経済なんでも研究会

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貿易大赤字が 教えること (上)

2023-04-27 07:20:12 | 貿易
◇ 燃料輸入の急増が景気の足を引っ張る = 22年度の貿易収支は、驚くほどの大赤字だった。財務省の発表によると、輸出は前年度比15.5%増の99兆2265億円。輸入は32.2%増の120兆9550億円。輸出も健闘したが輸入が伸びすぎたために、記録的な大赤字となってしまった。これまでは13年度の13兆7500億円が最大の赤字額、それを一挙に飛び越したことになる。

輸入が大幅に増加した最大の原因は、燃料輸入の激増。原油・粗油は13兆6932億円で前年比70.8%の増加、LNG(液化天然ガス)は8兆8923億円で77.6%の増加、石炭にいたっては8兆5806億円で2.4倍の増加となっている。燃料全体では実に35兆1924億円、前年比では77.0%の増加だった。言うまでもなく燃料の国際価格が急騰したうえに、円安の効果が加わったことによる。

ここで話を分かりやすくするため、実際にはありえない状況を考えてみよう。仮りに日本が燃料を100パーセント自給し輸入はゼロだったとしたら、どうだろう。当然、輸入代金の35兆円は支払わないから、国内に残る。もし、その大半が消費や設備投資に回されたら、景気はよくなり成長率も上昇したに違いない。逆に巨額の輸入代金を支払ったために、景気は足を引っ張られたと言ってもいい。

もちろん、日本が燃料を100パーセント自給することはありえない。しかし仮に自給率を1割上げて輸入を1割減らせば、3兆5000億円ものおカネが国内に留まるわけだ。こういう考え方から、アメリカやヨーロッパ諸国はみなエネルギーの自給率を上げている。ところが日本は努力が足りず、自給率が上がらない。貿易の大赤字は、その結果なのである。

                         (続きは明日)

        ≪26日の日経平均 = 下げ -203.60円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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