初めて、間近で白鳥を見た。
飛来地の「上川」という川の袂に、多分、全国どこで
も見られるであろう「餌付け」の場がご多分に漏れず
やはりあり、そこに行ってみたのだ。
本当は、餌付けというのはあまり好きではない。
自然のものはなるべくありのままの状態で見たいのだ。
だから、今や餌付が当たり前の白鳥は、自ずから興味
の対象から除外されていた。
それなのに何故か。
実は、白鳥を見にいったわけではないのだ。
上川というところは、土手が通勤用の自動車道路になっ
て、しかも一方通行なので、川の風景などを見ながら走
るのには絶好のところなのだ、と言いたいところだが、
道幅が狭く、脇見をすると、土手から落ちそうになる
くらい危ないところ。
実際、一度危うく落ちそうになったことがある。
その時ぶつけたサイドミラーは、あいかわらずガムテー
プで辛うじてくっ付いてる状態だ。
そんな安全な道ではなのだが、葦原とか中々良い自然が
残っているので、野鳥も色々見られついつい余所見を
してしまうのだ
特に猛禽類、たまに鳶以外のものが見られるのだ。
だから、ここを通る時は、ついつい上空を見上げると
いう危険を冒す。
昨日も、いつものように上空を見上げていたら、鳶が
これもいつものように飛んでいた。
そこにもう一羽、鳶より小さめの猛禽類が絡んできた。
見た感じ、鳶より翼が整っている。
しかし、如何せん、車を運転しながらの観察だ。
危ない危ない。
前を確認し、素早く視線を上空にの繰り返しだ。
そして、次に見たとき確信した。
飛び方が、明らかに鳶とは違っていたのだ。
隼のような、翼をすぼめたような形をとった。
これはじっくり観察せねば、と急遽Uターンしてその現
場に向かった。
つまり、そこが、白鳥の餌付けの周辺だったということ
なのだ。
しかも、車が止められるのはその辺りしかない。
しかし、残念ながら現場に着いた時には、すでにその猛
禽類の姿はかった。
危険を冒したのに、というのはこちらの勝手な事情だっ
た。
見たくもない鳶一羽が、いつものように上空を旋回して
いる。
出てきた言葉は、残念。
そこで、こんな機会でもなければ白鳥を見ることもない
と思い、じっくり観察することにしたのだった。
「白鳥を守る会」(多分そんな)のおじさんの「白鳥が
来てくれたお陰で、生きがいが出来たよ」などと知り合
いに話しているのを聞きながら、それはよかったよかっ
たと一人ごちて、白鳥と無数の鴨を観察した。
間近で見ると、それはそれで白鳥も可愛いものである。
そんな鳥達の姿を優しく見守るおじさんは、あと少しの
白鳥の姿を察し、つまり北帰行が近付いているので、こ
ころなしか寂しそうであった(ちょっと脚色)。
その後、あの猛禽類は「チュウヒ」であると同定した(勝
手に)。