経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

インフレは 衰えない! (上)

2022-10-20 07:36:29 | 景気
◇ 絡み合う複雑な原因 = アメリカ労働省が発表した9月の消費者物価は、前年比8.2%の上昇だった。8月の8.3%上昇からわずかに鈍化したものの、いぜんとして高い伸び。特に食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比6.6%と、実に40年ぶりの上昇率となった。このため来月1-2日に開くFRBの政策決定会合では、0.75%の利上げを決めることが確実となっている。

費目別にみると、食品・住居費・医療費の値上がりが大きかった。このうち家賃は消費者物価の3割以上を占めるが、9月は7.2%も上昇した。人手不足と材料費の高騰で新築住宅の価格が上がり、これが家賃の上昇につながったとみられている。専門家によると、住居費と医療費はいったん上昇すると下がりにくい。そういう意味では「タチの悪いインフレ」だという。

経済学の教科書によると、インフレの原因は①需要が供給を上回る②コストが上昇する③構造的あるいは心理的な圧力が増大する--など。アメリカの場合は、コロナの鎮静化で経済の正常化ガ進み需要が増大した。その一方でウクライナ戦争やコロナの後遺症で、供給が不足。さらに原材料やエネルギー価格の高騰が、コストを引き上げている。

そのうえ人手不足により賃金が急上昇し、企業の人件費コストを押し上げている。たとえば労働者の平均時給は、このところ前年比5%を超える上昇がずっと続いている。専門家によると、人手不足の最大の原因は、コロナ禍に対処するため政府が支給した各種の補助金。人々の懐がうるおい、慌てて職を探さなくなった人が多いためだというから驚きだ。

このようにインフレの原因は、複雑多岐にわたっている。しかもウクライナ戦争が長期化、金利も上昇を続ける見通し。これが心理的にも、インフレを助長する。多くの人々が「物価は下がらない」と感じること自体が、インフレ要因の一つとなっている。FRBによる金融引き締めだけでインフレを退治できるのか、こんな疑問さえ持ち上がってきた。だからインフレの勢いは、なかなか衰えない。

                         (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 上げ +101.24円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


コメントを投稿