た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

夕べの祈り

2005年04月24日 | 写真とことば
すべてが眠りにつく前に
今日を許したまえ
鉄格子の隙間と、高架下の空き地と
遠い国の廃墟と、あの向こうの交差点で
憎しみが今日も
幾多の無知を犠牲にしたが

安らかな夜の訪れる前に
今日を許したまえ
少女は愛に唾を吐きかけ
青年は夢に罪をかぶせ
母親は息子の父を呪い
労働者は顔を腕に埋めたが

放蕩と忘却の闇に包まれる前に
今日を許したまえ
言葉が棘(とげ)となり
沈黙が断絶となり
努力の後に苦い後悔を味わい
ガラスは音を立てて彼らを笑ったが

太陽が西の空に燃え尽きる前に
今日を許したまえ
すべてはこのままであり
≪コノママガスベテデアリ≫
哀しみが夕焼けとなって
孤児(みなしご)たちの涙を干上がらせるとしても

コメント
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