(2023年5月訪問)
前回記事に引き続き四国の温泉を巡ります。今回は徳島県へやってきました。徳島県の名湯と言えば祖谷温泉ですが、私が訪ねた5月連休の某日は非常に多くのお客さんで大混雑しており、とてもゆったりできそうになかったため、目的地を変更して、祖谷峡から北へ伸びる県道32号を進んだ先にある「松尾川温泉」を目指すことにしました。途中で県道32号線から140号に逸れ、綺麗な渓谷に沿っていかにも四国の山間部らしい狭隘な道を東進し・・・
対向車が来るか来ないかドキドキしながらクネクネと曲がる山道を走行してゆくと、やがて公営の無料駐車場が目の前に広がります。「松尾川温泉」に到着です。後述する「しらさぎ荘」の奥に建つこげ茶色で平屋の建物が今回利用する温浴施設です。こちらも訪問時はとても混んでおり、入場規制がかけられていて、受付のおじちゃん曰く「外で待っていてほしい」とのことで、順番待ちの札が渡されました。しばらく待つうちにお客さんが多少出てきてキャパシティに余裕が出てきたらしく、順番待ち札と引き換えにようやく入湯券を購入することができました。ちなみに待っている間は券売機が隠されて購入できなくなります。順番待ちの札や券売機の隠蔽などの対応ができているということは、普段も混雑する機会が多いのかもしれませんね。
なお連休中の夕方に訪問したため、館内の画像はございません。ご了承ください。
なお、公営無料駐車場の前に公営と思しき「しらさぎ荘」という古いコンクリの建物があります。自炊湯治の宿と書かれており、「松尾川温泉」の公式サイトで紹介されている宿泊料金はこの「しらさぎ荘」のものかと思われます。周囲には店舗が無いため自炊するための食材などは事前に市街地などで調達する必要がありますが、自炊の手間さえ気にならなければ、こちらに泊まってのんびり「松尾川温泉」に浸かるという楽しみ方もできるわけですね。宿泊すれば朝7時から夜7時まで何度も入浴可能なんだとか。
さて、入浴券を購入して券を受付のおじちゃんに手渡します。男女両浴室は受付を挟んで左右に分かれており、男湯は受付の左側です。
脱衣室はシンプルな構造ですが、定員20名を収容できるだけの広さを有しており、ロッカーの個数も問題なし。ドライヤーは2つあり、扇風機もあって使い勝手はまずまずです。
お風呂は内湯のみで露天風呂などはありませんが、室内は木造建築で綺麗に維持されており、特に洗い場周りは黒いタイルでシックにまとめられていて、落ち着いた雰囲気の中で湯浴みを楽しめます。なお洗い場に取り付けられているシャワーは6つあり、ボディーソープやシャンプー類が備え付けられています。シャワーの吐出圧力も良好なので快適に利用できました。
浴槽は窓に面して横長に作られており、寸法としては縦1.8m×横5mくらいでしょうか、7~8人は入れそうなサイズ感があって、その窓からは清流が眺められます。浴槽の右端には小さな木の滑り台みたいな湯口が設けられていて、そこから加温された温泉が注がれています。本来こちらのお湯は無色透明なはずですが、混雑のためか湯鈍りが発生していたらしく、若干黄緑色っぽく(あるいは若干エメラルドグリーンっぽく)濁っていたように見えました。後述するように硫黄を多く含むお湯ですので、コンディションによって色合いがかわるのかもしれません。
湯口から出るお湯は無色透明で、ローションを彷彿とさせるヌルヌルスベスベとした大変滑らかな浴感がはっきりと得られます。もしかしたら四国の温泉や鉱泉の中では1位か2位を争うほどの強いヌルスベ感ではないでしょうか。アルカリ性に強く傾いている上、炭酸イオンが66.5mgも含まれていることが、このような強いヌルスベをもたらすのかもしれません。しかも湯口のお湯を手に取ってみると、明瞭なタマゴ感(タマゴ味とタマゴ臭)が感じられます。加温の過程でタマゴ感が飛んでしまうのか、浴槽のお湯からはさほど感じられませんでしたが、それでも他の鉱泉に比べればハッキリとしたタマゴ感を放っています。とりわけ湯口のお湯はチオ硫酸イオンを多く含む温泉によくある茹で卵の卵黄のような味を帯びていました。更にはアルカリ性単純泉らしい微収斂も感じられます。
ローション的なヌルヌル浴感、そしてタマゴのような味や匂いなど、知覚的特徴がはっきり出ている良泉であり、且つ加水・循環・消毒を行っていない加温かけ流しという湯使いも素晴らしく、わざわざこのような山奥を目指してお客さんが来て混雑するのも十分に納得できます。ここは一浴の価値がありますね。おすすめ。
アルカリ性単純硫黄温泉 25.0℃ pH10.2 蒸発残留物0.2445g/kg 溶存物質0.3037g/kg
Na+:83.8mg,
OH-:15.8mg, HS-:12.2mg, CO3--:66.5mg,
(平成29年12月26日)
加水・循環・消毒なし
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
徳島県三好市池田町松尾黒川2-1
0883-75-2322
ホームページ
10:00~19:00 水曜・年末年始定休
550円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
画像を見るに、かなりの秘境なのかと思いきや、
こちらでも大混雑とは、世の温泉マニア、恐るべしですね。
ヌルヌルスベスベの湯と言えば、、、
伊豆市のペンション・青羽根温泉、
グリーンリバーを思い出しますね^^^。
最新の情報が見当たらないため、廃業したと思われます。
惜しい宿を失いました。しかし新たな宿も見付けましたし、
これからの時期、正に温泉シーズンなのでお出掛けします。
一気に寒くなってきましたので、お互い体調管理に気を付けましょうね^^^b
このあたりには松尾川温泉のほか、有名な祖谷温泉もあって、いずれも山奥にあってアクセスする道が非常に狭いのですが、にもかかわらず混雑するのですから驚いてしまいます。
伊豆の温泉旅館も廃業が相次いでいますね。お気に入りの宿が無くなってしまう悲しさは言葉に表現できません。
私も体調に気を付けながらお出かけしたいと思います。