その異変を感じたのは親の様子から。何のことかというと、ツバメの話だ。仕切りなおしの子育ては順調に進み、現在4羽の雛が育っている。ところが昨日、その親が道路上に止まっていて、飛び立つかと思えば直ぐにまた着地と、明らかに普通ではない行動をとっていた。ツバメは、基本的に道路上に降りることはまずないのだ。始めは怪我でもしたのかと思ったが、同じ所に戻ってくるのはおかしい。どこか挙動不審で、異常事態であることは理解した。そこで巣の下を見ると、案の定、一羽の雛が落ちていた。
嘗て一度、同じようなケースがあった。その時は巣の一部が崩れ、雛もろ共落下してしまった。2羽落下して、1羽は墜落死、もう1羽は無事だったので巣に戻したのだが、何を勘違いしたのか、救世主である私を敵と認識して、親のうちどちらかが(もう1羽はそんなことはなかった)姿を発見すると威嚇行動に出た。恩を仇で返すとはこういうことである。
で、今回の落下原因だが、どうやら餌の受け渡しに失敗して、餌に釣られて一緒に落下してしまったようだ。早速レスキュー出動である。雛を拾い上げて見ると、大丈夫そうに見えた。初めてだと、その温かさにちょっとびっくりする。発熱してるんじゃないかと思うくらい熱いのだ。しかし今回は二度目なので、うむうむ体温39.7(勿論適当)平熱かと余裕で脚立に上り(実際は大丈夫かなと心配しながら)、巣の脇に手を置き(H鋼の出っ張り部分に巣があるのを想像してもらいたい)雛が自分で移動するようにした。その間親鳥は、遠まきに飛翔を繰り返していた。人間の臭いが移ると子育てを放棄するなどという説もあるが、今の所ここに関しては問題なく、今回もどうやら元通りに収まり、逆恨みに会うこともなく(感謝もされないが)親も給餌行動を開始した。
そして写真は、その受け渡しに失敗した餌の数々。餌としては大き目のトンボがそういう運命になりやすいようだ。上から、今回落下原因になった「ノシメトンボ」、真ん中が「アキアカネ」、そしてすでに蟻まみれの「ミヤマサナエのメス」(?)。この「ミヤマサナエ」(?)など羽化直後のようで、ツバメも捕り易いものを狙ってることが良く分かる。厳しい生存競争をこんなところでも垣間見ることができるのだが、できれば、数の多いアカネ類を狙ってね、とツバメにお願いしたいところである。