ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

ミンダナオ

2008年03月04日 | Weblog


昨日TBSで、藤原紀香が案内役の「明日のために.
今」という番組を放映していた。
世界の貧しい国、或いは日本の環境のために何が出来
るかという趣旨で、若者を現地に派遣したり、小学生
に考えさせたりするという番組だ。
当然、それぞれにタレントも用意する。
この手の番組に共通する、偽善的で自己完結的な側面
は致し方ない。
テレビ局で設定したシナリオにそって、それぞれのドラ
マを演じているという構造も健在。
それに、たまたまテレビで取り上げられたところが幸
運だっただけで、状況は何も変わらない、という醒め
た見方も可能。
反面、少なくとも、取り上げられたところだけは、た
とえ一時の幸せにしても得たのだからそれなりの価値
はある、とも考えられる。
それより、タレントはどっさり貰ってるんだから、そ
のお金を有効利用すれば、相当なことができるはずだ、
というのも、常に感じることでもある。
どう作ろうが、胡散臭くなるのがこの手の番組である。

しかし、今回はその活動を知っている「松居友」さん
という日本人の活動拠点の村が舞台だったので、普段
は見ない(特に民放はタレントが目障り)のだがじっ
くり見たのだった。
その感想は、一言、あまりに薄っぺら。
これじゃあ、単なる「ウルルン滞在記」だ。
同じテレビ局だから、お手の物か、とつい勘ぐるよう
な内容の無さだった。
松井さんの普段の地道な活動に触れることも無く、若
者が現地に溶け込む様子を撮りつつ、意見の食い違い
という小波乱(全然大したことではない)も盛り込み
一つの成長物語として描いていく(実際はそれなりに
顔つきは変わったらしいが)。
一週間やそこらでそうそうドラマは起きないのだが、
最後は涙というお約束。
あまりに表面的な。
こういうのを「漸進的横滑り」というのだろうか。

松井さんの活動拠点は、ミンダナオのゲリラが出没す
る近くで、危険でもあり、そして資金的にも厳しく、
個人の意思によって支えられているという状態だ。
もう少し本人の活動に焦点を当てても良いのでは、と
思わずにはいられなかった。
感動ドラマだったら、本物の話があるのに、テレビと
いうのは結局この程度で終わってしまう。
ここも、やらないよりは益しか、位に考えた方が良い
ということなのか。
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