(2023年5月訪問)
拙ブログでは初めての登場となる高知県の温泉・鉱泉を取り上げます。今回訪ねる「温泉cafe湖畔遊」は、物部川のダム湖畔に位置するcafeレストラン併設の温泉宿泊施設です。日帰り入浴も受け付けているため、今回は入浴のみの利用です。このエリアはダム湖の対岸側にアンパンマンミュージアムがあったり、また国道195号線沿いには小洒落たカフェやレストランが点在していたりと、美しい自然環境を活かした観光業が盛んなエリアと言えましょう。なお「温泉cafe湖畔遊」は国道沿いではなく、途中から狭い道を入って進んだ集落の中にあり、そこそこ対向車も来るため、運転にはちょっと気を遣いました。
目的地へ到達すると、道の左右両側に「湖畔遊」のものと思しき建物や看板が見え、初見の私はどちらへ行けばよいのか迷ってしまったのですが、看板などをよく見たところ、宿泊客だったら湖側の舗装路面を下った先にある駐車場を利用できるのですが、私のような日帰り入浴やレストランのみ利用の場合は、山側の狭い砂利敷き駐車場を使うことになることがわかりました。そこで愛車のSUVを砂利の駐車場に入れ、何度か切り返しながらなんとか駐車スペースに車を収め、道路を渡って、反対側(湖側)の建物へと向かったのでした。
ちなみに施設の看板には音符のフラットが描かれているのですが、これって前進を続ける毎日の生活からひとつ戻してリラックスしよう、という意味なのかしら。あるいは自然に帰るということなのかしら。とにかくそんな感じの意味合いが含まれていそう(勘違いだったらごめんなさい)。
坂を下った先の湖畔に建つ施設群はそれぞれ緑の木々に囲まれており、木々に隠れ周囲の自然に溶け込むかのように佇んでいます。また建物自体も黒く塗装されて目立たないようになっています。
入浴利用の際は、湖畔を臨むレストランのレジで受付を行います。料金は先払いで、入浴料の他、ロッカーキーのデポジットとして更に100円を納め、それと引き換えに更衣室のロッカーキーが手渡されるのですが、この100円は退館時にカギを返却すれば戻されますのでご安心を。
一旦レストラン棟を出て、右隣の建物(浴舎)へ移ります。この浴舎は僻地集落の共同浴場をひと回り大きくした程度の規模で、思いのほか小さな建物です。なお偶数日と奇数日で男女の暖簾を替えており、私は訪問した偶数日は右側が男湯の暖簾が掛かって、ロッカーキーのバンドの色は赤でした。なお左右のお風呂はどのように異なるのか、その違いにはついては不明です。
スペースの関係なのか、靴は出入口に置かずロッカーの中に収めます(ロッカー内は2段式になっていて、下段に靴を入れます)。このためスニーカーのような低い靴でないと入りません(ブーツの場合はどうするんだろう…)。
更衣室内にはエアコンと扇風機が用意されているので、季節を問わず快適に利用できます。
外観から想像できるようにお風呂はコンパクトな造りですが、落ち着いた大人な雰囲気がなかなか良く、大きな窓からはダム湖を臨み、しかも露骨な展望ではなく、梢や木々の緑の間から湖面を眺めるような構造になっている点に品の良さを感じます。なお洗い場に設けられているシャワーは計5か所。シャンプー・リンス・ボディソープが備え付けられ、シャワーの吐水圧力も問題ありません。
浴槽はいわゆる岩風呂で、6〜7人は入れそうなサイズを有しており、上述のように木々の梢越しに湖を眺めながら入浴できます。
壁に「掛け流し」と書かれており、たしかに窓側の縁からオーバーフローしているのですが、その量は決して多くなく、また湯口もよくわからなかったので、純然たるかけ流しなのかあるいは循環併用なのか、その辺りは判断できませんでした。なお「掛け流し」と書かれた扁額の下に金属のパイプが立ち上がっていて、そこからチョロチョロと冷鉱泉が出ています。この冷鉱泉といってもそんなに冷たくなく20℃はありそうなので、おそらくこれは生源泉かと思われます。このチョロチョロ源泉のほかに加温されたお湯が浴槽内で出ているのでしょう。
湯船のお湯は若干モスグリーンを帯びた山吹色に濁っており、その透明度は底面がかすかに見える程度です(室内の薄暗さが透過性を低めている可能性あり)。化石海水由来の温泉によく見られるような色や濁りであり、実際にチョロチョロ落ちる鉱泉を口にしてみますとかなり塩辛く、とても山の中にいるとは思えません。内陸部にもかかわらず塩辛い温泉といえば東北地方のグリーンタフ型温泉はその一例ですが、分析表によればグリーンタフ型温泉と異なり硫酸塩はほとんど含まれておらず、食塩や重曹イオンが主成分となっています。また金気も少々感じられます。更には青森県八甲田の「みちのく深沢温泉」みたいな、癖のある独特の匂いも嗅ぎ取れました。
湯船に浸かると食塩泉的な弱いツルスベの滑らかな浴感が得られる一方、この手の温泉によくあるキシキシと引っかかるような感触はありません。多く含まれる炭酸イオンが滑らかな浴感をもたらしている一因かもしれません。金気の影響なのか、チョロチョロと冷鉱泉が落ちるところは焼け爛れたような色に染まっており、浴槽の岩も赤黒く、また浴室の内装も黒く塗装されているため、結果的にお風呂はダークカラーで統一されているような印象を受けます。その色合いが落ち着いた雰囲気をもたらすのですね。
露天エリアにはコンクリの四角い浴槽があるのですが、これはお湯ではなく水風呂です。この露天エリアには腰掛けが4つ用意されており、お湯で火照った体をクールダウンできます。樹々越しに湖面を眺められますが、その環境ゆえ、夏は虫が多いのではないかとちょっと心配です。
私がお風呂から出てレストランへ鍵を返却しに行くと、ちょうどランチタイムを迎えたレストランはお客さんで満席になっており、空席待ちのお客さんがいらっしゃるような状況でした。レストランも湖面を臨む心地よい立地ですし、きっと料理も美味しいのでしょう。環境や雰囲気、そして高知県では非常に貴重な「掛け流し」という点にどれだけ価値を見出せるのか、その価値に納得できるのならば、利用価値のある施設ではないかと思います。
ナトリウム-塩化物冷鉱泉 21.5℃ pH8.4 41L/min(掘削動力揚湯)
Na+:3039mg(93.25mval%), Ca++:117.9mg, Fe++:1.7mg,
Cl-:4765mg(93.12mval%), Br-:24.4mg, I-:9.4mg, HCO3-:525.7mg, CO3--:22.4mg,
H2SiO3:15.1mg,
(2021年5月20日)
高知県香美市香北町有瀬100
0887-59-4777
ホームページ
日帰り入浴11:00~16:00
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤあり
私の好み:★★+0.5
拙ブログでは初めての登場となる高知県の温泉・鉱泉を取り上げます。今回訪ねる「温泉cafe湖畔遊」は、物部川のダム湖畔に位置するcafeレストラン併設の温泉宿泊施設です。日帰り入浴も受け付けているため、今回は入浴のみの利用です。このエリアはダム湖の対岸側にアンパンマンミュージアムがあったり、また国道195号線沿いには小洒落たカフェやレストランが点在していたりと、美しい自然環境を活かした観光業が盛んなエリアと言えましょう。なお「温泉cafe湖畔遊」は国道沿いではなく、途中から狭い道を入って進んだ集落の中にあり、そこそこ対向車も来るため、運転にはちょっと気を遣いました。
目的地へ到達すると、道の左右両側に「湖畔遊」のものと思しき建物や看板が見え、初見の私はどちらへ行けばよいのか迷ってしまったのですが、看板などをよく見たところ、宿泊客だったら湖側の舗装路面を下った先にある駐車場を利用できるのですが、私のような日帰り入浴やレストランのみ利用の場合は、山側の狭い砂利敷き駐車場を使うことになることがわかりました。そこで愛車のSUVを砂利の駐車場に入れ、何度か切り返しながらなんとか駐車スペースに車を収め、道路を渡って、反対側(湖側)の建物へと向かったのでした。
ちなみに施設の看板には音符のフラットが描かれているのですが、これって前進を続ける毎日の生活からひとつ戻してリラックスしよう、という意味なのかしら。あるいは自然に帰るということなのかしら。とにかくそんな感じの意味合いが含まれていそう(勘違いだったらごめんなさい)。
坂を下った先の湖畔に建つ施設群はそれぞれ緑の木々に囲まれており、木々に隠れ周囲の自然に溶け込むかのように佇んでいます。また建物自体も黒く塗装されて目立たないようになっています。
入浴利用の際は、湖畔を臨むレストランのレジで受付を行います。料金は先払いで、入浴料の他、ロッカーキーのデポジットとして更に100円を納め、それと引き換えに更衣室のロッカーキーが手渡されるのですが、この100円は退館時にカギを返却すれば戻されますのでご安心を。
一旦レストラン棟を出て、右隣の建物(浴舎)へ移ります。この浴舎は僻地集落の共同浴場をひと回り大きくした程度の規模で、思いのほか小さな建物です。なお偶数日と奇数日で男女の暖簾を替えており、私は訪問した偶数日は右側が男湯の暖簾が掛かって、ロッカーキーのバンドの色は赤でした。なお左右のお風呂はどのように異なるのか、その違いにはついては不明です。
スペースの関係なのか、靴は出入口に置かずロッカーの中に収めます(ロッカー内は2段式になっていて、下段に靴を入れます)。このためスニーカーのような低い靴でないと入りません(ブーツの場合はどうするんだろう…)。
更衣室内にはエアコンと扇風機が用意されているので、季節を問わず快適に利用できます。
外観から想像できるようにお風呂はコンパクトな造りですが、落ち着いた大人な雰囲気がなかなか良く、大きな窓からはダム湖を臨み、しかも露骨な展望ではなく、梢や木々の緑の間から湖面を眺めるような構造になっている点に品の良さを感じます。なお洗い場に設けられているシャワーは計5か所。シャンプー・リンス・ボディソープが備え付けられ、シャワーの吐水圧力も問題ありません。
浴槽はいわゆる岩風呂で、6〜7人は入れそうなサイズを有しており、上述のように木々の梢越しに湖を眺めながら入浴できます。
壁に「掛け流し」と書かれており、たしかに窓側の縁からオーバーフローしているのですが、その量は決して多くなく、また湯口もよくわからなかったので、純然たるかけ流しなのかあるいは循環併用なのか、その辺りは判断できませんでした。なお「掛け流し」と書かれた扁額の下に金属のパイプが立ち上がっていて、そこからチョロチョロと冷鉱泉が出ています。この冷鉱泉といってもそんなに冷たくなく20℃はありそうなので、おそらくこれは生源泉かと思われます。このチョロチョロ源泉のほかに加温されたお湯が浴槽内で出ているのでしょう。
湯船のお湯は若干モスグリーンを帯びた山吹色に濁っており、その透明度は底面がかすかに見える程度です(室内の薄暗さが透過性を低めている可能性あり)。化石海水由来の温泉によく見られるような色や濁りであり、実際にチョロチョロ落ちる鉱泉を口にしてみますとかなり塩辛く、とても山の中にいるとは思えません。内陸部にもかかわらず塩辛い温泉といえば東北地方のグリーンタフ型温泉はその一例ですが、分析表によればグリーンタフ型温泉と異なり硫酸塩はほとんど含まれておらず、食塩や重曹イオンが主成分となっています。また金気も少々感じられます。更には青森県八甲田の「みちのく深沢温泉」みたいな、癖のある独特の匂いも嗅ぎ取れました。
湯船に浸かると食塩泉的な弱いツルスベの滑らかな浴感が得られる一方、この手の温泉によくあるキシキシと引っかかるような感触はありません。多く含まれる炭酸イオンが滑らかな浴感をもたらしている一因かもしれません。金気の影響なのか、チョロチョロと冷鉱泉が落ちるところは焼け爛れたような色に染まっており、浴槽の岩も赤黒く、また浴室の内装も黒く塗装されているため、結果的にお風呂はダークカラーで統一されているような印象を受けます。その色合いが落ち着いた雰囲気をもたらすのですね。
露天エリアにはコンクリの四角い浴槽があるのですが、これはお湯ではなく水風呂です。この露天エリアには腰掛けが4つ用意されており、お湯で火照った体をクールダウンできます。樹々越しに湖面を眺められますが、その環境ゆえ、夏は虫が多いのではないかとちょっと心配です。
私がお風呂から出てレストランへ鍵を返却しに行くと、ちょうどランチタイムを迎えたレストランはお客さんで満席になっており、空席待ちのお客さんがいらっしゃるような状況でした。レストランも湖面を臨む心地よい立地ですし、きっと料理も美味しいのでしょう。環境や雰囲気、そして高知県では非常に貴重な「掛け流し」という点にどれだけ価値を見出せるのか、その価値に納得できるのならば、利用価値のある施設ではないかと思います。
ナトリウム-塩化物冷鉱泉 21.5℃ pH8.4 41L/min(掘削動力揚湯)
Na+:3039mg(93.25mval%), Ca++:117.9mg, Fe++:1.7mg,
Cl-:4765mg(93.12mval%), Br-:24.4mg, I-:9.4mg, HCO3-:525.7mg, CO3--:22.4mg,
H2SiO3:15.1mg,
(2021年5月20日)
高知県香美市香北町有瀬100
0887-59-4777
ホームページ
日帰り入浴11:00~16:00
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤあり
私の好み:★★+0.5