温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

松川渓谷温泉 滝の湯

2009年08月12日 | 長野県


信州の山田温泉から松川に沿って数分登ってゆくと、右手に松川渓谷温泉「滝の湯」の入口が目に入ってきます。入口ゲートを潜り、渓谷の方へ階段を下りて受付へ。尚、この受付では温泉たまごが食べられます(1個60円)。

脱衣所から浴室に入るとまずは内湯の岩風呂がお出迎えです。ここの目玉は大きな露天風呂ですが、内湯もそれに負けず、なかなか立派で広いお風呂です。続いて露天へ。松川を見下ろす絶好のロケーションに設けられた露天風呂はまるで池のように広く、周囲は木立に囲まれており、雄大な山の自然を感じさせてくれる気持ちよいお風呂です。また下からは渓谷の川音が響いてくるので、この音がお湯で火照った体に一服の清涼感をもたらしてくれます。露天風呂は混浴ですが、ところどころ岩が出っ張っているので、それでうまい具合に目隠しをすれば意外にも落ち着いて湯浴みできるのではないでしょうか。

お湯に関しては、無色透明で硫黄の匂いが漂い、仄かに塩味が感じられました。また白い湯の花も沢山浮遊していました。湯の花は内湯よりも露天の方が多かったので、もしかしたら外気で冷やされることにより湯の華がより多く発生するのかもしれません。
受付の建物や内湯の屋根など外観はいまひとつですが、お湯の質やお風呂の爽快さは抜群です。


日帰り入浴客用入口


階段を下りてゆく途中に見られる源泉井


男性内風呂


露天風呂


カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
65℃・74℃(混合)

長野県上高井郡高山村奥山田3681-377 地図
026-242-2212
ホームページ

10:00~17:30 無休
500円

私の好み:★★
コメント (2)
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古町温泉 赤岩荘

2009年08月06日 | 福島県


南会津地方の国道401号線を桧枝岐村方面へ南下して旧伊南村地区にさしかかると、山間地ながら視界が開けて伊南川沿いに水田が広がります。この水田の真ん中にあるのが今回紹介する古町温泉「赤岩荘」です。名称には「荘」という文字が含まれていますが宿泊は出来ず日帰り入浴専門です。会津地方の温泉は一癖も二癖もある個性的なお湯のオンパレードですが、この古町温泉はその中でも極め付きではないでしょうか。

まずは露天風呂に行ってみましょう。一目で鉄分がたっぷり含まれていることが判る赤錆び色に濁ったお湯が待ってくれています。強く濁り透明度はほとんどありません。色だけではなく味覚も強烈で、湯口にコップが置いてあるので飲んでみると、海から遠く離れた山奥にもかかわらずとても塩辛い味を有しており、これに昆布出汁の味と金気の味が加わります。臭覚に関してはやはり金気の匂いが目立ち、微かに硫黄の匂いも漂っていました。濃そうな見た目の印象を裏切らず、お湯の中で肌をさするとキシキシとした浴感を得られます。浴槽は二つに分かれており、湯口があるほうはかなり熱め、もう一方はぬるめとなっていました。お湯がオーバーフローするところは温泉成分の析出で千枚田状態になっており、成分の濃さを実感できるかと思います。

続いて内湯に行ってみると、同じお湯なのにお湯の色は赤くなく、薄い緑色で弱く濁っています(透明度は50cmほどでしょうか)。味は露天と同様ですが金気の匂いは内湯の方が強く感じられました。露天と内湯の違いについて考えてみますと、そもそもここのお湯は内湯のようにある程度透明度のある泉質ながら、露天風呂のように外気に触れると忽ち鉄分が酸化して赤く濁ってしまうものと思われます。また露天では香りが飛んでしまうために内湯の方が匂いが強く感じられたのでしょう。ということは内湯の方が新鮮なお湯を楽しめると言えます。温泉はちょっとした条件や環境の違いで性質が変わってしまうことを、この古町温泉はわかりやすく我々に教えてくれます。

塩分の強い温泉なので、冬はお湯から上がった後も湯冷めしにくく、いつまでも体がポカポカし続けます。ということは夏の場合は体が火照ってしまい、なかなか汗がひきません。ですので夏に入浴する場合はお風呂から上がる前に真湯を掛けた方がよろしいかと思います。それほど濃いお湯です。温泉ファンなら是非入るべきお湯です。


露天風呂


露天風呂の湯口。析出がこってり


内湯。長方形の浴槽がひとつあるだけのシンプルな造り。
お湯が贅沢にあふれ出ています


源泉直下の地層の様子を解説したプレート


ナトリウム-塩化物泉
53.1℃ pH6.5 152L/min(地下700m) 成分総計15900mg/kg 


福島県南会津郡南会津町古町字太子堂186-2 地図
0241-76-2833

9:30~20:00 水曜定休
600円

私の好み:★★★
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瀬見温泉 公衆浴場

2009年08月05日 | 山形県


歴史上の人物の中でも根強い人気を持つ源義経は日本各地にいろいろな伝説を残していますが、今回紹介する瀬見温泉もそうした伝説が語り継がれている地域の一つです。源頼朝の追跡を逃れて東北地方を落ち延びていた義経一行ですが、その途中に静御前が産気づいたので(このとき産まれたのが亀若丸とされています)産湯を探していたところ、小国川沿いの岩から湯気が出ていたので、武蔵坊弁慶が長刀でそこを突いて発見したのが瀬見温泉なんだそうです。

小国川の左岸の狭い一本道に沿って温泉街が形成されており、風格の有る喜至楼をはじめ派手さはありませんが落ち着きのある旅館や飲食店が軒を並べています。共同浴場は2ヶ所あり、うち1ヶ所は地元民専用ですので我々外来客は残る1つの方へ入ることになります。外来客が入れる公衆浴場は温泉街のほぼ中央に位置する瀬見公民館の1階にあります。受付は無く無人なのですが、入口にはコイン式の自動ドアが設置されており、料金を機械(箱)に投入することによってドアが開くようになっています。内部の造りは至ってシンプルで、こじんまりした脱衣所と浴室にタイル貼りで長方形の湯船がひとつ。無色透明でわずかに濁るのお湯が掛け流されています。いかにも鄙びた温泉地の共同浴場といった佇まいです。ここには何度か訪れていますが、換気の具合がよろしくないのか、それともお湯が熱いからか、浴室内は季節を問わずいつも湯気でムンムンしている印象があります。

お湯に関してですが、温泉分析表には「わずかに硫化水素臭と塩味を有する」と書かれていますが、湯船に注がれるお湯からはそのような匂いや味は感じられませんでした。ほぼ無味無臭です。熱いお湯を冷ますために加水しているので、その水で薄まっているのかもしれません(薄めても結構熱めです)。

尚、浴場を出ると向かいには湯前神社があって飲泉所が設けられているのですが、ここのお湯からは分析表に記されているように焦げたようなたまご臭と薄い塩味が感じられました。これぞ瀬見のお湯の、本来の姿なのでしょう。
また浴場と同じ建物には当地名物の「ふかし湯」があります。いわゆるオンドルの一種で、床に開いた穴から温泉の蒸気が出てくるので、それで患部を蒸らして温めるというものです。体全体を表面から温めてゆくサウナと違って、こちらの場合はピンポイントを蒸すにも関わらず、体の芯からジワジワと温まってきて、それが全身へと波及してゆくような感覚です。ですので意外にもしっかり温まります。お湯に浸かるだけが温泉じゃないという好例でしょう。興味のある方は是非お試しを。




奥:湯前神社  手前:飲泉所


「ふかし湯」入口


ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉
67.3℃ pH7.6 成分総計1953mg/kg 

JR陸羽東線・瀬見温泉駅 徒歩10~15分(950m)
山形県最上郡最上町瀬見温泉 地図
0233-42-2123(瀬見温泉旅館観光案内所)

6:00~18:00(日曜以外の8:00~10:00頃までは清掃のため入浴不可)
200円
(ふかし湯は9:00~12:00、13:00~16:00。300円)

私の好み:★★
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新戸倉温泉 戸倉観世温泉

2009年08月03日 | 長野県


信州の戸倉上山田温泉は、千曲川を挟んで左岸が上山田温泉、右岸が戸倉(新戸倉)温泉というようにわかれていますが、典型的な温泉街である上山田温泉とは対照的に、戸倉(新戸倉)温泉は住宅街のなかに温泉や旅館がポツリポツリと混在しており、言われなければ温泉があるとは気づかずに通り過ぎてしまいそうなところです。

この新戸倉温泉にあるのが温泉ファンの間で名高い公衆浴場「戸倉観世温泉」です。公衆浴場にしては大きな建物で駐車場も広く、内部も明るくて綺麗に保たれています。脱衣所から浴室へ扉を開けると強いたまごの匂いが鼻を突くとともに、大きな浴槽に張られたお湯の緑色が目に飛び込んでくるので、思わず温泉好きの心が躍ります。お湯に浸かると体中に小さな気泡が沢山付着し、肌をさするとつるつるすべすべします。
たまご臭にたまご味という典型的な硫黄泉。従いまして緑色に見えたお湯は実際には薄い黄色で、浴槽のタイルが青いために混色して緑色に見えるようです。実際にお湯がオーバーフローしているところは黄色い析出物が付着しています。お湯が綺麗に透き通っているのでとても美しく、そのお湯が贅沢に掛け流されているので、色の美しさといい湯使いの良さといい、お湯に使っていると何ともいえない気分になれました。




これだけではありません。大きな浴槽の奥には小さな桧風呂があり、こちらにも硫黄泉のお湯が絶え間なく掛け流されています。大きなタイルの浴槽と小さな桧の浴槽は、同じ硫黄泉ながら違う源泉のお湯で、両者とも似た泉質ながら桧のお風呂の方が若干ぬるめでした。私個人としては桧風呂のお湯の方がなんとなく自分の肌に合うように感じられました。
露天風呂はないものの、浴槽でもカランでも良質な源泉を思う存分楽しめる、素晴らしい施設です。こんなお風呂が近所にあれば毎日でも通いたくなります。




単純硫黄泉
(2号泉タイル浴槽)46.8℃ pH8.75 蒸発残留428mg/kg
(3号泉桧風呂)44.2℃ pH8.77 蒸発残留433mg/kg

しなの鉄道・戸倉駅 徒歩20分(1.7km)
長野県千曲市戸倉2087 地図
0262-75-0350

5:00~22:00 定休:毎月第1・3月曜日
300円

私の好み:★★★
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