温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

三斗小屋温泉 大黒屋 その2(部屋・食事)

2021年06月02日 | 栃木県
前回記事の続きです。

(2020年8月中旬訪問)


沼原を出発し、「会津中街道」の道筋をたどりながら、戊辰戦争の戦地だった三斗小屋宿跡を経由し、那須茶臼岳の西側を登って、三斗小屋温泉までたどり着きました。当地には2軒のお宿がありますが、この時お世話になったのは「大黒屋」です。もう1軒の「煙草屋旅館」は以前拙ブログで取り上げていますので、そちらをご覧ください。


まずは玄関で登山靴の紐を解き、宿帳に記入します。山奥なので電気は来ていませんが、自家発電により衛星電話やテレビ(BS)など、情報や連絡のための機器は使えるようになっています。


大黒屋は本館と新館に分かれていますが、私が泊まったのは歴史のある本館。なんと2019年で築150年を迎えたんだとか。ということは明治ひと桁に建築されたんですね。明治初期の建造物に宿泊できる機会はそう滅多にありません。しかも有名な都市や城下町、宿場町ではなく、那須岳の山の中なんですから面白いではありませんか。なお明治期の日本人は平均身長が低かったため(成人男性で160cm、女性で150cm弱)、明治期の建物であるこの本館は天井が低くて階段も急です。でもそれが良い雰囲気。


暗くなったら廊下にランプを灯します。これもまた良い雰囲気。気分はすっかり明治人。


今回私が利用したお部屋はこちらの「拾五番」。


6畳に広縁が付いている角部屋です。ちゃぶ台の上にはお茶が用意されており、旅館としての体裁を保っています。なお床のみならず梁や天井など至る所が傾いでいるような気がしますが、これも築150年の味わいということでご愛嬌。一応、部屋に電球ひとつがぶら下がっており、21時に消灯です。


梢の向こうに麓を見下ろせる清々しいロケーション。あぁ、あの麓からここまで自分の足で登ってきたのかぁ。実に感慨深い。私が訪問した8月中旬の東京は当然ながら地獄のような猛暑が続いていましたが、標高1460メートルのここ三斗小屋温泉は猛暑とは一切無縁の、とても清涼な極楽の地でした。日が沈むと涼しいどころか若干肌寒さすら感じ、就寝時には布団をしっかりかぶりたくなるほどでした。クーラーに涼を求めると体が参ってしまいますが、天然のクーラーならその心配は無用。きれいな空気を胸いっぱい吸えますから、心身の健康がすっかり回復することでしょう。


山の清冽な水で冷やした缶ビールを帳場にて購入し、登山で乾いた喉を潤します。
街で買う缶ビールと同じはずなのに、山で飲んだときの旨さたるや格別ですね。本当にうまい!


実質的な山小屋であるにもかかわらず、夕餉も朝餉もお部屋出しで提供されるところが旅館らしい
上画像は夕飯。この日は焼き魚、から揚げ、ホウレンソウ、お芋、お味噌汁という献立で、ちゃんとお膳に載って提供されるんです。またご飯はお櫃で提供されます。


こちらは朝食。いささか簡素な感は否めませんが、でもあまりお腹いっぱいですと、この後の行動に支障をきたしますから、この程度で十分です。塩分をしっかり摂って、行動時の発汗に備えます。

さて、肝心のお風呂は「その3」で紹介します。

次回に続く
コメント
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