拙ブログでは珍しく、チェーンのビジネスホテルを取り上げます。
夏の某日、大阪中心部の中之島付近、新なにわ筋と土佐堀筋の交差点付近に立地する「湯元「花乃井」 スーパーホテル大阪天然温泉」で一晩お世話になりました。スーパーホテルといえば、徹底した合理化により低価格化を実現している全国展開のビジネスホテルチェーンであり、一部店舗では「天然温泉」と称して、ホテル内の大浴場に温泉やローリーで運搬した鉱泉を導入していることでも有名です。今回取り上げるホテルもその好例なのですが、本社の御膝元だからか、他店よりはるかに大きな浴場を擁しており、しかも自家源泉を使っているため、大阪で宿泊する機会に、利用してみることにしたのです。
最寄駅は地下鉄阿波座駅ですが、私は京阪の中之島駅で下車し、土佐堀川と中之島の綺麗な夜景を眺めながら歩いてホテルへ向かいました。
土佐堀通へ出ると、黄色地に青い斜体字で表記されたおなじみの看板が目に入ってきました。
ホテルの正面では「大阪市内唯一の本物の天然温泉(2011年6月1日現在)」と記された看板が、道行く人に対してお湯の希少性をアピールしていました。拙ブログをご覧に方なら既にお気づきかと思いますが、大阪市内には他にもいわゆる天然温泉を使った施設がありますので、この表現には首を傾げたくなるのですが、関西、殊に大阪という地域は悪気も無く表現を誇張してしまう文化的な傾向があるようですから、この手の言葉使いは話半分で理解し、且つ大目に見るべきもので、決して目くじらを立ててはならない、と思っています。そして、生粋の関東人である私は、自分にそのことを言い聞かせて、冷静を保ちつつこの記事を書いております。
スーパーホテルとは思えない立派な玄関アプローチの左右両サイドには、なんと温泉が流されていました。淡い黄色を帯びたお湯は、泡立ちながら流れています。贅沢な演出ですが、そんなお湯があるのなら、その分をもうちょっとお風呂に回してほしいなぁ、と思う私。できることなら、このお湯に入りたい!
私が泊まったシングルルームはご覧のような感じ。玄関アプローチこそ立派でしたが、客室はごく一般的なスーパーホテルそのものであり、いわゆるビジネスホテルのレイアウトです。余談ですが、テレビを点けたら香港の放送が映し出されました。アジア系外国人観光客が多い大阪らしいサービスと言えるかもしれません。
さてホテルご自慢のお風呂へと参りましょう。浴場は地下1階です。客室にあるカードとタオル類を持参したうえで、まず浴場の受付へ赴き、カードと引き換えにロッカーキーを受け取ります。なお受付の奥には食堂が設けられていました。
浴場は大浴場と小浴場に分かれており、男女日替わりなんだとか(朝5時に男女の暖簾替え)。私が利用した日は、男湯が大浴場でしたので、以下のレポートでは大浴場について述べさせていただきます。
浴場に入って右手には足湯、そして洗い場が配置されており、計11基のカランが取り付けられています(この他、立って使うシャワーも1基あり)。洗い場に傍には玉座を思わせる大きな腰掛が2台あり、温泉で温められていました。いわゆる座湯の役目を果たしているのかな。そしてその腰掛の奥には、イオンパックと称する設備が据え付けられているのですが、鉢のような形状から察するに、顔をその中に入れて顔面ミストを楽しむためのものかと思われます。
一方、浴室の左側や奥には各種浴槽が配置されています。室内の手前側でお湯を湛えているのは主浴槽。ジェットなど各種機能が備え付けられており、場所によって深さが異なっています。主浴槽の隣(奥)にはサウナと水風呂、最も奥まったところには、ドイツ製の強力なジェットバスと、台湾の沖撃湯も真っ蒼なほど勢いが強い打たせ湯が設けられていました。
そんなこんなで早い話が、スーパーホテルならぬスーパー銭湯なみにいろんな機能浴を楽しめるわけです。正直なところ、私はこうした各種機能にあまり興味がないのですが、他のお客さんは積極的にいろんな設備を活用していらっしゃいました。各浴槽で温泉が使われているのは高く評価したいところです。
さて、肝心のお湯に関して触れておきましょう。見た目は薄い麦茶のような色(淡い琥珀色)を呈しており、それだけで単なるお湯とは違うことがわかるのですが、味や匂いに関してはこれといった特徴を確認できず(若干ほろ苦い程度)、また浴感も掴みどころに欠けていました。玄関では「源泉かけ流し(一部循環)方式を取り入れております。浴槽には常時、新鮮でミネラルたっぷりの温泉が注ぎ込まれています」と説明されていたのですが、実際には新鮮源泉を投入しつつ、循環もしっかり行われており(浴槽内で強力吸引されていました)、しかも府の条例に基づき塩素消毒も実施されているためか、本来の源泉が持っている知覚的特徴が失われているようでした。また分析表によれば炭酸水素イオンが432.4mg含まれていますので、本来ならば弱いながらも重曹泉的な特徴が表れてもおかしくないのですが、このお湯からはあまり感じられませんでした。むしろ玄関アプローチの両脇を流れているお湯の方が、ほのかな臭素臭のような香りを放っており、はるかに状態が良いように思われます。いくら湯量豊富と表現したところで、その量は毎分180Lであり、にもかかわらず不特定多数のお客さんを受け入れなければなりませんから、下手に純粋な掛け流しを実施してしまうと、却って衛生的な問題が発生しかねず、従って循環や消毒などの各処理を行うのは必要不可欠です。
でも本音を言えば、何らの手が加えられていない35℃の源泉に入ってみたいものです。海に近いのに塩分が少なく、重曹の比率が高いので、拙ブログでも既に取り上げている阪神間の銭湯で見られる重曹泉(やそれに近い単純泉)と同じようなタイプであると考えて良さそうです。手が加えられていない生源泉は、きっと至極爽快な浴感をもたらしてくれるに違いありません。そんなことを想像しながら、大浴場の湯船に浸かっていました。とはいえ、浴場のお湯は温泉法に規定されている温泉であることには違いなく、またこのチェーンならではのコストパフォーマンスの良さも魅力的ですから、大阪都心部で温泉に浸かって夜を明かしたい方にはもってこいかと思います。
なにわ温泉(スーパーホテルCity大阪天然温泉)
単純温泉 35.4℃ pH7.9 180L/min(動力揚湯) 溶存物質709.6mg/kg 成分総計711.7mg/kg
Na+:145.2mg(76.52mval%), Ca++:11.9mg(7.14mval%), Mg++:6.7mg(6.66mval%), NH4+:7.6mg, Fe++:0.6mg,
Cl-:21.1mg(7.76mval%), HCO3-:432.4mg(91.72mval%),
H2SiO3:65.7mg, H2S:1.0mg,
(平成28年5月31日)
加水なし
加温・循環あり、消毒あり(府条例の基準を満たすため)
大阪府大阪市西区江戸堀3-6-35 地図
06-6447-9000
「スーパーホテル大阪天然温泉」公式サイト(ホテル)
なにわ天然温泉「花乃井」公式サイト(浴場)
宿泊客の他、日帰り入浴も可能(宿泊客は無料)
日帰り入浴5:00~10:00(受付9:30まで)、11:00~翌2:00(受付0:00まで)
1680円
大浴場と小浴場は男女日替わり。スケジュールは公式サイトでご確認ください。
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★+0.5
夏の某日、大阪中心部の中之島付近、新なにわ筋と土佐堀筋の交差点付近に立地する「湯元「花乃井」 スーパーホテル大阪天然温泉」で一晩お世話になりました。スーパーホテルといえば、徹底した合理化により低価格化を実現している全国展開のビジネスホテルチェーンであり、一部店舗では「天然温泉」と称して、ホテル内の大浴場に温泉やローリーで運搬した鉱泉を導入していることでも有名です。今回取り上げるホテルもその好例なのですが、本社の御膝元だからか、他店よりはるかに大きな浴場を擁しており、しかも自家源泉を使っているため、大阪で宿泊する機会に、利用してみることにしたのです。
最寄駅は地下鉄阿波座駅ですが、私は京阪の中之島駅で下車し、土佐堀川と中之島の綺麗な夜景を眺めながら歩いてホテルへ向かいました。
土佐堀通へ出ると、黄色地に青い斜体字で表記されたおなじみの看板が目に入ってきました。
ホテルの正面では「大阪市内唯一の本物の天然温泉(2011年6月1日現在)」と記された看板が、道行く人に対してお湯の希少性をアピールしていました。拙ブログをご覧に方なら既にお気づきかと思いますが、大阪市内には他にもいわゆる天然温泉を使った施設がありますので、この表現には首を傾げたくなるのですが、関西、殊に大阪という地域は悪気も無く表現を誇張してしまう文化的な傾向があるようですから、この手の言葉使いは話半分で理解し、且つ大目に見るべきもので、決して目くじらを立ててはならない、と思っています。そして、生粋の関東人である私は、自分にそのことを言い聞かせて、冷静を保ちつつこの記事を書いております。
スーパーホテルとは思えない立派な玄関アプローチの左右両サイドには、なんと温泉が流されていました。淡い黄色を帯びたお湯は、泡立ちながら流れています。贅沢な演出ですが、そんなお湯があるのなら、その分をもうちょっとお風呂に回してほしいなぁ、と思う私。できることなら、このお湯に入りたい!
私が泊まったシングルルームはご覧のような感じ。玄関アプローチこそ立派でしたが、客室はごく一般的なスーパーホテルそのものであり、いわゆるビジネスホテルのレイアウトです。余談ですが、テレビを点けたら香港の放送が映し出されました。アジア系外国人観光客が多い大阪らしいサービスと言えるかもしれません。
さてホテルご自慢のお風呂へと参りましょう。浴場は地下1階です。客室にあるカードとタオル類を持参したうえで、まず浴場の受付へ赴き、カードと引き換えにロッカーキーを受け取ります。なお受付の奥には食堂が設けられていました。
浴場は大浴場と小浴場に分かれており、男女日替わりなんだとか(朝5時に男女の暖簾替え)。私が利用した日は、男湯が大浴場でしたので、以下のレポートでは大浴場について述べさせていただきます。
浴場に入って右手には足湯、そして洗い場が配置されており、計11基のカランが取り付けられています(この他、立って使うシャワーも1基あり)。洗い場に傍には玉座を思わせる大きな腰掛が2台あり、温泉で温められていました。いわゆる座湯の役目を果たしているのかな。そしてその腰掛の奥には、イオンパックと称する設備が据え付けられているのですが、鉢のような形状から察するに、顔をその中に入れて顔面ミストを楽しむためのものかと思われます。
一方、浴室の左側や奥には各種浴槽が配置されています。室内の手前側でお湯を湛えているのは主浴槽。ジェットなど各種機能が備え付けられており、場所によって深さが異なっています。主浴槽の隣(奥)にはサウナと水風呂、最も奥まったところには、ドイツ製の強力なジェットバスと、台湾の沖撃湯も真っ蒼なほど勢いが強い打たせ湯が設けられていました。
そんなこんなで早い話が、スーパーホテルならぬスーパー銭湯なみにいろんな機能浴を楽しめるわけです。正直なところ、私はこうした各種機能にあまり興味がないのですが、他のお客さんは積極的にいろんな設備を活用していらっしゃいました。各浴槽で温泉が使われているのは高く評価したいところです。
さて、肝心のお湯に関して触れておきましょう。見た目は薄い麦茶のような色(淡い琥珀色)を呈しており、それだけで単なるお湯とは違うことがわかるのですが、味や匂いに関してはこれといった特徴を確認できず(若干ほろ苦い程度)、また浴感も掴みどころに欠けていました。玄関では「源泉かけ流し(一部循環)方式を取り入れております。浴槽には常時、新鮮でミネラルたっぷりの温泉が注ぎ込まれています」と説明されていたのですが、実際には新鮮源泉を投入しつつ、循環もしっかり行われており(浴槽内で強力吸引されていました)、しかも府の条例に基づき塩素消毒も実施されているためか、本来の源泉が持っている知覚的特徴が失われているようでした。また分析表によれば炭酸水素イオンが432.4mg含まれていますので、本来ならば弱いながらも重曹泉的な特徴が表れてもおかしくないのですが、このお湯からはあまり感じられませんでした。むしろ玄関アプローチの両脇を流れているお湯の方が、ほのかな臭素臭のような香りを放っており、はるかに状態が良いように思われます。いくら湯量豊富と表現したところで、その量は毎分180Lであり、にもかかわらず不特定多数のお客さんを受け入れなければなりませんから、下手に純粋な掛け流しを実施してしまうと、却って衛生的な問題が発生しかねず、従って循環や消毒などの各処理を行うのは必要不可欠です。
でも本音を言えば、何らの手が加えられていない35℃の源泉に入ってみたいものです。海に近いのに塩分が少なく、重曹の比率が高いので、拙ブログでも既に取り上げている阪神間の銭湯で見られる重曹泉(やそれに近い単純泉)と同じようなタイプであると考えて良さそうです。手が加えられていない生源泉は、きっと至極爽快な浴感をもたらしてくれるに違いありません。そんなことを想像しながら、大浴場の湯船に浸かっていました。とはいえ、浴場のお湯は温泉法に規定されている温泉であることには違いなく、またこのチェーンならではのコストパフォーマンスの良さも魅力的ですから、大阪都心部で温泉に浸かって夜を明かしたい方にはもってこいかと思います。
なにわ温泉(スーパーホテルCity大阪天然温泉)
単純温泉 35.4℃ pH7.9 180L/min(動力揚湯) 溶存物質709.6mg/kg 成分総計711.7mg/kg
Na+:145.2mg(76.52mval%), Ca++:11.9mg(7.14mval%), Mg++:6.7mg(6.66mval%), NH4+:7.6mg, Fe++:0.6mg,
Cl-:21.1mg(7.76mval%), HCO3-:432.4mg(91.72mval%),
H2SiO3:65.7mg, H2S:1.0mg,
(平成28年5月31日)
加水なし
加温・循環あり、消毒あり(府条例の基準を満たすため)
大阪府大阪市西区江戸堀3-6-35 地図
06-6447-9000
「スーパーホテル大阪天然温泉」公式サイト(ホテル)
なにわ天然温泉「花乃井」公式サイト(浴場)
宿泊客の他、日帰り入浴も可能(宿泊客は無料)
日帰り入浴5:00~10:00(受付9:30まで)、11:00~翌2:00(受付0:00まで)
1680円
大浴場と小浴場は男女日替わり。スケジュールは公式サイトでご確認ください。
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★+0.5