ピカビア通信

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丸谷才一 ユリシーズ

2012年10月14日 | 芸術


丸谷才一が死去した。と言っても、特別思い入れがあるわけでもなく、読んだ本も笹まくらくらいなものなのだが、翻訳本に関してはちょっと引っかかる思い出がある。ジョイスユリシーズだ(以前も書いた記憶がある)。丸谷才一訳のユリシーズ、確かに第一巻(全四巻)は読んだのだが、二巻の途中ですっかり放棄してしまったのだ。ダブリンでのある一日を四巻で描くという、どう見ても普通の小説ではないのだが(そこがジョイスの魅力でもあるが)、どうにも二巻の途中から進まなくなり、義務感だけで文字を追っていたがとうとう諦めたという経緯があるのだ。登場人物の一人スティーヴン.ディーダラスという名前だけは何故か覚えてしまったが、小説の世界を体験するというレベルには至らなかった。要するに、挫折した小説がユリシーズだったのだ。ジョイス関してはフィネガンズ.ウェイクも同じく挫折した。

結局、丸谷才一ではなくジョイスの話となってしまったが、ユリシーズは20世紀を代表する小説として、今でも失われたときを求めて(これは読破)と同じく燦然と輝いているのである(と読んでもないのにまとめてみました)。

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