの析出をもたらしているのでしょう。湯船に肩まで浸かってみますと、はじめのうちはサラサラ感が肌に伝わりますが、やがて少々の引っ掛かりが得られ、その両方が全身を包み込み、優しいながらも力強く体を温めてくれました。なお湯使いは加水した上での掛け流しです。

茶臼岳の綺麗な空気と静かな環境のもとで、個性的なお湯に浸かり、おかげさまで心身の疲れは忽ち回復しました。硫黄泉に拘らなければ、那須湯本で混んだお風呂に入るより、ちょっと上がったこの大丸の地で静かにゆとりのある湯浴みを楽しむのも良いかと思います。


相の湯
単純温泉 71.7℃ pH6.5 溶存物質845mg/kg 成分総計955mg/kg
Na+:55.7mg, Ca++:66.1mg, Mg++:23.2mg, Fe++:1.3mg,
Cl-:4.8mg, SO4--:229.6mg, HCO3-:204.0mg,
CO2:109.8mg,
(昭和63年10月3日)

栃木県那須郡那須町湯本269
0287-76-2457
ホームページ

日帰り入浴10:00~17:00
700円
ロッカー(貴重品用)・シャンプー類・ドライヤー(帳場貸出)あり

私の好み:★★+0.5
コメント
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