経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

トランプ圧勝の 根本的な理由

2024-03-09 07:47:51 | アメリカ
◇ 少数民族になる白人の不安 = 11月の大統領選挙に向けた共和党の指名争いで、トランプ前大統領が圧勝した。世論調査では、バイデン現大統領よりも支持率が高い。トランプ氏はいま4つの刑事事件を抱え、計51の罪で起訴されている。決して‟清廉潔白の士”とは言えないだろう。それなのに、なんで圧勝するのか。その根本的な理由は、アメリカが直面している歴史的な流れのなかに求められる。

米国勢調査局によると、白人がアメリカの全人口に占める比率は、1960年には88.8%もあった。ところが比率は急速に低下し、2020年には57.8%に下がっている。これはヒスパニックやアジア、アフリカからの移民が急増したこと。さらにこれら非白人の出生率が、白人よりもかなり高いことによるものだ。この調子だと、45年には49.7%にまで下がり、白人は全体の半分以下になると予測している。

つまり白人は少数民族となり、アメリカは白人国でなくなる。いまアメリカの白人は、この現実に恐怖さえ感じている。その‟救世主″となっているのが、トランプ前大統領。不法移民の流入を厳しく抑制する。海外からの輸入品に高い関税をかけて国内の産業を保護し、白人の雇用を確保する。軍事援助などの対外支出を減らし、その分を減税して国内の景気をよくする。

‟アメリカ・ファースト”--このスローガンは、白人にとっては「白人が社会の中心に位置していた過去のよき日」を思い出させる。だから白人の多くが、何があってもトランプ氏を支持する熱狂的な岩盤になる。そして奇妙なことは、ヒスパニック系にも、トランプ支持者が多いことだ。移民の流入を防いでくれないと、いまの自分の職が脅かされると考えるからである。こうして予備選では圧勝、‟もしトラ”の可能性も大きくなってきた。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +90.23円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     

“裏ガネ”にかすんだ 少子化対策 (下)

2024-03-08 07:49:31 | 人口
◇ またもバラマキ、若者への配慮なし = 厚生労働省の発表によると、昨年の出生数は75万8631人で戦後最低。前年に比べて5.1%の減少、8年連続で前年を下回った。この減少率は想定を上回っており、少子化の進行が加速していることを示している。また昨年は婚姻数も48万9281組で、前年を5.9%下回った。岸田首相ならずとも、こうした現実には危機感を抱かざるをえない。

そこで政府が打ち出した少子化対策。はたして効果があるのだろうか。専門家の意見をまとめてみると、残念ながら「効果は希薄」ということになる。その最大の理由は、現在の子どもに対する支援を重視しすぎたこと。結果として、これから結婚し子どもを産む若者たちを無視した形になってしまった。したがって、将来の出生率向上にはつながりにくい。子ども重視は結構だが、少子化対策としては落第というわけである。

婚姻率の減少は、将来の雇用や所得に不安を抱える若者が増えたためだとの見方が多い。じっさい、バイトやパートで働く非正規雇用の若者に未婚者が多いことは、統計からも明らかだ。岸田内閣の新しい少子化対策は、この問題を全く疎かにしている。見方を変えると、政府は相変わらずのバラマキ作戦。将来を見通した戦略に欠けている。

国民の負担は、どうなるのか。この対策の効果は、どうなのか。--国会では、こうした点を十分に議論してほしかった。しかし自民党の“裏ガネ”問題に明け暮れ、その時間はほとんど無くなってしまった。新年度予算も年度内成立が確実となったから、少子化対策の関連法案もほとんど議論なしで成立してしまうだろう。きわめて残念だ。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -492.07円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

“裏ガネ”にかすんだ 少子化対策 (上)

2024-03-07 08:14:27 | 人口
◇ 国民の負担は実質ゼロなのか = 政府は「こども未来戦略」に盛り込んだ少子化対策の実現に必要な関連法の改正案を国会に提出した。その最大の柱は、児童手当の思い切った拡充。所得制限を撤廃し、支給対象の上限を現行の中学生から高校生にまで拡大する。また第3子以降に対しては、月額3万円を支給することになった。法律が成立すれば、ことし12月から実施する。岸田首相は「スピード感を持って実行に移して行く」と言明した。

さらに①親が就業していなくても、保育を受けられる「こども誰でも通園制度」を創設②両親がともに育休を取得した場合に、手取り収入が減らないようにする③子ども3人以上を扶養する世帯を対象に、25年度から大学や専門学校の授業料と入学金を支給する--などが新しい政策。岸田首相は少子化による人口減少を「わが国が直面する最大の危機」と捉え、これらの政策で出生率の反転上昇を目指す考えだ。

だが大きな問題は、必要な財源の確保。財源は24年度からしだいに膨らみ、28年度には3兆6000億円が必要になる。政府はこれを①新たに設ける「支給金制度」で1兆円②社会保障費の支出抑制で1兆1000億円③既定予算の組み換えで1兆5000億円--を捻出する方針。このうち新設する「支給金制度」は、公的医療保険料の徴収時に上乗せする形で負担してもらう。1人当たり月額500円の負担となるが、岸田首相は「負担は実質的にゼロとなるようにする」と公約した。

なぜゼロに出来るのか。岸田首相はこれについて「社会保障制度の改革と大幅な賃上げで、実質ゼロになる」と説明した。しかし社会保障制度の改革で、多額の資金を捻出できる見込みはきわめて小さい。また賃上げ出来なかった企業の社員は、どうなるのか。どうも岸田首相の「実質負担ゼロ」の公約は、守られそうにない。国会ではこんな疑問も解明してもらいたかったが、自民党の‟裏ガネ”事件追及で審議時間が圧縮されてしまった。

                       (続きは明日)

        ≪6日の日経平均 = 下げ -6.85円≫
 
        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

日経平均株価4万円 の風景

2024-03-05 07:05:27 | 株価
◇ バブルなのか、バブルでないのか = 「ついに」と言うべきか、それとも「やっと」と言うべきか。とにかく日経平均株価が4万円の大台に跳ね上がった。3万円台に乗せてから、ちょうど3年かかっている。だが、ことしの年初は3万3000円台、そこからは超特急で上り詰めた。2月22日には1989年12月に記録した史上最高値を更新、そこから7日間で4万円に到達したことになる。34年前には新高値のあとバブルが崩壊、株価は急落した。今回は大丈夫なのか。

東京市場では、バブルを警戒する声は聞こえてこない。34年前と比べてみると、東京証券取引所の時価総額は606兆円から943兆円に増大した。しかし上場企業の経常利益は、この間に38兆円から95兆円に増えている。つまり現在の株価は、見合った企業収益という裏付けを持っているというわけだ。その証拠に、予想PER(株価収益率)も当時は61.7倍だったのに対して、現在は16.5倍にとどまっている。

しかしニューヨーク市場に目を向けると、景色がちょっと違う。ウオール街では、一部の銘柄に資金が集中し過ぎていることが問題視され始めた。なにしろ時価総額でみると、上位10社だけで全体の3割を超える。その大半が半導体・IT銘柄だ。これは異常だというので、パフェット氏やソロス氏といった著名な投資家がIT株を売り始めた。要するに、半導体関連だけはバブルだという考え方なのだろう。

こういう見方からすれば東京市場でも、資金は半導体・IT銘柄に偏っている。日経平均は今年初から急上昇したが、それを上回って上昇したのは全体の約2割。そのほとんどが半導体関連だ。これをバブルとみるかどうかは、非常に難しい。またことしは国内の政局、アメリカの大統領選挙、ウクライナとガザの戦争、中国の景況など、重要な不安値要素が山積。これらを乗り越えて、日経平均はいつ5万円に到達するのだろうか。

      ≪5日の日経平均 = 下げ ー11.60円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2024-03-04 07:25:50 | 株価
◇ 日経平均はついに4万円台へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。高値圏で利益確定売りが続出したが、なんとかこなして終り値は3万9000ドル台を死守した形。相変わらず半導体関連には買いが入り、IT関連銘柄の多いナスダックが木曜日、2年3か月ぶりに最高値を更新した。一方、債券市場では長期金利が上昇。このため外国為替市場ではドルが買われ、円安が進んでいる。

日経平均は先週812円の値上がり。終り値は3万9911円で、とうとう4万円の大台に超接近した。5週連続の上昇で、この間の上げ幅は4160円に達している。こちらも確定売りが出たが、金曜日にはナスダックの最高値更新を材料に大きく上げた。やはり半導体関連が買いの中心。また日銀のマイナス金利解除を当て込んで、金融株も上昇している。

3月入り。FRBが今月、利下げしないことはほぼ確定。したがってニューヨーク市場の関心は金融政策から離れ、実体経済へと傾く。物価や雇用関連の動向に、左右されやすくなるだろう。一方、日銀が今月の会合でマイナス金利政策を修正することはほぼ確実。だがゼロ金利政策には執着する公算が大きい。その場合、市場はどう反応するか。金利や株価の動きに注目が集まる。

今週は4日に、10-12月期の法人企業統計。5日に、2月の東京都区部・消費者物価。8日に、1月の家計調査、景気動向指数、2月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは5日に、2月のISM非製造業景況指数。7日に、1月の貿易統計。8日に、2月の雇用統計。また中国が7日に、2月の貿易統計。9日に、2月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪4日の日経平均は? 予想 =上げ≫

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>