ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

ミニシアター系の最期

2011年01月21日 | 映画

 

 

今や映画といえばシネコンの時代。人気作品中心なので、当然、質の高いというか所謂作家性を強く押し出したような作品はかからない。そういう作品はどういった所で上映されるかというと、ミニシアター系の映画館である。ところが、そういったミニシアター系映画館も、遂に終焉の時を迎えるらしい。嘗てよく利用した「シネヴィヴァン」などはとうに無くなっているが、シネセゾンなども閉館を避けられないようなのだ。結局は、市場原理が優先されるという、どの分野でも直面している状況が映画の世界にも押し寄せてきたわけだ。「売れる物=良いもの」という図式は成り立たないのだが、そう思う人も今や絶滅危惧種ということなのだろうか。

で、その人気作品というのがこれまた問題だ。テレビで宣伝して、テレビと同じようなひどいものをそのまま映画として上映して人気を博すというパターンで、ひどいものが量産され始めたのだが、それは「踊る大...」辺りが先駆けか。あんなひどいものを喜んで見ている人が多いところを見ると、これが現実だと認めないわけにはいかない。定型物語を、漫画のように分り易く説明し漫画のように大袈裟に表現する世界に、何ら映画的な瞬間を感じないのだが、人はその分り易さを求めているのだろう、としか理解出来ない。そして、兎に角笑い泣けたり出来れば即ち感動なのだ。これはディズニーで売ってる「感動」と全く変わりがない。つまり「感動」という商品がまずあり、消費者はその「感動」を買い予定通り「感動」を味わう、そして予定通り満足という世界なのだ。本来人それぞれであろう感動の世界が、商品化され、各自の想像力にとって代ってしまったのだ。今は想像力というものは必要ない世の中というより、あるとかえって邪魔なのだ。

と、思えてくるような昨今の文化的貧困状況である。

コメント