経済なんでも研究会

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大いなる矛盾!? 年金2.7%上げ

2024-01-27 07:47:19 | 年金
◇ 実質収入を下げていいのか = 厚生労働省は、24年度の公的年金支給額を「前年度比で2.7%引き上げる」と発表した。この引き上げ率は32年ぶりの大きさ。ただ本来なら3.1%の増額になるべきところが、マクロ経済スライドの適用によって0.4ポイント減額された。このため年金の増加率は物価の上昇率に及ばず、実質収入はマイナスになる。年金生活者の生活は、それだけ苦しくなるわけだ。

マクロ経済スライドは、年金の増加率を物価や賃金の上昇率より低く抑える措置。将来世代の負担が重くなりすぎないように、04年の年金改革で導入された。これによって、24年度は国民年金で年3100円、厚生年金は年1万1500円程度の目減りが生じる。だが将来世代の負担を考えると、この措置は仕方がないのかもしれない。

しかし少し目線を変えてみよう。政府は「物価の上昇を上回る賃上げによって、経済の好循環が生じること」を熱望している。岸田首相は22日に開いた政労使会議でも「昨年を上回る水準の賃上げをお願いする」と要望した。この観点からすると、年金生活者が実質的な減収となるのは歓迎できないのではないか。なにしろ公的年金の受給者は4000万人以上もいる。0.4%の目減りにしても、その影響はきわめて大きい。

仮に大企業の賃金引き上げ率が、ことしは5%に達したとしよう。だが雇用の7割を支える中小企業の賃上げが1%だったら、全体の賃上げ率が物価上昇率を超えることは難しくなるかもしれない。そのうえに年金受給者の実質所得マイナスが加わったら。こう考えると、経済の好循環など起こりえないのではないか。きわめて単純な疑問だが、政府や日銀の考え方を聞いてみたい。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -485.40円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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