経済なんでも研究会

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誰のための 金融緩和なのか? (下)

2022-09-09 07:35:45 | 日銀
◇ 日本経済を蝕むゼロ金利政策 = 円安は輸出企業の利益を膨張させる。だから、かつては株式市場にとっても有力な買い材料だった。しかし現在は原材料コストが上昇したため、輸出企業の利益はそれほど増加しなくなっている。市場でも買い材料にはならなくなった。一般企業についても、コスト増加の悩みは同じ。読売新聞の調査によると、「円安は業績にマイナス」は61.7%で「プラス」の4.6%を大きく上回った。

金利を上げれば、負担が増す部門も存在する。まず国の国債発行残高は1000兆円を超えているから、金利が1%上がれば利払い負担は3兆7000億円も増加してしまう。民間企業の借入残高は469兆円、家計は357兆円を借りている。だが一方、個人は2005兆円、企業は1022兆円の金融資産を持っている。これに金利が付けば、消費も上向くに違いない。

高騰する輸入価格に対する円安の寄与度は、現在50%に達したという試算がある。この輸入価格の高騰で、電気代やガソリン、食料品の値段が上がる。消費者がそれだけ多く支払った分は、輸入代金を通じて海外に流出する。要するに国内の購買力が、大量に失われているわけである。だから景気はよくならず、日本経済の体質は衰えて行く。

アメリカではFRBのパウエル議長が「国民のためにインフレを退治する」と宣言。強力な引き締めを続ける意志を明確にした。これに対して、日銀の黒田総裁は「利上げをすれば景気が悪くなる」の一点張り。ゼロ金利政策に固執している。だから海外諸国との金利差は開くばかり。円安は進行して、その弊害は拡大する。日銀は誰のために、金融政策を実施しているのだろうか。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +634.98円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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